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omenkoさんの装甲悪鬼村正の長文感想

ユーザー
omenko
ゲーム
装甲悪鬼村正
ブランド
NitroPlus
得点
98
参照数
595

一言コメント

至高のキャラゲー

長文感想

よくこの村正は人を選ぶと言われるが、全くそんな気はしない。
ただ、エロゲに理解があって、メカに興味があって、不意に体を動かしたくなったり、多少程度の鬱耐性と時間があれば誰でも…ん、やっぱり選ぶのかこれは?信仰心溢れてるとちょっと判断がつきにくい。

<シナリオ・テキスト>
シナリオに関しては様々な所で語り語られつくされているのでもう何も言うことはないですね。
最終ルートはもちろん、前半2ルートとも(伏線ばら撒きを抜けば)他のゲームならトゥルー扱いでもおかしくないほどの完成度です。
もちろん、ここってちょっと不自然だったんじゃ?と思うご都合場面はありますが、圧倒的世界観構築力の前には、いつのまにかこじつけて正当性を保つための解釈してしまってる私がいます。完全に惚れ込んでます。
テキストはちょっと独特というか、時代小説ベースにラノベっぽさをこれでもと押し出しているような…。
しかし、そのある種の気持ち悪さがいい方に働いており、登場人物のセリフ以上に力強さを持った地の文が目立ちます(例:◯◯の話を~とか、つまりは十分とか、第一幕は決闘であったとか)。
ただ、戦闘は地味なんです。攻撃と思考の繰り返しで必殺技でこのまま攻め立てるような展開はあまりありません。まぁ、そこが魅力でもあるんですが。
ですがそこまで焦らされる分、決め手を放つその瞬間の興奮ったらないです。

<キャラクター>
これ、本来ならシナリオと一緒くたに触れるべき部分なんですけどね。
よくシナリオにキャラクターが動かされているという言葉を聞きます。大抵は不自然な行動に対する批判として使われてますが、本作の場合はどうか。
村正のキャラクターはほぼ全員がシナリオのために作られたキャラクターと言っても過言ではないです。動かされているわけではないのです。まっすぐであったり、ねじ曲がったりな理念を持った人間たちが織りなす物語…まさに大河ドラマと言っていいのではないでしょうか。無論、制作陣の介入はゼロではないですが…村正を綴ったのは間違いなく一癖も二癖もあるキャラクターたちだと俺は思う。

<CG・演出>
特徴的な戦闘場面を(ある程度)多くの人に楽しませた最高の立役者です。
地味だけど理路整然とした戦闘描写とくそかっこいい劔冑が合わさり最強に見えます。
人によっては奈良原の戦闘描写は一合をもってほとんど決着がつくからこそ輝くと考える人もいるでしょうが、村正ではその全く逆を行きました。
パワードスーツを着せることが戦闘の長大化を招いたのは否定しません。ですが、メカという華を添えたのは全く間違いであるとは思えません。現にロボット要素に釣られ鷺沼さんでちんこシコるまでになった人間もいますしね。
そんなわけで村正の人気を支えているのはCGや演出が大きいと私は考えています。

<BGM>
とてもいい曲というのは少ないけれど、頭に残る曲ばかりだった。
(プレイ時間が長いのもあるけど)ほぼすべての曲で鼻歌が出来るってのは成長期を過ぎてすっかり記憶力の衰えた俺にとってすごく久しぶりのことなんです。
個人的に一番好きなのはブレイドアーツⅢですね。聞いてるだけで心が浮き立ちます。

<システム>
褒めるべきところはない。文句としてはムービーも見えるようにして欲しかった点。そして戦闘時に糞遅くなる超速スキップを改善して欲しかったこと。なんでスクリプト全部回しながらするんだよ。
でも劔冑図鑑は嬉しかったな。もっと自由にカメラ回せたらなおよしだったけど・・・3Dモデル扱うことになるからスペック的に厳しくなってしまうからオミットされたと好意的に受け止めます。

<まとめ>
すっかり信心極まってるので、俺にとって村正以上のオタク系コンテンツはもう出会えないと考えています。
最初に書いた条件に当てはまる人間なら誰もがハマれる力のある『作品』です。少しでも引きつけられたのなら是非プレイしていただきたいとおもいます。