おしりってちいさくてもエロいんだよ
キャラメルBOXの作品の特徴は概ね、①作品のコンセプトがはっきりしている②設定されたコンセプトを深く掘り下げ作り上げる努力をする③その方向性は決して万人受けを狙うものではなく、あくまで製作チームの作りたい物の完成に徹し、ある意味マスターベーション的な方向性をも貫徹する、この辺ではないかと思っております。製作チームにはどちらかというと本物のオタクが揃っていて、得てしてバラバラの嗜好になりがちなそのオタク集団を何か強い力が一つにまとめ上げているような、そんなチーム力を感じさせるゲームが多いように思います。無論得意なもので勝負するというスタンスに異論はなく、出来上がった作品も高いレベルのモノが多いように見受けられ、個人的には肌に合わない作品も昔からあったりはしますが、メーカーとしての信頼度は非常に高いと思っております。
この雨芳恋歌という作品から捻り出されるエロスは、エロス業界においては基本に忠実である、斬新というわけではない、と言えるとは思います。主人公の設定はUターン教師とやや安易、或いはターゲットが少々狭い。元カノの妹と、偶然滞在する事になった民宿の若女将。降りしきる雨と閉鎖的な田舎の情景から導き出されるキーワードは当然のように「背徳」です。しかし、こういったキーワードを使い切りいわゆる抜きゲとして昇華出来た作品は数ある抜きゲーの中の何%くらいありましょうか。大抵はシナリオを度外視し、重要であるはずの恋愛のバランスを崩し脈絡を感じさせないままにセックスに突入してしまい、我々のオナニーにおいては、むしろこちらから画面に入り込む努力をしなければならない作品が殆どとなってしまっているのが現状だと思うのです。
しかし、この作品はそのような凡百のものではありませんでした。田舎の木造校舎と客のいない民宿から立ち上る、雨と木と生活の臭い。年端のいかない少女が胸に秘める複雑な思いと、自らの解放を望むも限界も知る若女将の自分自身への抵抗。作りこまれた背景と女たちは匂い立つ生活臭を「芳しい」ものとして映し出し、主人公と我々を特別な世界へ引っ張り込む。その芳しい世界とはエロス以外の何者でもなく、学生服のスカートからのぞく小さく健康的なお尻は、いずれ大人の汚い欲望に汚され異色を以って光る。影を感じさせる女将は、あくまでも私服でそれがただの日常風景であることを表現しつつも、もてなす食事はむしろ捕食側に向かう為の手段。一体となったそれらの表現は高い完成度を打ち出し、アヘ顔やお腹のぽっこり感などの次世代の手法を以ってして、我々をエロスの更に奥深くへと落とし込む。前述の言い方をさせて頂けるならば、こちらから意識を集中することなく勃起をする事が出来る数少ないゲームのうちの一つとして、高い評価が出来るのは間違いないと私は思っております。
古参も古参のこのメーカーなのですが、この作品から感じさせて頂いたチャレンジャブルかつ高品質を追求した姿勢は全く賞賛出来るものであると思います。次もおそらくはレベルの高い作品を放つことは間違いないでしょうし、これからも是非、我々を楽しませて頂ければと思いました。