ErogameScape -エロゲー批評空間-

painsalさんの蒼穹のクレイドル -人形学園調教記-の長文感想

ユーザー
painsal
ゲーム
蒼穹のクレイドル -人形学園調教記-
ブランド
ルナソフト
得点
64
参照数
1641

一言コメント

どこかで見たことあるようなゲームシステムだと思ったら

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

サークルconstructorの「春風世界の魔法少女 -英雄の娘と虚構の姫君-」という作品とRPG部分がそっくり。
それもそのはず。企画、プログラムがconstructorの井之上コテツ(自称バグ培養機)だったから。
とはいえ、本作はそこまでバグは酷くなかったけど。
まず、総合的に見て本作はRPGとしては微妙な出来といわざるを得ない。
本作は様々な武器とそれに対応するアーツという技を覚えさせることによって、自由にキャラクターを育成できるという事になっているが、実際はアーツが5つまでしかセットできない上に、大半のアーツが対応する武器を装備していないと使えない。
そのため、同じ武器をずっと使い続けて、特化した方が強くなる。万能にする必要が薄いわけだ。
武器レベルを上げるとパラメータが上がるのでまったく無駄ではないのだが、フリーニート(とタロウズ隊3名)以外は得意武器が3つ設定されているので、実際は得意武器3つを中心に使うことになるだろう。
味方のBPを回復するバランスフィートは味方ターンにならないと使えないが、これが実に役に立たない。
BPが0になるとスタン状態でまったく動けなくなるが、それはいつまで経ってもアイテムが使えないという事を意味する。
そしてメンバーの入れ替えも出来ない。
HPとBPと状態異常は戦闘終了後に全快するので、つまるところMP回復アイテムさえ豊富に持っていけばいいということになる。他はすべて学級会のワイロに使う件www
つまるところ、最終的にはいかに敵のBPに多大なダメージを与えて行動不能に追い込み、先手を取って全滅させるかということに尽きる。BPにダメージを与えると同時にMPも回復するので、下手するとMP回復さえ要らなくなる。
自由度があるようでないので、やりこみゲーとしては微妙だし、後半はほぼ作業になる。
正直な話、前作の魔法少女リィの方がゲームとしては楽しめた。
学級会システムやアイテムのコメントなど、楽しませる小ネタはあるものの、根幹部分が駄目なので、埋め合わせにならない。
そして、イベントもあるようでないので、シナリオ部分もスカスカ。
プログラマがバグ培養機から途中で交代があったそうだが、根幹部分を考えたのはおそらくバグ培養機だと思われる。
プレイして思うのは、バグ培養機の悪い癖が出ていると感じること。
斬新なシステムで独自カラーを出すことには熱心だが、色々と脇が甘いところがある。それがバグ培養機たるゆえんなのかも知れないが。
工夫を凝らすこと自体はもちろん良いことであるが、しかしそれがプレイのしやすさや面白さに直結するかどうかはまた別物で、脇が甘いというのはそれが軽視されているきらいがあるところなんだよね。
ルナソフト作品って、どの作品も共通してプレイしにくいという欠点がある。アイデアは良くても面白さに直結しない要因は、案外ここにある気がする。
だから周回要素を増やしても、高難易度モードを実装してもかったるいのでやる気がしなくなる。
ついでに言えば、魔法少女リィもそうだったが、戦闘高速化が出来ない。特に全員スタン状態の場合は本当にかったるい事この上ないので、パーティーメンバーが5人に増えた上にスタンになりやすい本作では絶対に欲しかった。
ここに気がつかないと、ルナソフトに進歩はないな。
ルナソフトの欠点が最も良く現れた作品が本作だと個人的には思っています。