藝術に生きる男の物語。
名作と名高いサクラノ詩。
後続作品のサクラノ刻とともに、プレイしてみたいと思いまして、手に取ったわけであります。
シナリオは素晴らしき日々でお世話になったすかぢ大先生。
文学作品からの引用だけでなく、さまざまな分野の知識量が膨大な方なのだと思います。
だから、テキストは文学的なテイストである一方で、全然わからない用語も頻繁に出てくるし、理解できないまま進めてしまうこともしばしば。
積んでる人だと好みは分かれるかもしれません。
文学作品では特に宮沢賢治の影響を感じられます。春と修羅、銀河鉄道の夜、よだかの星など…
特に銀河鉄道の夜は自分も好きで何度も読んだりした作品なので、作品により共鳴しますね。
共通ルートは基本的には大きな山場もそんなにないまま進んでいきます。
面白くなるのは共通ルートでも終盤の方と、個別に入ってからかなと。
正直、序盤は退屈という印象が強いです。
後半になると活きてくるような伏線もあったりするので、理解できない話なんかも多いのですよ。
共通の終盤では、弓張美術部員たちで草薙健一郎の遺作「櫻達の足跡」を完成させることに一丸となるところから自分は一気に引き込まれました。
個別ルートにおいては、ほぼ攻略順に縛りがあるので一本道に近いですが、物語が進むにつれて、様々な角度から草薙直哉という人間が明らかになっていきます。
この作品の凄いところは、芸術という一本のブレない太い幹がありながらも、散りばめられた文学的な言葉と複雑に入り組んだ意外性のある独創的シナリオ、それと同時に恋愛ゲームとしてヒロインの魅力や恋愛要素を成り立たせるという、とてつもないバランス感にあると思います。
正直、ここまでのシナリオのゲームなら、恋愛ゲームとして弱かったり、キャラクターの良さが出しきれてなくとも全然受け入れるんですけどね。
個人的に好きなキャラクターは、凛と雫ですかね。凛ルートはわりかし恋愛ゲーム感強めで、プレイヤーとして求めているものがありましたし、いざとなったら「凛ちゃん、性に奔放すぎんか?」というところも良かったです。雫もローテンションで好き好きな感じが良いのです。ショートカットの雫ですが、葛時代のロングでのシーンがあるのも制作者さんわかってるやんと。笑
とはいえ、シナリオ経るごとに藍ちゃんがどんどん刺さっていくというね。
好きなヒロインを選ぶ、これは難しい問題です。
また、この作品は一つの場面として印象的だったシーンも多かったです。
誰も期待してないでしょうが、勝手に好きだったシーンを箇条書きします。
・凛ルート 凛にリップを塗るシーン
・氷川ルート 川内野の独白、付き合い始めの屋上での何気ないやりとり
・雫ルート 桜6部作の贋作を墓碑銘としたシーン
Ⅵ章では、あの日からずっと立ち止まっている直哉の中に宿している情熱を感じられるものでした。
ここにきてのルリヲや鈴菜、恩田寧の登場はアツいです。
というか、既にこれはミニサクラノ刻が開演してるのですか?
それにしても、直哉も健一郎もカッコいいですね。男だけど惚れる。こんな大人に憧れますよ。
BGMは心地の良いピアノ曲が多いです。
また、各ルートでのエンディング曲が全然違うのも良かったです。特に、ZYPRESSENのエンディングは空間系サウンドが好みな音作りしてました。
(いや、これなんの話?)
まあ、序盤でつまづいたので、ほぼ毎日プレイしてクリアまで1ヶ月以上かかっちまいましたが。笑
作品を終えたあとの余韻は凄いものがありました。。。
サクラノ刻も必ずプレイします。