本編終了後、天ノ少女オリジナルサウンドトラック『Caelum』を聞きながら、同梱の「彼女からの手紙」を読んで、ようやく自分の中で一区切りつきました。願わくば、また彼女たちと会える日を夢見ています。【2021.6.25 追記】
人の偏執を溶かしてきた時坂玲人ですが、未だ自身は朽木冬子という一番大きなものに囚われていました。
ですが、彼女がいた証である張り詰めた一本の糸。
それが断ち切れないように、遺された者の為にも歩む覚悟を決められるのが、彼の強さだと私は思います。
心の虚の空白を埋めず、感情が希薄になりながらも、新たな妄執へと挑んでいく。
静謐の中に潜む狂気と切なさを経て、過去を清算していく流れは一抹の儚さを抱かせます。
しかしながら、殻と虚、そして天へと時を紡いだ道程は、繭が無事に孵化して、
希望のある未来を私たちにもたらしてくれました。
桜の舞い散る中で佇む少女の笑顔。
それこそが偏執に囚われ、その幻影に導かれながら、本当の救いを求め足掻いていった軌跡の終端です。
玲人を含めて私のパラノイアを溶かした(解放された)瞬間でした。
『捜して欲しいんだ―――――私を。本当の、ね。』
いつか彼女の新しい物語が紡がれることを祈っています。
永い歳月、Innocent Greyスタッフ、本作を待ちわびたファンの皆様方、本当にお疲れ様でした。
【追記】2021.6.25
オフィシャル通販特典第十三弾
天ノ少女書き下ろし中編小説『白い帽子の女』読み終わりました。
全175Pで、メインが魚住の左遷先で起こる殺人事件。他、佐藤歩と窪井千絵の短編です。
その中では謎の女中である篭浪キヌが登場します。
この名前にピンときた方は、相当なイノグレIQの高さです。(私はIQ低いのでさっぱりでした…)
立ち絵や音声のあるPCゲーとは異なる、小説ならではの手法で読者を唸らせるのは流石のクオリティ。
冬子というパラノイアが溶けても、この世界観に浸り続けたい新たな妄執を抱く、古参ファンの方のご購読をお勧めします。