感動するシナリオ。魅力的なキャラクターたち。掛け合い漫才の面白さ。BGMは美しく、グラフィックは綺麗。ボリュームだって最高クラス。なのだが全体のバランスが悪い。アフターまでプレイする価値はありだが、そこに行くまでが作業的になっている。
オールクリア後は感動するのだが、後々で考えてみるとストーリーのコンセプトと矛盾する点が多いのが気になってしまう。
ループして光を集める(町の人々の幸せを集める)事をテーマにしておきながらも、杏シナリオでは、姉を選ぶか妹を選ぶかと葛藤するヘタレシナリオ(杏は俺の嫁と言いたいほどキャラとしては大好きだけど)になっているし、美佐枝さんや秋生などの他キャラルートも、単に彼(女)たちのシナリオを作りましたという無理矢理感しかなかった。
ボリュームはすごい。だからこそ、ごちゃごちゃとしている。大作ではなくして、ライターは麻枝准氏一人が作って、不要なキャラは減らして、家族愛だけを語った小さなストーリー(つまりはほぼ渚ルートのみ)にした方が良かったのではないだろうか? 縦でなく、横の構造を大きくしてしまい、シナリオが分散してしまったおかげで、テーマが見えにくくなっている。
とはいえ、アフターシナリオは素晴らしい。Keyの良さを全て詰め込んだ最高傑作に仕上がっていた。多感な時期の10代後半の私がプレイしていたなら人生観が変わっていたことだろう。
気になる点は多々あろうとも、私はキャラクターが活き活きとした、このゲームが好きです。