確かに短いけど、長ければ良いという訳ではありません。小鳥と葵のイチャラブがメインなので、あんまり長いと胸焼けしますね(笑)。適度なプレイ時間で気持ちの良い読了感を生み出すには、これぐらいで丁度良いと思います。
本編とFLIGHT DIARYの狭間を描いたFD。
本来持つ夏のイメージを払拭して、冬の温もりを描く事で新鮮味のコントラストを演出。
そして小鳥をメインに彼女との何気ないひと時を表情豊かな3Dモデリングによって表現。
風に揺れる髪、白い息を吐く動作、髪を撫でたり、ジャンプしたり、より原画イラストに忠実な動作で動くので躍動感満載です。
多彩なモーションムービーで生き生きと動き出す小鳥とハット先輩は必見の余地あり。
そのため小鳥好きなら非常に嬉しい内容といえます。
また私と同様、彼女に特別な感情を抱いていなくても、
一歩引いた客観的視点で見ると、彼女の考えや行動に微笑ましく感じるものが有るかと思います。
ですが短い本編とドラマCD、ミニアルバム含めて定価5800円(税別)は流石に高すぎ(笑)。
定価3000円くらいが妥当ではないでしょうか？
もっとも今はcomplete boxやMEMORIAL FLIGHT PACK等が出ているので、単品で買う人はごく僅かでしょうね。
ちなみに私はcomplete boxを買った口ですので、値段に関して不満点はありません。
それと本作はパイノマール録音を採用していますが、これが中々曲者でした。
「パイノマール録音って何ですか？」という方に一応補足説明を入れときます。
人間の頭部の音響効果を再現するダミー・ヘッドやシミュレータなどを利用して、鼓膜に届く状態で音を記録することで、
ステレオ・ヘッドフォンやステレオ・イヤフォン等で聴取すると、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感を再現できる方式
つまり普段聞いているステレオ録音では表現しにくい、
耳元で囁いたり、遠くで呼びかけたりする距離感や、後ろや上下に回り込んだりという位置関係を、より現実に忠実に再現する手段になります。
本作においては空間に広がる声の臨場感や、そばに居る・近くで囁かれる親密度を表現して、
小鳥との冬休みの同棲生活をより甘く彩るのに一役買いました。
しかし弊害として、私は普段のステレオ録音に慣れ過ぎているため、パイノーマル録音に最後まで順応する事ができませんでした。
もしくは人によると思いますが、音質が聞きずらい上に、雑音に近い不快感をもたらしやすいかもしれません。
ちなみにスピーカー視聴は立体音響の違いが判らないので、イヤホン・ヘッドホン聴取専用ゲームになります。
【総評】
試験的意味合いの本作はPCゲームの新たな可能性を示唆してくれました。
それだけでも評価すべき価値があると思います。
ただ中身が短いという不満よりも、私にとってはサウンド切り替えができない点とシーン中のセーブができないのがマイナス点でした。
こうした問題点を改善して、次の作品に活かしてくる事を願っています。