開始2分で電車で立ったまま寝てヨダレをたらす後輩。5分で指に銀の糸を引く同級生。立ち絵の斬新さは随一です。
とてもおもしろかったです。前作の実咲ちゃんのような宇宙的なヒロインは今回は出ていないと思いますし、おっぱい幼馴染の千乃ちゃんの攻略ルートが是非欲しかったなどの不満点があるにはあるのですが、2回3回とやるにつれテキストの上手さとそれに伴うヒロインたちの魅力がとてもよく見えてきて、かけあいが楽しくてしょうがなくなってしまいました。
知り合い→友人→恋人という経緯の最中は強引さはあるものの常に楽しく発展していきますし、作品から絶対的に感じ出ているゆるーい雰囲気が多少のシリアス要素も必ずハッピーエンドになる事をどなたにも約束させ、最初から最後までとても安心してプレーすることが出来ました。もちろんこういったおバカな作品がお好きな方に限るのですが、このジャンルではもはやASaprojectは完全に業界をリードしていると言ってもいいのでは、昨今ではそのくらい抜群の安定感であると思います。
シナリオはほとんど関係ないです。ただ、素晴らしいテキスト能力といいますか、書き方一つでこんなにも楽しくなってしまうなんて、ライターさんの非凡の才能を感じずにはいられません。彼女たちと恋仲を深めていく過程はごく普通なのにも関わらず何故かワクワクしてきます。後輩の碧里ちゃんとの初心なやりとりはどこか懐かしくリアル。恋に臆病な先輩ですがむちむちの身体は女の主張そのもので、ネカフェでのカップルシートのシーンでは、恋人関係の初期においてあの狭い空間でお互いの息を近くに感じる事が双方の性的意識をいかに刺激し影響を及ぼしてしまうものか、シーンを採用したことその時点から緻密に計算されているなと感心させられました。また同級生の桜さんはわがままですが程度がとても良く、不快どころかそれが純粋な甘えである事をすんなり感じることが出来てしまいます。総合的なバランスが非常によくコントロールされていると思います。
凡百のメーカーであれば暴走してそのうち「ヒロイン全員バカ!」などの謳い文句で出したりしないかと心配にもなりますが、このような完成度を目指すこちらにおいてはそれは杞憂でしょう。これからもぜひ楽しませて欲しいです。