きっと偉い心理学者は登場人物の一人一人を難しい言葉を言い連ねて精神分析するだろう。
それほどまでに人間の深層心理を掘り下げて、文として表現している作品であろう。
故にある人は共感して興奮し、またある人は想像できない人間の行動に恐怖し、そしてまたある人は冷静に理解し行動自体に興味を抱く。
プレイヤーの誰もがEDENの彼らであり、葵であり、香乃の誰かしらの心理になって読み進めたことだと思う。
そして主人公の佐伯は、そんなプレイヤーの気持ちを察してかどの色にも染まることができる言わば中立の人間として描かれている。
実に巧妙に作られた作品として評価でき、ぜひともじっくりと読んでもらいたい作品である。
中には自分には合わないと言う方がいらっしゃることだと思うが、それはそれでプレイをやめてしまっていいことだと思う。
おそらくは葵のように恐怖したか、興奮が足りなくてつまらないといった作品には描かれていない別の人間の心理なのだろうから。