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onrさんのThief & TROLLの長文感想

ユーザー
onr
ゲーム
Thief & TROLL
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参照数
2891

一言コメント

人を選ぶとは思うが熱意を感じる力作。ゲームブック形式でダンジョンをあれこれ探索してゆくのが醍醐味。陵辱・異種姦がストライクゾーンならぜひ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

実際にプレイしてみると感じるのだが、このゲームブックスタイルという代物はビジュアルノベルとの親和性が非常に高い。
まあそもそも“サウンドノベル(シリーズ)”の成り立ちがゲームブックの延長上にあったらしいという話に鑑みれば、原点回帰、あるいは正統進化とも言えるので当然かもしれないが。
しかしながらビジュアルノベルにおける大きな特徴である、選択肢による「可能性の選択」というシステムをその基盤として据えるこのデジタルゲームブックは、
一見するとコンピュータRPGの一形態のようでありながらも、従来の俯瞰的・空間的なフィールド探索を主体とするそれらとは一線を画し、別の進化の方向性を示唆しているようにも感じられる。

ともかく、セーブ&ロードを駆使しながらも選択肢をあれこれ試してみて、その結果の変化を楽しめるタイプの人には特にお薦めしたい。
あたかもプレイヤーがゲームに対して行う選択肢の「模索」行為と、ゲーム内でキャラクターが状況に対して行う「探索」行為とが
一連の動作としてリンクしている(ゲーム性の「模索」がすなわちダンジョンの「探索」となる)、かのような錯覚を覚えるために
擬似的ながらもまるで自分自身が実際に探索行為をしているようで実に楽しいのだ。

ただボリュームに関して言うと、選択分岐による全てのパラグラフの総量としては結構なものだとは思うのだが、
単純にクリアだけを目的としてスタートし、ラスボス撃破のみを目指すと1プレイの長さとしては短め。
なのでチマチマとメモを取りつつ選択肢総当たり、みたいのがかったるい人が遊んだ場合、フルプライスにしては物足りなく感じるかも。
まあCGやシーンを収集しようとすれば、どのみち何周もすることにはなるのだが。
なおアイテム等の周回引き継ぎあり(ステータスは基本的にゲーム中で変わらない)。

まあ何にせよ、実際にゲームブックで遊んだ経験がないと単にチープなだけの作りとしか感じられなくてもおかしくはないので、
ゲームシステムが合うか合わないか、事前に体験版をプレイしてみて確認することを推奨します。

さて今作の主人公も複数(二人+おまけ一人)であるために一種のマルチサイト形式のような格好になるのだが、
前作のそれがどちらを選んでもほとんど同じパラグラフ・ストーリー行程をなぞるだけだったのに対し、今作では主人公によっての差別化がしっかりとなされているのがポイント。
最終的なゴールは共通であるものの、話の展開や進み方、キャラ性能や細かなゲームシステム、掛け合いやリアクションなどといった様々な要素が異なるので一粒で二度三度おいしい。
しかもそれぞれキャラも立っているので、一人クリアしたらもう一人、という気になってついついハマってしまう。
ゲームとして共有させるべき部分(ダンジョンやアイテム)と、キャラとして差別化させるべき部分(冒険内容)とをうまいこと組み合わせることで、
この主人公選択制もまた「可能性の選択」の一環(ゲーム展開の分岐)として機能している訳だ
(そういう意味で、一つの真実を別々の人物の視点を用いて多角的に描くという、厳密な多重視点・マルチサイト方式とは異なる)。

それと斬新だったのはベコウのヒッパーズシステム。
トロルの男主人公である彼はヒロインたちを見つけて陵辱すると、捕獲した(ヒッパーズに加えた)扱いとなりステータス上昇等の恩恵があるのだが、
それよりも戦闘画面で、ボロボロになって色々と丸出し状態のヒロインたちの、尻を突き出して四つん這いとなったあられもない姿が
ベコウの後ろにコレクションとして横並びにされるのだ。これはまさに壮観の一言。余所ではそうそう拝めないので一見の価値があると思う。

そしてこのベコウさんなのだが、これが予想外の良キャラ。昨今の主人公ではちょっと珍しい、己の腕力だけにモノを言わせて痛快に突き進んでゆく脳筋パワーファイター。
モンスターらしく自身の欲望に至極忠実で、敵と見ればとりあえず打倒撲滅し、女と見ればとりあえず陵辱蹂躙するのだが、
それらもちゃんと自分なり(というかトロルなり)の価値観に則っての行動であるし一本筋が通っているので妙に憎めない。だんだん漢のあるべき姿のひとつじゃないかとすら思えてくる。
またケープ(女主人公)も芯が強くて良い意味でサバサバしているのでプレイしていて嫌味がない。ただ選択肢によってはなかなかに鬼畜外道な一面も覗かせるのはご愛嬌。

ちなみにエロは大半が苦痛系の異種姦陵辱なので、今さらだけどリョナ苦手な人は要注意。
絵的なグロはないものの、女の子たちは大体が、必死の抵抗も空しく痛めつけられてボコボコにされる(特にベコウさんルート)。
というかぶっちゃけエロスとかじゃなくて単に女の悲鳴が聴きたいだけだろこれ。とも思うがまあ、個人的にも好物なので特に異存はない。

ともあれ、本来であれば避けるべきはずのバッドエンド部分にご褒美としてのエロシーンを配置することができるというのは、
これもまたエロゲとゲームブックスタイルとの相性の良さをうかがわせる一つの要因なんじゃないかなと。

そのほか細かな粗や欠点は、正直探し始めれば色々あるんだけど、ゲーム自体が面白かったのでそれほど気にならなかった。
まあ誤字や多少のバグ、フラグミス等はともかく、回想の使いづらさはサムネぐらい表示させるなりして改善してほしかった気がするけど。
あー……あと、ちくしょうにツッコんだら負けだと思ってる……。










以下、おまけでちょっとした攻略情報。あまり見かけなかったあたりで。










○ケープの錬金レシピ
像+金→金の像
弓+金→金の弓(※ケープルートでの強敵用主戦力。インゴット(金)は序盤の水路で入手。弓は事前にベコウルートでの詰め所の始め(196)で入手(※要シャルト)しておくと吉)
斧+銀→銀の斧
銛+銀→銀の銛
水晶+羊皮紙→不思議な呪印(ATK)
紫水晶+羊皮紙→不思議な呪印(DEF)

○フラグ一覧
全裸
半裸
レザーパンツ
キャストオフ
ピアス

リトルケープ
シャーム遭遇
シリアン遭遇
レイア遭遇
まいける
ベコウ最下層遭遇
刺客撃退
ベコウレイプ
非処女
ケープ捕獲
ワイト捕獲
シャルト捕獲
ヒッパーズ捕獲

○自分がリオックを<雌>まで倒した時の状況
・装備
攻撃用(岩/6回分、ピアノ/5回分、三条朱鷺/2回分) 防御用(扉/25回分) 回復用(ポーション/15回分、魔法薬/2回分)
・ヒッパーズ
ケープ、シャーム、ワイト、アナ、リトルケープ、シリアン
・基本戦術
初戦のリオック(無印)はスペシャルディフェンス時のみダメージが通るので、通常防御時は攻撃せず、大人しく回復(ポーション)に徹する。
二戦目のリオック(雌)は普通に攻撃できる。スペシャルアタックで毒を食らったらすぐに回復(魔法薬)。
基本は岩で攻撃、ピアノは岩よりやや劣るので補助的に使用。三条朱鷺と魔法薬は全てリオック(雌)用に取っておく。



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