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peacefulさんの真・恋姫†夢想 -革命- 蒼天の覇王の長文感想

ユーザー
peaceful
ゲーム
真・恋姫†夢想 -革命- 蒼天の覇王
ブランド
BaseSon
得点
97
参照数
1117

一言コメント

「人間は主義だの思想だののために戦わないんだよ。主義や思想を体現した人のために戦うんだ。革命のために戦うんじゃなく、革命家のために戦うんだ。」 Dusty Attemborough

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

革命と云う名のリメイク。軽微な修正を含めた前作の完全版で、非常に読み応えのある作品。恋姫初心者も歓迎です。
けど、声優さんもまさか10年近く経って全く同じセリフ回しを収録するとは思わなかっただろうな。
そして元から凄かったけど、革命仕様の声優陣の豪華さは『真剣恋』に次ぐエロゲー界のトップランカー。
新キャラの見せ場も上手いし、私自身が恋姫ファンの一人であり、その贔屓目を差し置いても、
満足度の高いキャラゲーとして仕上がっていると言えるのではないでしょうか。
でも声優交代はやっぱり寂しい。大人の事情で仕方ないとしても。
特に朱里の違和感がかつて無いほど半端ないです。誰だコイツ? 
もっと似てる人はいなかったのか?これは慣れるまで時間がかかりそう。少なくも今作では解消されませんでした。
一方で、元朱里役の楠鈴音さん演じる燈は流石の貫録。それと未だロリ声を続ける芹園みやさんも改めて尊敬。
また声優交代で味を占めたと感じたのが、秋蘭役のあじ秋刀魚さん。
如月葵さんには悪いが、あのハスキーボイスは正直凄かった。(語彙が貧弱)
正にこれぞ秋蘭といえる新境地を体感した、良キャスティングだと思います。

さて、ここよりは前作含めたネタバレが必須になるので、シリーズ未プレイの方はどうかご注意下さい。








異世界(外史)に飛ばされた数はマジで自慢できる、我らが主人公の北郷一刀。
真名や桂花のディスリのやり取りが妙に懐かしい、自然とニヤける午前4時(笑)。
序盤は実家に帰った安心感の様な、心地良いひと時に身を浸ることが出来ました。
それと一応リメイクなので、前作との違いを見つけるのも、物語を楽しむ上でまた一興です。
というわけで少し一見様には厳しい感想になりますが、
まずは要所で気になった部分に簡易なコメントを挟ませていこうかと思います。


【初登場時の桂花が秋蘭や春蘭に様付け】
当時は気付かなかったけど実際は当たり前なんですよね。新人が上司にタメ口叩く様なものです。
ある意味新鮮でしたけど、偉そうなのは相変わらずで、何かホッコリ。

【一刀が民に糧食を全て配るヘマをやらかすシーンを削除】
これは三羽烏が仲間に加わった際に、前作で起きた主人公のポカ。
流石にシナリオの都合であっても、そこまで馬鹿じゃないと当時は思ったもので、良かったね一刀。

【張三姉妹の真名説明や黄巾党の幕引き】
殉教者という神格化をさせないで、ただの黄巾残党に町娘アイドル宣言をさせたのは良改変。
しかし張三姉妹は萌将伝以来だから、本当に久しぶりでした。
でも前のキャラデザの方が好きだったので残念。今回何か前歯出し過ぎ。

【董卓暴政?】
前の朝廷のいざこざは、無印からずっと一刀の回想のみだったから詳細に描写されるのは好印象。
でも月が明確に手を血に染める出来事を記載したのは、ファンとしてはちょっと複雑。

【華琳VS 桃香 初戦】
官渡前の口舌に始まり、後に桃花が華琳の隙を突いて攻勢をかけるシーンが前作より整合性も含めて納得の出来。
正に中盤における正念場であり、張三姉妹も含めた少人数での総力戦は見所ありでした。

【西涼攻めの改変。軍師詠参戦】
華侖はいらない娘じゃなかったよ。陣地構築で力を発揮。

【合肥の戦い】
革命の新規見せ場というか、今まで不遇だった霞が漸く報われたシーン。
神速の張遼と風の奇策。正に遼来遼来の再現。之が正史なのだから正にチート。
武人の総合力で言えば、魏最強は霞では?と考えます。
本編と個別√(御前試合)含めた、春蘭と霞の対戦成績は1-2。霞が優性という事実。
武力の他に、用兵や機動力は春蘭を上回っていると云えるでしょう。
そして一刀の醜態とそれを乗り越えるエゴ(魏の覇道)を貫き通す覚悟の成長が見られたのも印象深いです。
あと他勢力で北郷一刀の名が知れ渡るのは、子が活躍する親の気持ちで何か嬉しい。まぁ蓮華は災難でしたけど。

【赤壁の戦い】
苦肉の策で祭が魏に寝返る前に魏の武将を叩きのめすが、華侖なら悪いが納得です。
前は霞が相手にならんとか、違和感あり過ぎでしたので。前作の祭の戦闘力が異常。
現状革命世界では 霞>思春>祭です。 

【最後】
一刀の自覚ある消滅。この流れを何故か制作陣は崩しませんでした。
一刀が消える結末を回避すること。それをファンが願ったのが革命のはずなのに。
(過去にどれだけ二次創作やアンソロジーで帰還シナリオが組まれたことか)
一刀本人は後悔なしだけど、華琳含めみんなからは悲しみしか湧きません。
そしてKIYOの『彼方の面影 革命ver.』は流れるにつれ、この憤りは一層強く感じます。
まぁ百歩譲ってそれをするなら、消失直後の皆の動揺をせめて描いて欲しかった。
エピローグも数年後なので、一刀の生きた痕跡をあまり感じられません。
今でも引き摺っていると分かるのは北郷隊と張三姉妹くらいかな。
でも香風が追った最後の流れ星は、ある種の期待に繋がります。
もう一度香風と出会い、『お帰り、お兄ちゃん』なら全て許したんだけど……。

(残念に思ったファンに朗報:『劉旗の大望』をプレイすると見方が少し変わります)


さて、次は個人的に本作で印象に残ったキャラを綴っていきます。(大勢いるので、何人か絞ります)

○桃香
やはり桃花の偽善度が凄い。
魏編ということもありますが、華琳や蓮華よりも人気の無さもこれでは伺えるというもの。
実質愛紗よりもファン層の好感度は低いと私はみています。でも今回も名言をいただきました。
『邪魔なの!』w

○鈴々
ごめん、マジで空気。逆に華雄の方が……。

○凜
個人的に凜が魏一の軍師で頭脳と評価。軍略や金策もお手の物。
赤壁での立ち回りは桂花もドン引きの指揮ぶり。
朱里や雛里、冥琳の神算鬼謀を超えた知謀の冴えは見事ですね。
どんだけ先を読むのか、只の鼻血軍師じゃありません。
革命シリーズだと霞と供に実力が底上げされたヒロインでした。
実際あまりにチートなので、最終戦は鼻血ブレーキする始末。

○蓮華
蓮華と一刀は赤い糸で繋がっているなと実感。絡みも運命的。
もし消失がなければ、攻略ヒロインとなって美味しい展開が。う~

○喜雨
何時もむすーっとした顔の農業娘。いいですね。好きな声優さんだから尚更好印象。
それはそうと、もしや恋姫初の親子丼では。

○香風
最初に出会った女の子ということで、英雄譚よりも好感度アップしています。
というより、ヤバイなこのハイスペック妹キャラ。
武力・知力(記憶力)高いし、気遣いもできる上に、やればできる娘となれば、かなり頼りになります。
何よりも主人公に健気に尽くして、優しいのは高ポイント。ホント参りましたよ。
また、どちらも天から落ちたら受け止める、一刀とシャンとの約束にはグッと心に来るものがあります。
ちなみに魏ヒロインの中で2番目に好きです。

○柳琳と華侖
柳琳は天使。華侖は大きな子供でトリックスター。
でもこの姉妹含めて、曹の一族は性欲が強いなぁ。良いことですね。

○栄華 
最初は桂花の亜種で、お嬢ビジュアルは好みだったけど、そこまでグッとくるものがありませんでした。
でも徐々にツンデレ・チョロインとしての本領発揮。
『もぉー!、もぉー!』と言いながら、退行化して恥ずかしがる感じに、自分はあえなくやられてしまった。
プレイ後は素直に可愛いと言えますし、偶にポンコツでロリ少女好きはキャラが立っているので+。
一刀とのコンビも上々で、個人的に魏ヒロインで1番好きな娘にランクアップ。
しかしながら、本編と栄華シナリオでの一刀の対応に差があったのは難点かな。この辺は今後の課題でしょうね。

○一刀
数ある外史で、革命魏で活躍する一刀が、最も主人公らしく働くので好きです。
陳留の警備隊長、新兵の育成、都市計画の割り振り、張三姉妹のマネージャー、
元大将軍と元后の御目付、出兵における一軍の指揮や支援、屯田制における村の交渉、
内政における事務処理や予算案の提出など、もはや魏に欠かせない人物として成長していきます。
最初は字すら書けない一刀のスペック(人間力)が、徐々に上がってくるのは嬉しいですし、
それを可能にしたのが、努力家で、向上心の塊である彼の一面。
働き過ぎなBlack体質にも感じますが、そこは頼み上手であり、口も回る強かさで体調管理も万全かな?
何よりも各武将たちの精神的支えとなっているのが重要ですね。そりゃモテるよ。
また武力も常人以上で、呂布の一撃を止め(奇跡)、魏延を翻弄(あしらう)するなど目覚ましいものがありました。
そして華琳からの箴言を真摯に受け止め、
天の国(三国志)の知識を頑張って考える人の気持ちを踏み躙る行いとして封印していきます。
もっとも愛する彼女達の危機には躊躇わなかったのが、消失の原因となっているのですが……。
まぁホントにお疲れ様という感じです。
 

以上が今回の感想になりますが、自分的には傑作の域です。(甘いかな)
戦闘パートもこれまでで一番の出来かと。後はやりこみ要素があれば完璧でしたが。
ただ、やはりラストの展開でかなり評価を下げているのは惜しい所。
もし前作同様に三国√全て同梱されていたら、また違っていたかもしれません。
でもこれ単品でも十分楽しめたので、折を見て2週目に挑戦したいと思います。


【補足】
今回一言感想の某中将の名言は、革命に因んだ言葉として昔から自分が気にっているので(無断)拝借。
華琳や桃香といった野心や理想の体現者の存在があってこそ、人はその者の為に命を懸けるんです。
それを実感することが出来た恋姫革命でした。