作品の構造とそれを作り上げる発想、そして怒涛の後半の伏線回収が凄まじい作品でした。未だ褪せぬ名作と語り続けられる所以をまじまじと見せつけられてしまった。
確かにとんでもない作品だと思ってはいるものの、中弛みがとても激しいなと思ってしまったのも事実。
海中の閉鎖空間に閉じ込められているという状況に対してあまりにも緊迫感を感じられなかったり、電波じみたヒロインがかき乱したりと辟易してしまった面もありました。
ただそんな中弛みと感じた場面にもしっかり伏線や謎を撒いてあるものですから、ある意味そのなんでもない日常を愛せなければラストでの衝撃も半減したのだろうなと思ったり。
そう感じながらもこの作品が好きになれたのは、一切本作のネタバレを目にしなかったことと、緻密で壮大なSFな世界観と閉鎖空間という要素が気に入っていたからかなと思ったり。
なんだかんだで最後まで楽しく読み進められましたが、他者に勧められるかと言われると首を縦には振りづらいのかな、と思いました。