ひさしぶりの考えさせられるゲーム。
タイトルで解るように「肉体と精神」の物語。
全体的に『ONE』のような物語だけど、シナリオの中に数学・情報学など理系の視点で語られることが多いインテリなゲーム。
けど、シナリオライターが暴走しすぎる面も多くて、文系の自分にとってはついていけない場面がありすぎた。理系の方なら大好物にちがいない・・・。
一応シナリオではルートは複数設けられていたが、自分が思うに透子と慧子が作中のメインで、他のルートはそれらの部分的な補足のためにあると思う。
言ってしまえば、透子と慧子のストーリーだけでこのゲームの本筋は理解できるだろう。
肉体に囚われないで精神だけで恋愛は成立するのか。
簡単に言えば、これがこの作品の本音の部分だと自分は感じた。
でも結局、両者のシナリオが共に最後には肉体に依存することでEDを迎えたから、意表を突かれたんだけど・・・。 (慧子の場合、作中の表現の「檻」=「脳」で、「脳」=「肉体」だから)
そうすると珠季のEDも見逃せないことになるけど、そこまでの過程がやっぱり透子や慧子のように大きくテーマ性を持っていないから違うのかなぁと思えてしまう。
透子と慧子以外のシナリオも良かったと思うけど、あまりにも物語の展開が伏線を敷かずに突発的に起こるものだから、雑学を入れる余裕があるならシナリオをしっかりと書いてくれと思えてしまった。
日常のやりとりが結構笑えて好きだった分に、残念な部分である。
個人的には依子のルートをもっと補強して「一般人と能力者」の物語を広げてほしかった。
二人が両者の壁を乗り越えていく、もしくは「世界を読み替えて」壁を無くしてしまうのようなシナリオがあったら良かったなぁと思う。