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otakuさんの太陽のプロミア Flowering Daysの長文感想

ユーザー
otaku
ゲーム
太陽のプロミア Flowering Days
ブランド
SEVEN WONDER
得点
60
参照数
565

一言コメント

圧倒的にボリュームが足りないッ!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

期待はずれ度高し。
理由としては一言にもあるようにまず何よりもボリュームが足りない。
そして「ぷぅ」をほとんどのルートで蚊帳の外においている事。
製作陣は「ぷぅ」いてこその高評価だと理解していないのか、まるでイチャイチャの邪魔者でしかないと言わんばかりの「ちょっと預かっといて」構成/攻勢

満足できたのはエレガノとフレアのアフターのみ。
この2ルートのみストーリーに芯があり、その流れに沿ってエロシーンがある。
ゆえにこの2ルートのみエロにも満足できた。

特にフレアルートは実の親娘でないフレアとその父の関係に焦点を当てながらその流れに乗って「ぷぅ」とコダマの関係にも最後にスポットを当てて幕を引いている。
「ぷぅ」の成長を喜びはしゃぐコダマと、そのコダマと一緒になってはしゃぐ「ぷぅ」の姿はこのファンディスクで最も印象に残ったシーン。

ゆえにおまけ的な3Pも「おまけ」として楽しめた。


しかし、一方でジゼル・ニーナ・リノ=レノのアフターはエロのためのシナリオでしかなく、そのせいでムードの欠片もないままにエロシーンに突入で、結果として全くエロくないという酷い矛盾。
アマリのアフターではエレガノ・フレア同様にシナリオに芯こそあるものの、「ぷぅ」の存在がかなり邪険にされており、おまけにコダマが盛りすぎ、アマリはアマリで無駄に面倒くさい。
おかげでストレスの方が大きくなる始末。
そもそもアマリアフターに限らずコダマは「コブつきの男やもめ」という稀有な属性を擬似的に与えられている主人公なのにそこらの学園モノのガキな主人公と同じような盛り方をさせる意味がわからない。

さらに言えばリノ=レノだけエロシーンが3つになっているのにレノモードのエロがないとか意味分からない。マジで分からない。ねぇ?バカなの?死ぬの?


そして新規攻略可能になったヒロイン、カシェットとエノセラ。
これも酷い。

カシェットルートに関しては短期間でエロシーンまで突入できる関係にするためにご都合主義で精神の成長を一足飛びにさせている。
これがひたすら気持ち悪い。
つい昨日まであくまで「子供」のように振舞っていた庇護すべき対象が、一夜で精神的に成長して「女」としての顔を見せたからといってあっさりと手を出すような人間が果たして保護者として相応しいのか。
「戸惑う気持ちを捨て、カシェットの気持ちを受け容れる」なんてさも美談のごとく言われても、気持ち悪いだけです。
そもそもカシェットの「そういった感情」の対象候補がコダマしかいない状況で「はしか」のごとく発生したそれを受け容れるとか。
長い時間をかけて成長したカシェットがコダマを選び、さらに長い時間をかけてコダマの保護者としての認識をカシェットが変えた、というのならばまだしもこの短期間での決着はあり得ない。

エノセラルートは何から何まで突発的なご都合主義設定。
それを奇跡とごまかす雑なシナリオ。
てっきり本編のグランドルート的なものを想像していただけに肩透かし度は形容しようがないレベル。
しかも最後は赤ん坊相手にこの子は俺のものだ的な光源氏ですら真っ青な発言。
ぺドってレベルじゃねーぞ?


ファンディスクってのはファンサービスの為の作品だと思っていたんですけどねぇ。
どちらかというとこれはファンからお布施を回収するための作品ですね。
これが定価\8000近いなんて信じられない。
酷いボッタクリがあったもんだ。

せっかくすばらしい作品に出会えたと本編をやって思っていただけに、思いっきり後ろ足で砂をかけられたようなこの気持ちをどうすればいいのやら。

各ルートの戦後処理的な話に日常を織り交ぜ、「ぷぅ」とコダマとヒロインの擬似家族的な関係、そしてイチャイチャというアフター。
北天姫と「コダマ」の出会いや、リノ=レノとエコーとそしてジゼルの「家族」としての過去、現六花が六花に選ばれた時の逸話や新人当時の珍エピソードなどといった本編では描かれなかったコメディシリアス織り交ぜた過去話。
さらには本編では見ることの叶わなかったIF的な世界を舞台にした幸せな日常コメディ。

そういった自分が期待していたものはほとんど得られず、ただひたすら・・・・などという程のボリュームもないやっつけエロスばかりのファンディスク。

本当に残念です。