色んな意味で期待を裏切る作品。
まず、OPムービーは完全にユーザーを騙すために作られている。
舞台が「島」なので民族・幻想的な匂いを漂わすムービーに、思わずミステリアスなストーリーを期待してしまうが、これが本編には全く関係ない。
実際には島でもビルが建ち並ぶぐらいの近未来が舞台で、作品の雰囲気としてはSFという言葉が一番近い。
このムービーは、単なる「島」というキーワードから製作者が勝手に連想して作ったものであろう。
ここまで裏切られたOPムービーは他に経験したことがないぐらいである。
あとは、この作品の売りであるザッピングが巧く活かされていないことである。
ザッピングできるのはいいけれど、どうでもいい内容のときに使用可能で、いざこのキャラの真意を知りたいときに使用不可が多すぎる。
唯一活かされたのは、何を考えているかわからない夕凪だけである。
まさに夕凪の為だけのシステム。
それにマルチアングルのルートで結局すべて解ってしまうので、別に無くても変わりないかも。
結論は無駄なシステムだった。
そこで肝心なシナリオであるが、期待には裏切られたが別の面白さを持ったシナリオとして、個人的にはまあまあ良かったと思っている。
どのルートもハッピーエンドとは言い難いが、それはそれで人間が持っている「自分勝手さ」と各キャラの性格が招いた結果として描きあげて、面白い出来だと思う。
人間関係のドロドロとしたシナリオとメガネ共の壊れっぷりもなかなか楽しましてくれた。
こういったダークな部分も描きあげるからこそ、18禁の壁を乗り越えるに相応しい作品だと思うし、ハッピーエンドを期待するプレイヤーにも目を背けずに受けとめてもらいたいと思う。
このシナリオは極端な表現ではあったが、人生と恋愛はハッピーエンドがすべてではないというメーカーの気持ちが伝わってくるシナリオだった。
だが、問題があるとしたらテキストである。
良く言えば無駄のないテキストであるが、悪く言えばあまりにも平凡すぎて魅力がないだろう。
これがシナリオの面白さを軽減させてしまったと言っていいだろう。
この問題をザッピングでカバーできれば良かったのだが、肝心なところで機能しない役立たずだから救いようがなかった。