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oumayaさんの9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあとの長文感想

ユーザー
oumaya
ゲーム
9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと
ブランド
ぱれっと
得点
92
参照数
125

一言コメント

9-nine-シリーズ集大成にして最高打点

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず一言。やられた。
自分はこの9-nine-シリーズを完全にキャラゲーとして楽しんでいた。
事前に鬱要素があるという情報を取り入れたうえでゲームをプレイしていたが「ヒロインが石になる」というまぁ鬱ゲーと呼ぶには物足りなさを感じるルートを見て、今シリーズをキャラゲーとして楽しむようになった。
実際2作目も3作目も、ヒロインの死という恋愛ゲームとしては重めのBADエンドが用意されているが、エンドの一つとして納得できる程度の鬱以下のものだった。

なので自分は「ここのつ」「そらいろ」「はるいろ」すべて、キャラゲーとして点数をつけている。
「はるいろ」でオーバーロードの所持者がプレイヤーであるというメタ演出が組み込まれた時、正直シナリオとしての最大瞬間風速はここで、後はなんやかんやあってイーリスを倒すのだろうと、そう考えながら今作を起動した。

結果、その「なんやかんや」で自分の情緒が破壊され、見事にトラップに引っかかってしまった。
そうだ。この作品は鬱要素があるのだと。
何度やり直しても愛する彼女が、仲間が殺され、殺され、そして殺される。
結果的にハッピーエンドとなるが、この作品の肝は純粋なタイムリープ物ではなく
「生み出された枝は1つの結末として残り続ける」という枝の仕様。

最終的にイーリスを倒した、しかし仲間も彼女も殺されかつての友人も消え去った、ただ「イーリスを倒した」という結果のみが残った枝もまた存在し続けているという事実が、この作品を名作たりえているのだと思う。

シナリオの完成度が高いのもそうだが、やはりキャラクターの仕上がりも一級品だった。
とにかく希亜が可愛すぎる。お前3作目まで猫被ってたんかい
致死量のギャップ萌えを摂取したことで完全に希亜の虜となり、そして案の定心をえぐられた。与一は絶対許さない。



全ての枝の幸せは、1本の翔が守り抜いたのだ。覚悟を貫いた青年に敬礼。