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peacefulさんのBRAVA!!の長文感想

ユーザー
peaceful
ゲーム
BRAVA!!
ブランド
Sweet light
得点
79
参照数
329

一言コメント

良質なキャラゲーです。プレイして損はないかと……

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

(『lightBOX The Great 15th』の同梱作品としてプレイ)

寂れた劇場を復活させようと、一癖あるヒロイン達と共に劇団を結成して盛り上げる純愛成長サクセス・ストーリー。
今まで他人のサブ的ポジションでシナリオを執筆し、“メインと整合性がない”“他の√と違う(ダメ)”等と揶揄されることも多かったが、
ようやくライターの腕を買われ、自分が企画(原案)したシナリオを作品として披露する事が出来た、云わば本作は“太田優”のデビュー作と言っても良いかもしれません。
キャッチコピーである「地上最強のラブコメディ」は流石に誇張表現ですが、明るい話でサクサク読めるテンポの良さ(演劇パートは除く)は好印象。
主人公もライターの理想の男性像を意識したかのような、非常に読み手が好感の持てる内面に仕上がっています。

劇団プロデューサー兼マネージャー、演出や歌の作詞からチームのまとめ役に至るまで八面六臂の活躍を見せる主人公。
長年のアイドルオタクにより女の子の内面を見る目が養われた為か、他人の機微に敏感で気遣いができる上、
一生懸命で諦めないバイタリティ精神に溢れ、察しの良さから相手の望む言葉を言い当てる無自覚スキルも習得している完璧さ。
そんな頼りになってしかも女性に優しいとくれば、そりゃあ皆からモテますよね(^-^)。
こんな稀に見る好青年だと共感や自己投影はなかなか難しいですが、不快感を最後まで抱く事なく読み進めた点は自然と私の高評価に繋がりました。

また本作は魅力的なヒロインが多く、シナリオゲーというよりはキャラゲーとして高い水準をキープした作品に思えます。
特に個人的にお気に入りなのが雪乃しずく(しずねぇ)。
エロ可愛く過保護であり、恋人に選ばれないと「ぐすん……」(CV.榊原ゆい)と残念がる辺り、本当に自分の姉(義理も可)に欲しいと思ってしまいました(笑)。


そんな感じで、総じて良質な時間を過ごすことが出来ました。
私の攻略推奨順としては【しずく→ナナミ→みなも→日向→あおい】になります。
(あおい√が本作のTRUEエンドの役割を担っているので、最後にプレイするのが望ましいかと……)

女の子が最高に輝く舞台を目指すために人生を駆ける主人公:宝樹宙人。
『舞台の上にヒロインがいるなら、ヒロインに寄り添う主人公がいるはずなんだ……!』
ヒロインの成長に目を向けがちだけど、主人公が相応しい男に成る成長ストーリーとしても良く描かれた良作に思えます。
そして、あおい√での最後の幕引きは王道ながらも上手いと唸らせる出来です。
お約束のカーテン・コールも、劇中の観客のみならずプレイヤーたる読み手にも伝わるような演出はニクイですね♪
他にもクリア後の全シーン回想が備わっているので読み返すとき便利で重宝しますし、
劇中の挿入歌を実際にヒロイン役の声優さんが歌っているので、細かい部分で劇場の雰囲気が伝わってきました。


“だったらもう少し点数が上がるのでは?”


実を言うとベタ褒め評価の裏には、かなりもったいない部分で問題点がありました。
(それがなければ名作になったかもしれません)
最後にそれらを指摘して、この感想に幕を閉じようと思います。


【原画:AKINOKO.の問題点】

立ち絵がヒロインのみで、サブキャラに立ち絵がない(影絵)のは手抜きと云われても仕方がありません。
ヒロインのみにスポットを当てる演出、また舞台上での黒子の役割を担うための仕様だと思われますが、
折角キャラ設定が練られてサブヒロイン的なポジション(演劇部員)が、只のモブとして扱われるのには抵抗があります。
我々の脳内変換にも限界がありますし、何より有名声優を起用したのにこの仕打ちはあまりに勿体無いと言えるでしょう。

また肉感的でムチムチ感が出せる絵師はエロゲーにおいて貴重な人材ですが、Hシーンにおける必要描写が無いのが目立ちます。

[例]しずねぇ
・口空けていないのにフェラ
・挿入描写の無いセックス

[例]ナナミ
・前戯が長い、その分本番短め
・ラブホ行ったのに、ローションプレイだけで本番なし

あと陥没乳首は嫌いじゃないけど、全員これだと流石に萎えました……。
(実は陥没ではないのですが、そう見えて仕方が無い描写はもう少し何とかならないのだろうか?)


【シナリオの問題点】

演劇を一括ではなく区分けして魅せるシナリオ構成はグッド!
だけど他√での演劇で被るシーンは極力スキップ可能にして欲しかったです。
(個別ルートに入ってからも共通シーンが結構あるので、そこもスキップ可能になったら良かったのに……)

それと大体ヒロインと結ばれてからは、バカップルぶりが際立ち若干胸焼け気味。
また起承転結にける“転”が十全に機能しているとは言い難く、良くも悪くも無難にまとまり過ぎた印象を受けます。
メインの演劇も一つだけなので、やはりマンネリ感は否めませんでした。


【システムの問題点】

フォント変換が欲しい!
テキストが常時ポップ体なので“明朝”に慣れた自分としてはかなり読み難かったです。
今後このフォントでのデフォルトの採用はNGで……。