世界観が最高!!
何でもありの「平行世界」を、笑い・シリアス・ファンタジー・死生観など様々な傾向をシナリオに織り込むことでうまく表現している作品。
一見纏まりのない方向性をもつシナリオが、「平行世界」という世界観に合っている。
また、「本」とか「宇宙」など普段聞き慣れている言葉を用いて「平行世界」を表現していることが、空想でしかない世界を身近に感じさせてシナリオに惹きこませてくれる。
これらが偶然にできたようにも思えるし、巧妙に創られたものにも思えるのがまた面白いところ。
とにかく、序盤からシナリオに振り回されて考えることに疲れます。
中盤には「本」を行き来しながら問題を解決して、無縁の平行世界が一つに繋がっていく。
けれども一つに繋がったものは、玉藻の前がいる「本」のように書斎世界の外の世界もただの「本」に過ぎないことを考えると、繋がっているようだけど永遠に相容れないものである。
結局のところ、シナリオ全体を通してもそれらが平行しているのか平行していないのかはわからない。
自分が思うに、このゲーム自体が答えのない一つの「本」だと思う。
BGMがほとんど無いのも、本を読んでいるときの静かなイメージを描写したかったのかと思う。
このゲームが答えのない「本」ならば、あとはプレイヤーの想像次第で答えは幾らでもある。
つまり、考えるだけ無駄で最後まで作品に振り回されてしまいました。
でも、素直に楽しめたと思います。
他の評価をするというと、テキストがセリフばっかりで、第三者的な視点での描写が少ないから話の方向がどこに向いているのかわからなくなることが多々ありましたが、笑いの要素が自分のツボで飽きませんでした。
個人的にお気に入りなのがちびリリスたちで、特にロッカーちびリリスの場面はずっと笑いっぱなしです。
良い作品に出会えたと心から思います。
そして最後に「リリスちゃん万歳」と叫びたい!!