『死』を題材にしているのだから泣けるのは当たり前。
最初から最後まで『死』という言葉を作中に漂わせたのは珍しいが、その分プレイヤーは加奈と主人公の生き様を感慨深く見せられてしまうので、感情移入から最後のほうで思わず泣いてしまうのは仕方の無いのことである。
個人的にはこれを「泣きゲー」の部類には入れたくない。
むしろ、あまり好んで読みたいと思わない主題の作品である。
それでは何故この作品が優れているかと考えると、主人公の心理描写、または細かい視線と行動の描写が優れていることだと思う。
映画・ドラマではなかなか難しい文字の特権をライターが引き出しているからこそ、読むことができてある種の感動を与えてくれた。
それがこの作品の全てを支えていて、個人的に評価している。
逆に不満点を挙げると、救いがあるEDはいらなかった。
別に加奈のことが嫌いというわけではないが、救いがあると何か今までの主人公の苦難や葛藤とかが一気に解決されてしまい、拍子抜けして冷めてしまうので、どうしても作品の質が落ちている気がする。
利点から欠点が生まれてしまったようだ。
変えることのできない死をどのように受け入れて、これからを生きていくのかだけを見せてもらいたかった。