なぜ従来の快適なCLOCKUPシステムを採用しなかったのか? 【追記】(2019/12/06)
(2004年版は未プレイ。どうやらバグがあったようですが、今作ではプレイに問題なし)
HDリマスターにより対応OSと解像度がアップ。演出面も強化されている模様。
シナリオ面に関しては特に変更点はないと思います。
【あらすじ】
悪魔のバイオリンに魅了されたバイオリニストの苦悩と哲学を描き、
純愛要素を絡めながらも、選択肢次第でヒロイン達の心と体を犯す恥辱と屈辱が味わえる内容。
【シナリオの特徴】
・音楽史を始め、神学や宗教学を交えたインテリゲーの側面
・クラシックBGMで奏でる芸術的エロス
・心理描写が丁寧であり、想像力を掻き立てるテキスト
・魂を蝕みながら、快楽堕ちへと向かう落差が上手い
・マゾ性を開花するハードファック(嬲り) の数々
・精神的支配の独自のロジックを解説した、心の抑圧を刺激して開放する内面凌辱
【Hシーンの特徴】
・Hシーン数91
・インターバル無しの怒涛の連続H
・基本尺短めで、若干早漏気味
・言葉責めが秀逸
・卑語に修正が入る
・Hシーン中のフェラ音、挿入音、射精音、抽出音等なし
・変態アブノーマルプレイが主体(ガチレズ、ふたなり、SM拘束、触手、アナル責め、放尿etc)
・スカトロ特化。ただしウ○コは非常に粗いモザイクが入る
【個人的不満点】
・一つ一つのHの印象が薄い
・現在と比べると、絵がやはり古臭く見える
・画面解像度に応じてモザイクの再処理の後が見受けられない
・興奮はするけど射精に中々結び付けないのが歯痒い
・シナリオ面で整合性がない部分が見受けられる
・テキスト任せでCG差分が足りない、または状況に合った絵が追従してこない場面がある
(ライターと絵師の意思疎通が完璧には出来ていない事が伺える)
そして最もダメなのが一言感想で述べたシステム面です。
従来の快適なCLOCKUPシステムではなく、Powered by PIX GAME STUDIOに(外注委託?)変更されたのが大きい。
・フィニッシュ射精カウントダウンなし
・スカトロ描写ON/OFF等、その他CLOCKUPの選別機能なし
・テキストウィンドウの透明度が毎回リセットされる
・画面サイズに不備あり(毎回リセット等)
・セーブ・ロード画面を使用するにあたり、表示形式が縦のスライド式な為、見えづらく管理し辛い
・タブレット操作を意識した作りの為か、通常PCだと最後まで使い難い印象
去年のリマスター作品である『響宴の赤』は最新の自社システムが採用されたので、今作は疑問が残る仕様でした。
最も妥当な理由として考えられるのはコスパの悪さと時間。
約15年前の作品に環境回りを一新する予算が掛けられなかったというべきでしょうか?
(もしくは折角HDリマスターした『饗宴の赤』による失敗が尾を引いている可能性も……)
まぁそうした大人の事情はさて置き、シナリオゲーならまだしも、
2004年の抜きゲーに現在求めるのは、HDリマスターよりも原画のリメイクだと個人的には思います。
それと今後『ECRIPSE』や『けがれた英雄』といった、
過去のCLOCKUPの名作?がHDリマスター化される予定ですが、
本作と同じシステムだった場合、あまり過度の期待はしない方が良さそうです。
新作が出来るまでの間、HDリマスターというブランドの小金稼ぎに協力、
もといお布施だとしても、これが常態化したら正直困りますしね……。
【追記】(本作の感想とは全く関係ありません)
折角タイトル名がレクイエムなので、久しぶりにそれにちなんだ脱線駄文を綴ろうかと思います。
自分は音楽についての知識は乏しく、専門的用語や楽器などを十分理解できていないのですが、
クラッシック音楽、もといレクイエムの曲は好きな部類に入ります。
そこで今回は偉大な音楽家が築き上げたレクイエムの曲に関する紹介と
感想(自己の感性と価値観での評価)をこの場で書き殴ろうかと考えます。(もはや備忘録)
興味というか詳しい人限定なので、それ以外の人は「戻る」でいいですよ。
・ベルリオーズの『レクイエム』
曲についての印象もさることながら、その歴史的背景にも驚嘆を覚えました。
彼のレクイエムは演奏されるまでに幾多の障害と苦悩が入り混じって完成されています。
それにより作品の好感度と充実感を高めている感じを受けると共に、
曲の印象としては、「ディエス・イレ~トゥバ・ミルム」の次第に速度を早めていき、
劇的な緊迫感をかもし出すことに成功していると言えるでしょう。
最後の[アニュス・デイ]には神秘的な静けさを、男性アカペラによる歌声で表現しているところに、ベルリオーズの感性の幅の広さが感じられました。
・ドヴォルザークの『レクイエム』
他の人は知りませんが、自分にとってあまり好感を持てるものではありませんでした。
批判的になりますが、彼の曲からは伝えたい感情が入り混じりすぎて、何か核となる音楽軸が欠けている気がするのです。
ですが荒削りだと思う自分も、実は一度しか聴いていないので、曲にひめた思いを感じ取れていないのかもしれません。
機会があれば彼のレクイエムやそのほかの楽曲を味わってみたいです。
・フォーレの『レクイエム』
全体として穏やかに流れる小川のように、優雅で胸に染み入る印象を受けます。
曲が終わっても感動的な余韻にひったてしまい、心に安らぎを感じました。
まるで「死者に暖かいまなざしの死」を与え、他のレクイエムの少なからずあった恐怖感を拭い去った作品だと思います。
・三善晃の『レクイエム』
より恐怖感を引き出すレクイエムで、自分が聴いていてぞっとするような身震いを体験した曲です。
今までのレクイエムといえば、キリスト教的な宗教作品で、死者の安息を願う神秘的かつ荘厳な感じを漂わせていましたが、
彼のレクイエムにはそれが感じられなく、戦争を題材にした作品であり、
死者が死ぬ前の怒りや苦痛、そして叫びなどの壮絶な情念があらわに表現されたレクイエムだからです。
あまりに聴くにはつらい曲ですが、その曲の中にある反戦や平和といった秘めたメッセージも含まれている感じがしました。
・ヤコボという人の作曲の「STABAT MATER」
レクイエムでもミサとも違う一風変わった味を出していました。
解説どおり出だしの曲は、静かで落ち着きのある響きで始まり、次第に声の高さを高めてゆきながら、
男女の美しいアンサンブルや楽器の背景色に合った確かな音色の組み合わせが、独特の空気と安らぎを与えているように思えます。
また、その後一変してヴァイオリンなどの楽器演奏に熱を持たせながら、歌声にも深みが増してゆく感じを受けます。
全体として一定の旋律での響きを保ちながら、最初と同じように静かに消えていき、余韻を楽しめる作品でした。
・Andrew Lloyd Webberの『レクイエム』
1.Requiem-Kyrie
女性の滑らかな歌声と、神秘的な演奏のコラボから深く荘厳な印象を与える曲調への移り変わりが多彩ですばらしかったです。
2.Dies irae
一変して激しいテンポと軽快なリズムで、その場を振動させる活発な空気をつくりあげ、まるでそれら自体が意思を持って劇を作り上げているようでした。
3.Recordare
ソプラノ・ソロにより、先ほど作り上げた空気の入れ換えをし、より神聖さ浮き彫りにしていきました。
4.Imgemisco
静けさの中から騒がしさを表現。
5.Offertorium
様々な曲の集合が曲に深みと新鮮さを伝えてくれています。
6.Hosamma
どこかで聞いたことのある親しみを感じさせ、なおかつ声の波長が空気を和やかにして、
レクイエムとは思えないX'masのようなイベントをイメージさせてくれました。
7.Pie Jesu
ソプラノとボーイソプラノの2重奏の共演で、男性とは思えない声の美しさ、安らぎの音色で聴いていて心地よい感覚に襲われました。
8.Lux aeterna&Libera me
このレクイエムの固定観念を取り払った革新的な印象を強く感じ、また聴いてみたい印象を受けました。
以上、趣味に走った駄文です。
多くの著名な音楽家の作品に触れると、自分でも驚くくらい感銘を受けることがあるかも知れません。
素晴らしき神エロゲーと同様、このような経験はこれからの人生の中でさほど多くはないと思いますが、
機会があれば演奏会にも足を運びたいですね。