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peacefulさんのSTEINS;GATE 線形拘束のフェノグラムの長文感想

ユーザー
peaceful
ゲーム
STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム
ブランド
MAGES.(5pb.)
得点
80
参照数
456

一言コメント

ラボメン(ライター)の数だけ物語がある

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【感想および備忘録】
STEINS;GATEファンディスク第3弾。
全十編+oneのオムニバスストーリーによる想定多元アドベンチャー。
(フェノグラム:英語で「表現図」。または生物分類において表型的類縁関係を示す樹枝状図)


第一話 岡部倫太郎【走査線上のジキル】 評価:85点
シナリオ:下倉バイオ(『STEINS;GATE』の構成協力担当。代表作『月光のカルネヴァーレ』『スマガ』等)
世界線変動率:0.337199%(アトラクタフィールドα)
一言感想:流石は下倉バイオ!ミスリードによる最初の掴みは完璧。他のライター陣より頭一つ抜いてました。
(ジキル:ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』の人物名。または「解離性同一性障害」の代名詞)


第二話 橋田至【絢爛仮想のファムファタール】 評価:80点
シナリオ:林直孝(『STEINS;GATE』のメインライター) 原案:横谷昌宏(主にアニメのシリーズ構成・脚本家)
世界線変動率:3.019430%(アトラクタフィールドδ)
一言感想:展開に飽きが来ず、謎解きに熱中できて好感触。しかし最後は残念。やはりダルは真のオタクだったか…。
(ファムファタール:フランス語で男にとっての「運命の女」)


第三話 牧瀬紅莉栖【黄昏色のソーテール】 評価:70点
シナリオ:三輪清宗(ゲームデザイナー、ライター、オカルト研究考証家、神主、シーランド公国男爵?曰く謎の人)
世界線変動率:0.328403%(アトラクタフィールドα)
一言感想:本筋とのつながりが見えてくるが、Dr.中鉢が良い人演出には凄い違和感をもった。あと他より話が地味。
(ソーテール:ギリシャ語にて「救世主」)


第四話 阿万音鈴羽【幽霊障害のランデブー】 評価:60点
シナリオ:新井輝(小説家だが自身のブログにて「無職」と称する。代表作『俺の教室にハルヒはいない』等)
世界線変動率:0.337337%(アトラクタフィールドα)
一言感想:3人の鈴羽って!……流石にその発想はなかった。でも要はそれだけ。田村ゆかりさんが終始大変そうでした。
(ランデブー:待ち合わせ、デート、「会合・会談」の意のフランス語)


第五話 天王寺裕吾【雨鈴鈴曲のスクレイパー】 評価:40点
シナリオ:坂本正吾(シナリオライター兼声優。『アイドルマスター』との関わりが深い)
世界線変動率:3.386019%(アトラクタフィールドδ)
一言感想:これはホントに酷い!どうでも良くて荒唐無稽なシナリオより、FBとしての話を書いて欲しかった。
(スクレイパー:英語で機械や建築などで、表面仕上げをする「工具」)


第六話 フェイリス・ニャンニャン【桃色幻都のシャ・ノワール】 評価:65点
シナリオ:気賀沢昌志(フリーランスのライター。シュタゲ関連で書いているが、あんまり情報が無い)
世界線変動率:3.030493%(アトラクタフィールドδ)
一言感想:猫怪盗コスによるフェイリスと鈴羽の友情ストーリー。だけど肝心の中身が薄く、記憶に残りづらいです。
(シャ・ノワール:フランス語で「黒猫」)


第七話 漆原るか【迷宮錯綜のヘルマフロディトス】 評価:75点
シナリオ:安本亨(脚本家。代表作『Memories Off』『STEINS;GATE比翼恋理のだ~りん』『STEINS;GATE 0』等)
世界線変動率:0.456923%(アトラクタフィールドα)
一言感想:るか(女)の苦悩と成長が描かれ、無難にまとまっている印象。少し山場が足りないのが惜しいです。
(ヘルマフロディトス:ギリシャ神話の両性具有神。または美しい女体をもった「美少年」という意味を持つ)


第八話 椎名まゆり【悠遠不変のポラリス】 評価:80点
シナリオ:みかづき紅月(女性ジュブナイルポルノおよびラブコメを得意とする萌ライトノベル作家)
世界変動率:0.571046%(アトラクタフィールドα)
一言感想:最後の演出にやられましたね。あれはズルい!中盤の中だるみを一気に解消させた手腕に感服。
(ポラリス:こぐま座α星、こぐま座で最も明るい恒星で2等星。現在の「北極星」)


第九話 桐生萌郁【昏睡励起のクアンタム】 評価:80点
シナリオ:暁影二[アタットリー?](ネットで調べても本当によく分からない人)
世界線変動率:0.509736%(アトラクタフィールドα)
一言感想:萌郁の救済を描いた本作のダークホース。まゆりとクリスの繋がりが彼女の楔を引き千切った瞬間はGJ!
(クアンタム:物理の最小単位「量子」を意味する英単語)


第十話 岡部倫太郎【三世因果のアブダクション】 評価:90点
シナリオ:打越鋼太郎(著名なシナリオライター。ちなみに本名。代表作『Ever17』『極限脱出』等)
世界線変動率:4.456441%(アトラクタフィールドε)
一言感想:プレイヤーを唸らせ読ませる文章と構成が凄まじい出来。これだけでもプレイして良かったと思う内容でした♪
(アブダクション:個別の事象を最も適切に説明しうる仮説を導出する「論理的推論」。または「誘拐」という英単語)


第十一話 天王寺綯【月暈のビヴロスト】 評価:80点
シナリオ:林直孝(企画・原案は志倉千代丸だが、もはや『STEINS;GATE』の生みの親と言っても過言ではない人)
世界線変動率:0.337161%(アトラクタフィールドα)
一言感想:てっきりダークサイド綯の話だと思ってたけど、これはコレでOK!ダルと綯のコンビは意外と合いますね(^_^)。
(ビヴロスト:北欧神話において、神々が地上からかけた虹の橋を指す。名前は「ぐらつく道」を意味する)


【総評】
全体として“まゆり”の救済色が強くでた作品。
シュタゲ好きならプレイして損はないと思います。
ですが懸念していたライターの力量の差が、物語の質の面で顕著にあらわれる結果になりました。
個人的に採用する側は、もう少し人選を考慮して欲しかったですね。(主に三話~六話の人達)
それではきりが良いので、今回はこの辺りで失礼させていただきます。

エル・プサイ・コングルゥ―――