ErogameScape -エロゲー批評空間-

oldreavesさんのこの青空に約束を―の長文感想

ユーザー
oldreaves
ゲーム
この青空に約束を―
ブランド
戯画
得点
77
参照数
521

一言コメント

エロゲを代表する離島ゲー。『WHITE ALBUM2』『パルフェ』とやって度肝を抜かれてきたが、丸戸シナリオなら絶対に刺さるわけではないのだとわかった。 初心者向けエロゲとしての安定感は素晴らしく、大好きな場面も多々あるのだが、受け入れがたい点はそれ以上に多く、褒めるにしろ貶すにしろ、何重もの予防線や迂回路を必要とするややこしい評価となった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

総プレイ時間:43時間40分
実プレイ日数:17日




※注意!!!
以下の膨大な文章のなかには、他の丸戸作品(『パルフェ』『WA2』)をはじめとして、他ライターの有名エロゲのネタバレも含まれます。(ただし、数万字の文章すべてにしっかり目を通すような読み方をしないとネタバレにぶち当たることはまずない、といってもそれほど間違いではないと思われます。)








昨年『WHITE ALBUM2』と『パルフェ』をクリアして、どちらも完全に "してやられた" 。さいしょは面食らった丸戸史明さんのレトリカルな文体にも馴れて、「自覚したうえで開き直る」キャラクターの描き方が大変自分好みだと確信もして、丸戸作品はいずれ完走したいと強く思った。
『パルフェ』をやった流れを汲んで、同じく 戯画×丸戸×ねこにゃん という体制での第2弾※である本作『この青空に約束を─』をプレイすることにした。「夏の田舎エロゲ」としても必ず名前の挙がる有名作である、という事前情報も動機のひとつであった。

※正確には『パルフェ』の前作『ショコラ』から数えて第3弾である。ショコラは未プレイなので忘れていた。すみません。


このゲームを始めたのは今年の年明け、1月10日。今は7月上旬で七夕も終わった。実にまる半年かかったことになる。途中で1ヒロインの個別ルートをクリアするごとに1, 2ヶ月の空白期間などがあった。ただ、自分のエロゲ進行スタイルは常時こんな感じで、1本のフルプライスゲーに1年近くかかることも少なくないので、本作が特別につまらなかったとかいうわけではない。




プレイした感想としてまず言っておきたいのは、いうほど「田舎ゲー」でも「夏ゲー」でもなかった、ということ。
(エロゲーマーの市丸ギン「言うたほど田舎じゃありません。言うたほど夏でもありません」)

舞台となる南栄生島は人口3,000人弱と冒頭で説明されている。主人公やヒロインたちが暮らす「つぐみ寮」は高台にあり、寮のベランダからは島の中心部が見渡せる。(そういう風景CGが何度も登場する。)このCGを見れば明らかなように「わりと栄えている」と言えるだろう。それもそのはず、この島には出水川重工という産業ファンドが15年前に進出して栄えた、という設定が本作の大きな軸であるのだ。その企業が撤退を決め、また寂れていっているとはいえ、「離島ゲー」と聞いて未プレイヤーが想像するような(『Summer Pockets』のような)、ほんっとになにもない、集落がぽつぽつとある程度の田舎の離島ではない。アーケード商店街だってあるし、学校だって3学年あわせて98名もの学生がいるなんて、もはや都会だといってもいいくらいだ。
ついでにいえば、自分は沖縄に住んでいた頃にいろんな離島へ一人旅をしていたので、南栄生島よりもずっと人口の少ない、せいぜい3ケタ人口の離島のイメージが強くあるのも、「十分に栄えてるじゃん!」と肩透かしを食らった一因かもしれない。

また、いうほど「夏ゲー」でもない。「青空」をタイトルに冠していることから爽やかな離島の夏のイメージを強く喚起することは確かだが、シナリオとしては1年間の四季を描いていると紹介するのが適切だろう。もちろん、各ヒロインの個別ルートに入る分岐、すなわちキャラとの恋愛関係が始まり物語が大きく動き出すのは8月の夏休み(特にお盆)の時期である。しかし、ルートに入ってからは、文化祭のある秋から冬にかけてもしっかり描写をしているし、なにより、「つぐみ寮」でのヒロインとの共同生活という基本設定のタイムリミットが「一年間」であり、"次の春" まで寮を守り抜いて《みんな》で楽しく過ごすという《約束》がストーリーの柱であると序盤で宣言される。つまり、明らかに本作は重要モチーフとして「四季」を扱っており、また扱っていると見做さなければ本質を決定的に見誤ることになる。「夏」は、その四季のなかの──たくさん思い出の詰まった──いち要素でしかない。

・・・と、ここまで読むと、このひと(=わたし)は本作が言うほど「夏の田舎ゲー」じゃなかったことにブチ切れているように見えるだろうけれど、実際のところまったくそんなことはない。……まぁたしかに、夏の田舎ゲーをやるためにエロゲをやっているといっても過言ではない身としてはすこし残念だけれど、わたしが『この青空に約束を─』に(過去の多くのプレイヤーのように)高評価を下さないのは、「夏の田舎ゲーじゃなかった」からではない。それとはまったく無関係に、色々と不満点が多い。それを今から述べようと思って書き始めたのだが、軽い前置きのつもりがもうこんなに弁を弄してしまった。



不満点を述べる前に、まだ少しだけ褒めておきたい。
まず、演出面(視覚・聴覚含む)は明らかに前作『パルフェ』から進化していて良かった。基本的なシステム・UIが同じなぶん、演出の進化が際立っていた。(背景CGの灯火の明かりが簡易アニメーションで光り方を変えているのとか、パルフェからあったっけ?)
演出といえば、地味に本作のいちばんの美徳を体現しているとさえ思えるのは、各エピソード終了時のアイキャッチ?演出である。ゆ〜っくり、画面下部から白いモクモク雲が現れて暗転する。あの、一瞬フリーズしたかと不安になるくらいの "のんびり感" こそが『この青空に約束を─』の本質といっても過言ではない。現実を忘れさせてくれる楽園的空間。似た演出として、ゲーム終了時に出る「また会おうね、約束だよー」というテキストもめちゃくちゃ好き。



   ◆ ◆ ◆


この作品の何が自分に合わなかったのか、それをもっとも端的に表すなら「《ハーレムもの》だから」となる。
……(一言感想に書いた通り)ここですぐに留保が必要となる。まず、多くのエロゲは基本的に《ハーレムもの》であるといって良いだろう。男主人公はだいたい複数名の美少女にモテる。なんかしらんけどモテる。ハーレムものだからといって嫌うなら、ほとんどのエロゲも同時に嫌うべきだ。お前は今すぐエロゲをやめてエロゲー批評空間のアカウントも消し、美少女どころか誰にもモテるはずのない《現実へ帰れ》!!!
そもそも、この作品の前にやった『パルフェ』だって典型的なハーレムものではないか。あっちを絶賛してこっちを酷評するのはなぜだ。ダブルスタンダードだ。分裂症だ。
……以上の「声」はすべて、本作をプレイ中のわたしの脳内にこだましていたものだが、脳内会議によってこれらは(とりあえずは)棄却された。議長曰く──『パルフェ』やほか数多の(私が未プレイの)エロゲと本作が本質的に異なる点は、「これが《ハーレムもの》であることに自覚的な《ハーレムもの》である」点である。すなわち、先程の「自分に合わない理由」をもう少し正確に表すなら「これが《ハーレムもの》であることに自覚的な《ハーレムもの》だから」苦手だった、ということだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハーレムものの作品一覧#ゲーム_2 ※ちなみにwikipediaの「ハーレムもの」のページに本作も挙げられていた。……こんなん「ゲーム」の欄いくらあっても足りなくね??


本作の学生主人公:星野航(わたる)は、自身が《ハーレム》の主であると(島のみんなから)認識されていることに自覚的だし、自らも「つぐみ寮は俺のハーレムだ!」とヒロインに向かって叫ぶ。
「自覚したうえで開き直る」キャラクター。さらに、その「開き直り」自体の非倫理性・しょうもなさに自覚的なシナリオ。典型的な丸戸節である。

「だってこの場所は… 俺の、俺だけのハーレムなんだから! ここの女はみんな俺のものなんだから!」 ──星野航

そんな「自覚的ハーレム主人公」たる星野航は、島の政治的有力者を祖父に持つ「本家」の跡取り息子でもある。なんたる家父長制の権化! Toxic Masculinity万歳!! この家柄設定も、言うまでもなく、この作品の「自覚的ハーレム性」を示す一要素である。……というか、そもそも、本作が「離島ゲー」であること自体が、(プレイすればわかるが)歴史的・空間的に「閉じた」保守的共同体の社会を露骨に表現するためのモチーフ選択の結果である。
そんな「島」の「本家筋」の「跡取り息子」として生まれ、他には女学生(と女教師)しかいない「学生寮」に暮らす男子生徒……このように、星野航は何重もの「男の理想」たる保守的な枠組み(《ハーレム》)のなかに位置付けられているキャラクターであり、この人物を主人公として物語は展開される。

ここまで言えばもうわかりきっているだろうけれど、わたしは本作の主人公、星野航が最後までそんなに好きになれなかった。……ここですぐに留(ry
もちろん局所的なシーンを見ていけば、すごく好感の持てる場面はたくさんあった(と思う)のだが、1人のキャラクターとして好きか嫌いかといわれると、そんなに迷わず後者を選んでしまうくらいには苦手だった。無論、エロゲの主人公格のキャラクターはプレイヤーの分身であり、「1人のキャラクターとして好きか」を問うことに意味がある審級には属していないと言われたらそうなのかもしれないが、わたしは基本的に「主人公」も客観的にみて、他のキャラクターと同じように消費するスタンスでエロゲをやっている(それでこれまで楽しんできた)ので、あとは信仰の問題(=HITO SOREZORE)である。
航の、あまりにも明け透けに《ハーレム》を宣言し、それを自覚することで許されようとしている感じ──実際に島民やヒロインたちからは許されている──がどうにも受け入れ難かった。
「自覚なきハーレム主人公よりは、相対的に自覚のあるハーレム主人公のほうがまだマシなのでは?」という見方も当然あるだろう。当然考えた。しかし、航が使う「ハーレム」という言葉には、自身の特権性を相対化したり分節化したりする効果があるのではなく、むしろ、そのハーレム性をコメディとして、"なあなあな感じ" で許して流してしまう効果があるのだ。それが問題だ。前述したように、航のハーレム宣言をヒロインは「許す」。それどころか、受け入れ、積極的に乗りさえする……「冗談として」。「何バカなこと言ってんのよ!」と《ツッコミ》を入れても、それは攻撃ではなく馴れ合いである。
本作の基本トーンはラブコメ──ラブを潤滑油にしたコメディであり、この笑いの絶えないあたたかな空気のなかで、航の「自覚的ハーレム」はギャグとして肯定され、そこんじょそこらのエロゲ主人公の「無自覚ハーレム」よりもずっと危ういものになっている。

だから、やはりわたしは、何度も最初の言を訂正せねばならない。主人公:星野航の思想や言動が苦手というよりも、「主人公の言動の、まわりのヒロインからの扱われ方」が気に入らないというほうがより正しい。星野航をとりまく環境──つぐみ寮、そして南栄生島そのもの──が、根本的に肌に合わない。(表面的には、合うことも多々あった。) 自覚した航の開き直りが、自覚した対象(ハーレム性)をむしろ温存し隠蔽する方向に働いているのだという自覚がシナリオからは十分に読み取れなかった、といってもいいかもしれない。

エロゲ主人公よ、ハーレムをやめろ。もしもやめることがどうしても出来ないのなら、ハーレムを自覚するのをやめろ。開き直るのをやめろ。お前は "ほんとうは" まさにハーレムの渦中にいて、そこから絶対に抜け出せないのかもしれないが、せめてお前だけは、自分はいま目の前にいるただひとりの女を愛し愛されているのだという確信のなかで生きよ。その幸福は別の女の屍の上にあることを自覚して踏み越えていけ、どこまでも。



以上のことは「合わなかった」理由のほんのひとつに過ぎない。ただし根幹の理由のひとつではあるため、他の多くの理由とつながっている。これと地続きな別の苦手ポイントとして、本作の持つ構造的な矛盾点を簡単に指摘するにとどめよう。

このゲームは主人公と一緒に「つぐみ寮」で生活する6名のヒロイン(同級生2人, 下級生2人, 上級生1人, 教師1人)それぞれと恋愛関係に発展する個別ルートが存在する。ただ、物語のメイン──いわゆる「共通ルート」の本筋──はヒロインとの恋愛ではなく、上で少し述べたように「つぐみ寮」解体計画を阻止するために学園長陣営と鍔迫合いながらも残り1年間の共同生活を謳歌する……という「みんな」を志向したものだ。
複数名のヒロインに囲まれた、疑似家族的な「みんな」のあたたかい居場所を望む気持ちと、そのなかの「ひとり」と私的な恋人関係を取り結びたい気持ち。この相反するふたつの願望の両立といえば、前作『パルフェ』でも存分に描かれていた。ただし、『パルフェ』ではそれほど違和感がなかった "両立" が、『この青空に約束を─』では "矛盾" として感じられてしまった節はある。それはなぜだろうかとずっと考えている。

『パルフェ』とのもっともわかりやすい違いは、本作の「みんな」の共同体である「つぐみ寮」は寮であって、彼らは毎日文字通り寝食を共にしている点だ。『パルフェ』では、いくら「ファミーユ」と名付けられていても、実際の家族のようにみんなで住むのではなく、あくまで職場として仕事("on" 状態)のみんなが集う場所にとどまっていた。それぞれに私的な居場所、自宅は別にあった。逆に言えば、私的な領域は別にあるからこそ、そこにヒロインを招き入れたり、逆にヒロインの自宅・自室へ足を踏み入れたりというイベントの「イベント」性が高まり、その境界侵犯によって恋愛関係の個別ルートへと物語を駆動させることができる。部屋が隣同士のカトレアなどは象徴的だ。(ベランダでのキスという境界侵犯)
しかし本作では、物語の最初から「みんな」が一緒に住んでいるし、その状態ですでにある程度の日々を過ごしている。新しく島に引っ越してきた「異邦人」たるセンターヒロインの沢城凛奈でさえも、ゲームが始まった瞬間から、つぐみ寮の星野航の自室(もっとも私的な空間)で一夜を過ごした状態で現れるなんて、なんと丁寧なんだろうか! また、そのゲーム開始からたった数クリックのうちに、幼馴染同級生ヒロインの羽山海己が航の部屋の "扉を開け" てなかに入ってくる(境界の侵犯)。ものすごく露骨に、「本作は『パルフェ』とは違いますよ〜。最初っから登場人物たちの私的領域は侵され溶け合っていて、それが本作における「みんな」の共同体なんですよ〜」と主張しているといっていい。

だから、本作における「みんな」と「ひとり」の調停/共存/両立は、『パルフェ』のそれとはまったく異なる。「家」というもっとも日常的な空間が最初から共有された、はるかに「みんな」性が強い場において、そのなかの「ひとり」と「抜け駆け」することは難しそうに思える。
そして実際に、それが成功しているとは言い難い。特に、本作は18禁アダルトゲームであり、ラノベや一般向けラブコメ漫画とは「抜け駆け」の意味内容が決定的に異なる。単に告白をして恋人になって手を繋いでキスをして……で終わらせることはできない。性行為を(何度も、執拗に)描かなければならない。とすると、当然「どこでするのか」という課題が喫緊のものとして持ち上がってくる。なにせみんな部屋がひとつの廊下に対して横並びであり、しかも寮は古い木造建築。防音も何もあったものではない。結果として、他の「みんな」から隠し通すことはいくらファンタジックなエロゲ空間といえども不可能に近く、多くの場合は「見て見ぬ振り」をされることになる。主人公たちは蜜月がバレないよう必死に色々と画策するのだが、すべて筒抜けのまま見逃されていたり、すでにお互いに暗黙の了解としてスルーしていたりする。そのうえで、残り一年間しかない大切な「みんな」での共同生活は維持される。
また、一部の個別ルート(海己ルート)では、より深く「みんな」と「ふたり」の関係の衝突が浮き彫りになるが、それも最終的には対立が解決されたり止揚されたりはせず、なんかなぁなぁで「許される」。
このように、本作は「みんな」での楽園的な共同生活を(全力で守り抜くべき尊い対象として)称揚するわりには、個別ルートに入ったら「みんな」よりも「ひとり」との恋愛シナリオに注力してしまい、前者をおろそかにしているように感じられた。むろん、各ルートごとに細かい差異はあって、恋人関係の進行のなかで肝心の寮生活存続の危機に繋がってしまう話(沙衣里ルートなど)もあるのだけれど、やっぱり「恋愛(ふたり)> 疑似家族(みんな)」という序列は拭い去れない。何よりも心苦しいのは、前述の通り、他のヒロインたちが「抜け駆け」を何やかんやで「許す」点である。これも、冷静に考えれば、つぐみ寮生に求められるのは平和な寮生活の維持であって、ひとりが航と抜け駆けしたぐらいで人間関係に亀裂が走ってしまっては、もっとも尊ぶべき「あと1年しかない共同生活」が台無しになる、だから、いわば(自分を含めた)「みんな」を人質に取られているから「ふたり」を許さざるを得ない……という力学がはたらいているのかもしれない。ただ、それでも、「みんな」がいちばん大事だという作品の根幹姿勢とは裏腹に、プレイヤーがプレイ時間の大半見せられているのは「ふたり」による恋愛話であり、どうしても──それが表層的な矛盾だとしても── "矛盾" していると感じてしまうのだ。
これは、先の言葉で言い換えれば、本作の掲げる《ハーレムもの》(つぐみ寮での共同生活)と、本作が《エロゲ》であるがゆえの要請(ヒロインとの恋愛描写)が作品の基底でぶつかり合って食い違っている、ということになる。当然ながら丸戸シナリオでは複数人でのプレイや乱交などといったマジの「ハーレムエロゲ」を描くはずもなく、この食い違いは最後までしこりのように残ったままであった。

より率直にいえばこうだ──航はつぐみ寮の誰とも付き合わずに残り1年のハーレム生活を謳歌すりゃあいいじゃん!! でないと「約束の日」が茶番になっちまう〜〜〜!

・・・という身も蓋もない感慨を抱いていたところに、「裏」ヒロインとの「裏」ルートがあるらしいという情報が飛び込んでくる。
この "7人目" のヒロインはつぐみ寮生ではなく、つぐみ寮の「みんな」の感動ストーリーの "部外者" である。さすが丸戸史明、信じてよかったと思った。要するに、これまでの本編での個別ルート×6はすべて(冗長な)前振りであって、この裏ルートこそが本当のTrueルートでありTrueエンドなのである、と、そう自分は解釈している。この裏ヒロイン自体がとても魅力的だからというのも当然あるが、「つぐみ寮」のみんなとの一年間の物語を外から相対化し、航の物語に決着をつけるという意味でも完璧な構成であると思えるのが大きい。(ただし、何度もいうように、なぜかこのゲームは最後まで絶賛させてはくれず、また別の問題点──すでに他ヒロインの個別ルートで徹底的にコケにして乗り越えたはずの思想/設定を最後にしれっと復活させる──があるのだが……。嗚呼、もういい加減堪忍してつかぁさい!!!)

このように、丸戸シナリオの真骨頂である「愚かさの自覚」が十全に発揮された見事な構成ではあるのだが、だからこそというべきなのか、次から次へと「う〜〜ん」となるポイントも出てくる、なんともスッキリしないゲーム体験となった。

各ヒロインの個別ルートに関しては、以下の【プレイ中の感想メモ】に書いてあるので苦労して探してほしい。
基本的にどのキャラクターも大変に魅力的なのだが、個別ルートで恋愛関係に入ってからの描写でかえってキャラへの好感度が下がったりプロット自体にモヤモヤしたりすることがとても多かった。むしろ、単体のキャラクターとしてはもっとも好みではない奈緒子(会長)ルートが、シナリオ的にはいちばん評価できる内容だった。

<全クリア時の各ルート所感>
共通ルート:80点強
静ルート:70点強
宮穂ルート:70点強
沙衣里ルート:65点強
奈緒子ルート:80点強
海己ルート:80点弱
凛奈ルート:80点弱
茜ルート:80点強

キャラクターの好みはまた別である。普通に 同級生組>下級生組>年上組 の順で好き。







【プレイ中の感想メモ】

美少女がたくさんいる寮だ・・・・・・
恵麻姉さんと同じCVのキャラがいる!!!
髪色がバラエティに富んでいる。パルフェよりも伝統的な2次元美少女デザイン寄り?
「南栄生島(みなみさこう-じま)」
メインヒロインがピアスしてる!学生キャラで珍しいな
幼馴染の2番手ヒロイン・・・
島人口3000人弱。Z県。15年前に出水川重工の進出
本州から船で10時間!? どこだよそれ。小笠原諸島? 南西諸島?
高見塚学園。島の南西の高台、全校生徒98名の唯一の学校。意外と多い。教師10名
4月5日、新学期からのスタート。
ものすごいテンプレ展開・・・と思ったら早速ブラフで外してきて草 これで6人の攻略ヒロインが揃ったのかな。いや、すでに7人いないか?先生は対象外?
生徒会の同級生の友人たちが島を出ていった? 
218段の石段を上り下りして登校/下校
やけに演出凝ってるな。立ち絵に文字のエフェクトを入れたり、夜桜のスチルで背景とキャラを切り離して簡易アニメーションっぽくしたり、風呂シーンでうっすら湯気をかけたり。
あと複数人が順に喋るときの立ち絵の切り替えがスライド式なのも初めて見た。

幼馴染の海己は田舎性の象徴で、転校生の凛奈は都会性の象徴っぽい
歴史性。皆で仲良く、近所付き合いは大事 / アウトローの個人主義。希薄な歴史性

男主人公以外は1年後に全員寮/島を離れて取り残される、というのは、エロゲ的設定の幻想性みたいについ解釈しちゃうな

お〜〜めっちゃ丸戸節が炸裂しとる。お節介さ/加害性を自覚した上で開き直るいつものパターン
ハーレムであることを自覚的に明言しなければ気が済まないのもそう

Act.1 Spring
あ、これもイベント選択式なんだ


[22_0114]
まずは攻略サイト見ずにやってみる

1チャプターごとにタイトルがゆっくりと表示されるのが、なんというか、このゲーム全体のプレイ体験を支えている気がする。
のんびりした離島での日々の演出というか。

バックログのクイックジャンプ機能を使うと画面がバグる。ので使えない

1500mで20秒差かぁ・・・結構あるな

Act.1 Spring 終了!!! ここでやっとOPか(スチルのネタバレをくらいたくないので飛ばしたけど)
マラソン大会、オチは予想できたけど、それでも流石に盛り上げるのが上手いな〜〜〜 高校のマラソン大会を思い出した
運動のできる元気系エロゲ主人公。なよなよ系より良いか。ハーレムでセクハラ気質なのは時代的に仕方ないか……
やっていて心地よく、作品の世界、この島での日々にずっと浸っていたいと思わせられる。
凛奈めっちゃかわいい。スタイルもいいし。まさか長距離やってるとは……傷心の天才タイプの典型的なヒロインの1人だけど、魅力的
家庭問題の悩みで突っ張ってたけどめっちゃ素直だし良い子。これはツンデレとは違うよな?

こいつら20歳でいいのか? 航や海己や凛奈たちは。酒飲んでるけど。
「学園」が何年から入学なんだ。18-20歳か? ツッコんじゃいけないとこ?

というか、最初、後輩ペアの静と宮穂のうち、特に静を優先的に選んでイベント進めていったけど、Act.1最後の凛奈加入後に静とのイベントがあったのは、そういうこと?? Act.1の選択によって誰の個別ルートに行くか決まる感じ??
ってことはAct.2 Summerは個別ルート?? そんな感じはしないけど。

もう1つ疑問なのは、これ春夏秋冬の1年間やるのか?? 3月で寮が閉鎖で離れ離れらしいから、普通に考えればそこまで1年間やるだろうけど、しかし自分は本作を「夏ゲー」の代表作だと聞いているぞ。AIRと車輪に次ぐ夏ゲーの有名作だと。批評空間のPOVを見るとそんな感じだし
Act.2の夏がくっそ長いのか、なんなのか・・・・・・

あと、もうひとりの転校生であるあの口が達者のツインテ娘も攻略ヒロインなのか? 彼女はつぐみ寮生ではないっぽいけど。まさか里伽子みたいなパターンではなかろうし。彼女も入れると7ヒロイン制ってことになる。そんなに多いのか。あのアサちゃんを思い出す早口ゼリフのコメディ感はなかなかに好きだが

典型的な幼馴染枠の海己も当然ながら好きだなぁ。丸戸さんなら、個別ルートでありきたりの関係からさらに一歩踏み込んでくる予感がするので期待
宮穂もかわいい。キャラデザも良いし、性格も好き。静は、既視感の在り処を探ったらユースティアのロリ娼婦アイリスだ! そんなに好みじゃないと思ったけど、喋り方とか孤高でクールな感じとか(鈴を叩くところとか)わりと好きになれるかも……と思えてきている。
今のところ歳上ペアの先生と会長はあんま興味ないけど、彼女らのイベント見ていけば(自分の)好感度上がると期待。先生は八重歯が見えるキャラだけど、凛奈もちょっと八重歯っぽいの見えてるCGあるような。歓迎会のスチルとか。

思ったよりも島の人口が多く、学生数も多い。もっとのんのんびよりみたいな過疎地域を想像してたので。
だからあんまし田舎感は無いんだけど、数千人規模の離島モノとしてはなかなか良い。(離島≠田舎)
島のいろんな場所の風景CGが楽しみ

マラソン勝負で「約束」がすでに一度出てきたわけだが、タイトルにあるこの単語がこれからどう扱われていくのだろう
寮生が5人以下になったら即廃寮とか、遅くとも来年3月には廃寮とかいった、露骨な敵キャラから課された取り決めも「約束」といえばそうだし。
スタート地点で凛奈に言った「晴れか土砂降りかどちらにしろ。曇ったままでいるな」という台詞で「青空」もすでに持ち込まれている。

パルフェからの文脈でいえば、ファミーユ=つぐみ寮で、こっちでも「開かれた共同体」を志向しているのかもしれないが、しかしこちらは寮であって店じゃないから、ファミーユよりは閉じている。その分、物理的に家が同じで一緒に生活しているので、「家族」感は強い。
ゲーム開始時点ですでにその共同体の歴史がある程度存在していて、「皆」との絆が深いのもパルフェと同じ。そこに外部からの新規加入者としてメインヒロイン枠の由飛=凛奈がやってくるのを迎え入れる構図。とすればあのツインテお喋りロリがカトレア枠?? そんなキレイに対応しているはずもない

やはり本作ならではの要素として期待したいのは、離島という舞台をどう上手く使ってくるかだな。主人公は誰よりも島育ちで、1年後も島に残っているらしい、という点が気になる。同じ離島ゲーのサマポケは主人公が島に外からやって来る冒頭だった(ぬきたしも)けど、そういう来訪者系の主人公ではなく、土着住民系の主人公であるところが掘り下げられるだろう。


・Act.2 Summer

[22_0216]

凛奈めっちゃデレてて草 海己ちゃんヤンデレにはならないでね〜〜

すごい! 窓越しに立ち絵の上半身だけが見える演出はじめて見たかも
玄関の外からと中からの背景が両方あるのも良いな

マジでこの女(茜)はなんなんだ……得体が知れない……ひとりだけ寮生じゃなくて……

都合のいいハーレムだけどみんな仲がいい幸せで平和な空間でいいなぁ

今のところ 同い年組>年下組>年上組 かなぁ。
海己>凛奈>宮穂>静>先生>会長  茜は別枠

クラスメイトの横町こずえさん、良い意味で非-攻略ヒロインとしてすごく良いキャラだな。ショートでややガタイがいい女子

宮穂、パルフェの明日香ちゃんに引き続き、主人公を特別な名前で呼ぶことにこだわりを持つ後輩キャラか?
宮穂ちゃんの表情差分いちばんすき

静、第一印象は良くなかったけど、こういう孤高のマイペースキャラは好きだなぁ
ないとうやすひこ君、チャラそうだけど普通に良い奴じゃん。友達くらいにはなってあげたら? 静さん

静だけ裸の立ち絵(上半身)をガッツリ普通に出しているのは、本当に彼女を「まだ女性以下の性的対象には達していないキャラ」として扱おうとしてるってことか? これで静√に一切シーンが無かったらそれはそれでめっちゃ凄いと思うけど。

普通にアウトなセクハラ=性犯罪をかましまくってるんだよなぁ。寮の仲間=家族だから問題ないとかいう言い逃れ付き
えっ、海己って凛奈より大きいの!? 衝撃の事実

八橋大……ってパルフェの仁たちの大学だったっけ?
こうして繋がるのか〜〜 フォセットでも明日香シナリオでサザンフィッシュ出てきてたし

みんなの水着に時代を感じる

つねにセクハラエロコメディオチ

海己、思ったより病んでるな……
小さい頃に航とトラウマ的な出来事があり、それ以来航に依存し、そして「みんな」が1人でも欠けることを極端に恐れるようになった。
典型的なズブズブ幼馴染で好きだと思ったけど、事件の呪いを引きずるような形での幼馴染関係はどうなんだろうなぁ・・・
自分は幼馴染の本質を、「特にきっかけや理由はなく深く繋がっている」という意味で「日常性」つまり「非-ドラマ性」にあると思っているので、海己-航は真反対のパターンなんじゃないか。
……いやぁ、めんどくさいヒロイン自体は好きだけどね??? 最後まで読んでみないとわからんな

メインヒロインの凛奈も、航(たち)に打ち解けたことでかなり印象が変わった。簡単に言えば露骨にデレて「チョロい」キャラになった。
デレ以前のツンツンとした孤高の佇まいのほうが好きだった感も正直ある。パルフェの玲愛がデレ前のほうが好きだったのと似たような感じで。
まぁしかし、快活でよく笑うこちらの姿が本来の凛奈であるのだろうし、これから慣れていけば良いのかもしれない。
ツンツンと孤高を保っているキャラとして、静にだんだん愛着を感じてきたのはある。


[22_0220]
凛奈のそのピアス、重要アイテムだったのね

教室の机を寄せ合っている背景差分、泣ける
『こころ』かと思ったら『チャタレイ夫人の恋人』が出てきた

いつの間にか静ルートに入っているっぽい。
・・・なるほど。静だけ共通パートでふだんから風呂で上裸の立ち絵を見せていたのは、こういうためだったのか
当たり前に見せていたものを水着で隠すことで逆に扇情的になり、それを脱いで手で隠すことで余計に・・・
性の目覚め。ある日突然「女」になる。恋愛ではなく性愛。
客観的には完全にアウトで、そりゃあこんな乱れまくってる寮は取り壊しになっても全く文句は言えない。航は監督責任が……
WA2の小春やパルフェの明日香ちゃんのような「後輩・年下キャラ」ともまた違った、いわゆる「ロリキャラ」なので、余計にアウト感が強い。ユースティアのアイリスに(髪色や背丈や性格まで)すごく似てるけど、あっちはもともと娼婦だしな・・・
航は経験豊富なのか?

パルフェのクリスマスに相当する分岐点が本作ではお盆なんだな。
たしかに個別ルートに入るには、つぐみ寮のみんながいる状況では都合が悪い。全員帰省してもらったほうが良い。

精液嫌がるのいいな。和姦エロゲのヒロインって大体みんな何やかんやで都合よく呑んでくれるイメージがあるので

これ、今夜初体験を済ませるとして、その翌日みんなが帰ってきたあとどうするんだろ
まさか隠し通すわけにも行かないだろうし。とりあえず怒られたあとが問題だ。
一気に数年後に飛んで晴れて堂々と付き合う……なんて肩透かし展開はないだろうけど

[22_0226]

性教育してる。
・・・ふつうにレイプやん…… 痛がって暴れてるのに無理やり行為を進める航は最悪だけど、なぁなぁで絆されずにちゃんと苦しみを表明してジタバタ反抗する静を描いてくれるのは良いな。まぁ静がしたいって言い出したのだけど。

ここで 「Act.3 静」のアイキャッチがおそらく初めて出た。

静の同級生のモブ女子の立ち絵たくさんあるな……

青姦だ。H-CGで背景に自然の風景が描かれてるのあんま見たことないな

普通に飲酒してるけど、18歳以上なんだっけ。法律が異なる世界なのか
というか、先生もなぜ航に静のことを相談するんだ。同じ学生の身だろう。
つぐみ寮の「父」であり「家長」的存在ってか?
静は血縁・戸籍上の両親から逃げてつぐみ寮に引き取られたが、そこも結局は「イエ」であり、父権的存在の庇護=支配からは逃れられない。
翻せば、静は別に家族そのものを嫌っていたのではなく、家族のなかの選好があっただけ、ということか?

そこをコメディにしちゃうのか……
みんなの寝間着かわいい
秋服に変わってる?

そりゃ航が悪いのは確かだけど、そもそも「あんたは静の保護者なんだよ」っておかしいでしょ
子供が子供を保護してどうする。もとを正せば、静をちゃんと庇護してくれる大人の「保護者」がいないことが悪いのでは。
(それはそれとして、さえちゃん先生がここにきて可愛く見えてきた)

やっぱ海己いいなぁ

「追試」をそうやってリフレインしてくるんかい

みんなで寄ってたかって扉の向こうの静に感動的な言葉を投げかけるの、卒業生の言葉みたいでちょっと草 (特に新参者の凛奈)
でも丸戸節だな〜 こういうところの逆説的なレトリックが上手いんだよなぁ レトリックだけで物語を構築しているといってもいいほどに。
奈緒子会長もちょっと好きになった。
個別ルートに入ってから、別のヒロインを活躍させるところもパルフェに続く丸戸節。
パルフェのファミーユとつぐみ寮を「開かれた共同体」として比較すると、より綿密さは増している。何しろ、一緒に住んでいるのだから。
それぞれに帰る家はあったパルフェと異なり、こっちはより実際的な意味で「家族」となって(しまって)いる。
だから、個別ルートでの閉じた恋愛がしにくい。お盆で他を全員帰らせるとか、島の人気のない場所で青姦するしかない。
共住者なので、必然的に他のヒロインが個別ルートに関わってくる。

おわり!!! 個別ルートに入ってからは3時間〜3時間半くらい?
エンドロール後の成長パターン、王道だけど良いな……
幼い舌足らずな静も好きだけど、長髪で育った静もとても良い。
それに、元はと言えば静が年齢不相応に世間知らずで幼すぎるのが根本的な原因(いやそうなった原因の1つは家庭環境だけど)なので、ちゃんと成長した姿を見せてくれることで、ようやく航と対等に恋人としてやっていけそうで安心した。

静ルートの感想としては、正直かなり悩ましい。
まず、航がつぐみ寮では静の保護者のはずだったのに肉体関係を結んで恋人になってしまった問題が、静の両親の更生-帰宅騒動によってうやむやにされている印象は受けた。航は一通り他のつぐみ寮メンバーからビンタ等を貰っている(丸戸さんの十八番だ)けど、それで赦されるってものじゃないし。
・・・しかし、さらにややこしいのは、そもそも同じ学生である航を静の「保護者」としていたこと自体に問題があり、静の外見と内面が幼すぎるのに眼を瞑れば、たんなる学生同士の恋愛であり、そこまで目くじらを立てることもないような気がする。
まぁ、男女を一緒の寮で生活させている時点で風紀の常識的にはファンタジーであり、寮内恋愛(肉体関係)が作中世界でどれほどの禁忌なのかを推し量るのが困難である。もともと最初から航にみんな好意を抱いているハーレム状態なので、静との関係も、幼馴染の海己ですら(少なくとも描かれている範囲では)そこそこ簡単に許しちゃっている。ただし、そこらへんの具体的な描写・脚本・台詞はさすがに上手い。なので、展開としてはイマイチ腑に落ちなくとも、ゲームとして体験すると何となくいい感じに納得させられてしまうというか、誤魔化されてしまうというか……

さらに根本的には、そもそも社会常識とか風紀とか、男女の権力関係や家族主義の抑圧性といった社会政治的な眼差しをエロゲにどこまで持ち込んで鑑賞するべきか、という点についても今更に考えさせられてしまった。この「べき論」は、決して社会的な義務論などではなく、自分が作品を思う存分楽しむためにはどうしたほうがいいのか、という方法論である。そういう視点の比重を多くすることでより面白く読めるのならするし、逆にそれでは作品に対して的外れだったり表層的だったりすると自分で感じるなら、考え直したい。

静の家庭問題、つまり「ずっと子に冷たく当たって軽度の虐待をしてきた両親が反省して更生しつつあるからといって、嫌がる子を家庭に戻すべきか」の是非については、この話の本質ではないと思うので、正直どうでもいい。あくまで航と静、そしてつぐみ寮の他のみんなの物語だと考えているので、静の両親という外部の存在は、あくまで彼女らの物語を駆動させるための道具でしかないと捉えている。
その立場では「半年後のつぐみ寮の別れでちゃんと悲しめるように、それ以外の悲しみのもとを今のうちに絶っておくほうが良い」というレトリックには首肯せざるをえない。その半年後の別れはスキップされ静ルートでは描かれてはいないが、おそらく凛奈or海己√でやるのだろう。
ただ、やはりそうした「つぐみ寮のみんな(=疑似家族)の友情・家族愛・仲間愛の物語」と、「主人公と攻略ヒロインの恋愛の物語」の関係・バランスが、静ルートではあんまり上手くないと感じる。『パルフェ』のほうがよく出来ている。ただ、あっちはあくまで仕事仲間なので、職場恋愛を他の皆が応援したり嫉妬したりする様を描くのは比較的容易ではあるか。こっちはより実際的な「家族」=共同生活者のハーレムものなので、その状態と、個別の1対1の恋愛関係をシナリオのなかで両立させることが難しい。
このルートでの航のもっとも印象的な台詞「お前のこと好きだから、手放したくないけど… お前のこと好きだから、今は、手放さないといけない」が、静と二人っきりではなく、皆がいるなかで発されている。その点が重要だと思う。これを「恋愛関係が閉じておらず共同体に開かれている」として評価してきたのがパルフェのときだったけど、今回はそうも言えない。その原因が、より共同体が綿密な家族である点にあるのか、静が幼く自立出来ておらず、航(たち)が「保護」=支配=所有しなければいけない点にあるのか、実の家族のもとに帰すべきか問題を、事態を誤魔化して進めるための道具的に投入している点にあるのか……は判然としない。
静が自立出来ておらず、静の人生の問題なのに、当人が不在のところで周りの人間が彼女のために行動してお膳立てをしている点はかなり引っ掛かる。ただ、前述の通り、静がそうなってしまった原因の1つがまさに親にあるので、静を責めるのも憚られるし、かといって、「静のためを想って」という大義名分のもとに庇護しようとか送り返そうとかいろいろ勝手に画策する航たちを全肯定する気にも当然なれないし……で、八方塞がりな気がする。
こういう未熟なキャラクターを攻略ヒロインに設定した時点で避けられない瑕疵だという諦め・開き直りがある。
静の性格が好きだと言ったけど、自立出来ていないところに惹かれていたのではなく、むしろ周りに流されずにマイペースに孤高の存在っぽくあるところが気に入っていたし憧れだった。ただ、そうした孤高性も、実はつぐみ寮の皆への依存・甘えのうえで成り立っているという点を見落とし・軽視していたので反省している。
だからこそ、最後に彼女の成長した姿を見れたことがいちばん良かった。ロリキャラは、性嗜好的にどうかというよりも、彼女を中心とした「家族」の物語を楽しむのが非常に難しく、自分が苦手とするものだと感じた。


4/23
・宮穂ルートのためにAct.1から
また理事長(代理)ヒロインか……かにしので見た
お祖父さんと全く面識ないんだ。まぁ今年の正月に初めて南栄生島に来たっていうし。
7月31日が誕生日。宮ちゃんほんとにかわいいなぁ。本人の性格的には一番好きかもしれない。外見も。
出水川重工ってもとから南栄生島にあったんじゃなくて、宮の爺ちゃんが取締役になってから誘致したんだ。

ウィリアム・エルガー:50年前にイギリスから来日。南栄生島で英語教師をしているときに、別荘に療養に来た六条家の令嬢「ミヤコ」と知り合い結婚、出水川重工の社員になる。取締役就任後、南栄生島に会社を誘致。引退後は南栄生島の郷土史の研究・編纂に取り組む。昨年?逝去。

※セーブデータ10の、宮穂ルート直前?の分岐で茜の選択肢もあった。ここから茜ルートに行けるのか? あとで確認しよう。

なるほど、約50年前の祖父と祖母のロマンスをなぞるようなかたちで渡と宮のロマンスを展開するわけか。男性側のほうが先に島にいるところに女性側が来島する、という構図も、身分の差も同じ。そして、彼らが読むのが「祖父の日記」であり、男性側の視点で書かれた/語られたものであるのも、(この作品自体と)共通している。
静ルートはお盆の帰省シーズンから入ったけど、こっちはヌルっと夏休みの宿題きっかけでいつの間にか2人きりになって行動している。

あ〜なるほど。いつか渡たちの教室で喋っていた、無人島で焚き木をしている場面での告白をやるのか。
8月13日。
うおおおお。幼馴染ヘテロカップルしか勝たん……

宮、「健気」としか言いようがない。男性の理想の権化みたいな存在すぎておそろしくなる
エロゲヒロインとしてこれ以上無く正しい。
1回目が終わってアイキャッチ、正式にAct.3(個別ルートin)
避妊意識ゼロなのも許してくれる都合の良さ。都合が良すぎてこわい

11月3日、高見塚学園文化祭。みんなの冬服かわいいな定期
渡が宮と付き合ったせいで静の独り立ちが早まるの草

離島ゲーではあるけど、いうほど田舎ゲーじゃないしいうほど夏ゲーでもない。
商店街やビルがある程度には栄えているし、章の区切りからして春夏秋冬の移ろいを丁寧に追っていく構成になっている。

祖父の資料を全て揃えるという「約束」のために2ヶ月も恋人を放置して駆け回る阿呆らしさを「自覚」してはいるが、それにしても苦しい。
「自覚した上で、それでも」なのが丸戸節なので、すごく象徴的なシナリオではあるけど、さすがに無理があると感じる。

これまで丁寧な対応をしてくれていた執事さんから一族の「敵」と見做されることを歓ぶ。なるほど。
それにしても、その場で宮だけが事態の本質をわからず、男ふたりだけで睨み合って「対話」をしている、という状況からしてなかなかに気持ち悪い。
宮の父がプレゼントしたリボン付きのドレスがまるで着た者をプレゼントそのものにするかのようであるのも狙いすぎている。
つぐみ寮の1階の食卓でみんなが気を使って待っててくれるのも……ちょっと物分りが良すぎないか?

宮穂ルートおわり!!! ちょうど5時間で終わった。
エピローグは5年後。静と違って見た目は変わってない。出水川重工の社員にも高見塚学園の教師にもなれる立場でぼかしたまま終わる。
まぁ……ベッタベタな「深窓の令嬢」との「身分の差ロマンス」ものだった。宮はすごくかわいくて魅力的だが、お話自体は特に面白くはない。
祖父の校内新聞の最後の1号も、結局その内容に言及されて繋がる!とかではなく、ただコンプリートしただけだった。
若者ふたりの恋愛成就のための(不合理な)道具として形骸的に使われて、お祖父さんはどう思っているのだろう。
やっぱり、恋愛関係を持ち込まないままのほうが良かったな。エロゲで個別ルートがあるから悪い。
恋愛・性描写もそうだけど、あと個別ルートでシリアスな展開を入れないと尺が埋まらない/盛り上がらない、という要請から雑に「2人の関係の危機」展開をぶっこむのはやめてほしい。と思ってしまうくらいには、あんまり好きになれないストーリーだった。「もうすぐ離れ離れになってしまう」「身分差から将来の相手にはなれない」というテンプレな要素を核に、たいして関係のない「祖父の文献を全部集める約束」から、よく分からないすれ違いで都合良く距離を置いて、また都合良くよりを戻し、そしてつぐみ寮で共同生活するみんなには気を遣われ……と、何から何までお膳立てされすぎていて気持ち悪い。あんなに魅力的な宮の性格・想いでさえ「都合良いお膳立てされた人形」のように思えてきてしまう。どれだけ「いぢめ」ても、それを喜んでくれる理想の「奴隷」たる女性像。・・・違う、宮は本当はそんなんじゃないのに……!と苦悩してしまうくらい宮自身は好きなキャラクターなだけに残念。

これで静と宮穂の後輩2人分のルートが終わった。どちらもキャラクター自体は好きだが、個別ルートのシナリオには不満が沢山残る結果となった。
今のところ、共通ルートが80点強、個別ルートが2つとも70点前後くらいかな。




6/4

後輩キャラではなく年上キャラなら個別に入って恋人関係になっても危うくなりにくいのでは?という期待を込めて、先生&会長ルートにいくぞ〜〜


・先生ルートを目指す
丸戸さんほんと日常の短いコミカルな挿話を書くのうまいな……
奈緒子会長と沙衣里先生、仲悪いのか……(ってか、よく喧嘩する感じ?)
会長の6こ上ってことは23~24歳か。社会人2年目の新米教師。東京のそこそこ名門の女子大(東津本)卒。島出身ではないのね。
「教師だけど子供っぽいところがある」「航を生徒というより気心の知れた友人として見ている(航もほぼ同じ)」という点から、教師-生徒関係を踏み越えた禁断の関係へと発展していくのだろう。

サザンフィッシュ店主の隆史さんも沙衣里ちゃんと同い年か。
その妹の茜はまじでなんなんだこいつ。攻略対象なのかどうかもわからん。ただ、性格くそおもろいし芯が強いし外見もよく見たら可愛いしで、かなり好きなのでルートあってほしいと思うようになってきた・・・・

マラソン大会後の航の停学一ヶ月処分は、航を退寮させないための沙衣里先生の勇気ある一手だった。航はそのことを知らず、あとは浅倉奈緒子会長のみが知っている・・・とてもいい。「先生らしくない先生」だけどやるときはちゃんとやる。大会前の「どちらにもつかない」中立宣言もそう。先生と奈緒子の関係もこのあと掘り下げられそう。

個別ルートが(多分)確定したこのタイミングでのオープニング。それが終わると航の一ヶ月の停学は解けていて、そして凛奈との仲は見違えるように良くなっている。何度見てもいい構成だなぁ。。


片膝立てて汚い自室でノートPC仕事してるさえちゃん先生のスチルめっちゃすこ。親近感
毎回オチをつけるのうまいな〜このひと。

あーそうか。来年以降もこの島に残るのは航と沙衣里のふたりしかいない(予定)んだ。
だから、会長にも話すことなく、学園長&教頭の寮取り壊し計画を探るミッションをこのふたりで進めようと持ちかける(もちろん非合理的なのは承知のうえで)……なるほど〜。こういう、不合理な理屈づけをするのほんとうまいな。
これでふたり一緒の時間が増えて個別ルートまで持っていくのか〜。

8月10日、「ダブルブッキング」。
・・・いやぁ〜〜うまい!お話し作りのうまさに惚れ惚れする。
航と沙衣里ちゃんの掛け合いがまず単純におもしろいし、「教師と生徒」という立場の自覚を放棄させないままにふたりを恋人まで持っていくために、王道といえば王道の「恋人のふり」を使う! 学園長関連のわりと重大な話と恋愛ルートを合流させて、お互いがお互いをうまく言い訳にして、かつ対比させながら進む。ラブコメが止まらない。
大学時代の女友達、そして学園長らが頭を下げる「サカタ氏」という島への異邦者を複数同時に登場させて話に絡ませているのもすごい。おそらく今後さらに絡んでくるだろう。
……それに、なんといっても夜の商店街での初キス前の顔アップイラスト! 正直最初は沙衣里ちゃんのキャラデザ全然好みじゃないと思ってたけど(奈緒子も同じ)、どんどん魅力的に思えてくる。理想的なシナリオだ。
あれはさすがに航悪くないよな〜〜。少し前の抱きしめて胸板の厚みを感じるくだりとかも悶絶ものでしょ。
今のところ沙衣里ルートめちゃくちゃおもしろい。


6/5

もし生徒と教師が(それも同じ寮で生活する男女が)一線を越えて付き合っていると他の大人に知られたらそれこそつぐみ寮取り壊しRTAになるんだけど、そのへんをふたりはどう受け入れているんだろうか…… つぐみ寮という「みんな」のもの/物語と、個別ルートでの特定のヒロインとの恋愛関係がやっぱり決定的に相容れない。みんなで共同生活してる時点で難しいのに、今回は教師/寮長のタブーを犯すという二重のあれになっていてどう好意的に捉えようにも厳しい。

主人公の星野家は祖父が島のもと有力者で、かつ分家を持つほどの家系の本家である、というのも航のハーレム志向・マッチョ性と一貫している。

沙衣里1回目のシーン、沙衣里ちゃんが子供っぽいというよりはおっさん臭い言動をして(挿入時に「ってもう入ってるじゃないの〜!」)、それがなんだか笑える。おそらく意識的な滑稽さの演出であって、初挿入時の痛み・苦しさや精液のベトつきの気持ち悪さと並んで、性行為を「甘美で麗しいもの」から引き離そうとしていると思われる。(そう解釈するのがじぶんには一番都合がいい)
また、年上だけど内面が大人げない沙衣里の幼児性を強調せず、むしろ裸の状態では「おっさん性」が前景化するというのも良い。
年下組……静や宮穂のときとはまったく雰囲気が異なる。


20:17~ Act.3開始

沙衣里の奈緒子へのコンプレックス。年下で生徒なのに自分よりもあらゆる面で大人びていて有能。

寮のみんなにバレる。・・・いやぁ〜〜さすがにこれはどうなんだ。沙衣里が教師失格・大人失格過ぎるのは航も他のみんなも十分に思っている描写がされてるけど、よりによってそのときまでBGMがコメディ調なのはだめでしょ。
個別ルートに入ってからずっと、沙衣里ちゃんのそういうダメなところ、「やっと教師/大人らしく頼りになるかと思ったらやっぱりダメでした」を何度も何度もギャグとしてオチに使っているけど、さすがに限界に達した。

えっ!?!? 今のスタッフロール何!?!?
(アメリカのドラマ/映画『十二人の怒れる男』のパロディか。調べた)

・・・これは……シュールというか、どういう気持ちで見たらいいんだ。「さえちゃんの頑張りどころ」として? いやいや滑稽すぎるでしょ……
建部先生がまっとうなことしか言ってなくてウケる。かわいそう
女性教師陣の動かし方もなんかなぁ〜〜

「浅倉派」として、航と沙衣里以外の寮の4人が、ふたりとはあくまで独立して廃寮阻止のために動く。

どのルートでも3回目はシリアス解消後なのね。寮のみんなが航たちカップルにやけに理解があるのもこれまでのルートと同じだ。
なるほど、あの職員会議での年配教師からの言葉で、教師としての自覚が芽生えたというか、ようやく自分がこの学校で教師としてやっていくことに誇りと楽しみを見いだせると感じたのか。……おせーよ!!!


沙衣里ルートおわり!!!
いちばんノレなかった。これまで以上にお口ポカンだった。
ルート入るまで……初キスまではすごく良かったんだけどなぁ。結局、沙衣里ちゃんの大学同期の女友達御一行もすぐ帰っちゃってあれ以降登場しないし。ひとりやけに意味深にキャラ立たせてたのはなんだったんだ。おまけシナリオとかで回収されるのか? フォセット?
要するに『ぬきたし』の文乃のような、男主人公に依存して甘えるヒロインが好みではないところに、さらに「年上」で「教師」という属性が付加されていて、終わってみれば相性最悪だった。いやでもほんとに、ルート入りまではすごく期待してたし、さえちゃんも魅力的だと思ってたんだよ……! ただ、こちらの想定を遥かに超えてダメな大人だったのと、そのダメさを脚本内でさんざん指摘し、他のキャラに呆れさせる描写は入れるものの、何やかんやでコメディとして茶化して流してしまう(のを何度もやる)語り方がなぁ……。航退学阻止のための職員会議も「茶番劇」であると言わせてはいるものの、それで言い訳にも誤魔化しにも価値の転換にもならないレベルの茶番だったから、終始困惑していた。
いや、じぶん自身、「立派な大人」なんてくそくらえ!とは思っているし、フィクションに出てくるダメ人間はわりと軽率に好きになっちゃうから、単に沙衣里の社会的・人間的な駄目さが度を越していたから苦手、というのは不正確だろう。やはり、問題は彼女自身というより、その語り方、物語上での見せ方にあると思う。その愚かさをコメディとして茶化していく態度に違和感を覚えているのだと思う。愚かな人間の愚かさを茶化さずに、しっかり愚かなものとして描くこと。WA2でも愚かなキャラしか出てこないけど、あくまで当人たちはそれぞれに責任を背負い込んで大真面目に立ち回っていた。それを画面上で茶化したりなどせず、あくまで大仰なシリアス調で映していた。それが本作との決定的な相違点だろう。

こうなると、やたらと有能さが強調されていた奈緒子ルートに期待を向けてしまうな。今度こそは……!!






【奈緒子ルートを目指す】
奈緒子さんの声、沢城みゆきさんにちょっと似てない?
ただ、この演劇がかった喋り方はあまり好きじゃないなぁ。気恥ずかしくなる

・どうせ誤解されるなら……
他人を誤魔化すために付き合ってるということにするのはさえちゃんの時と一緒だけど、それを言う側もキス()する側も航じゃなくてヒロイン(会長)になっている。沙衣里ルートと対照的な構造になってるのかな

会長の理想高くて高潔なところ好きだな。尊敬する
「あたしはね… あたしと同じくらい、あんたと、あんたたちが大好きよ?」
ジャイアンみたいな人だなと思ってたらモロに言及された。
「ちょい違う…『お前はあたしのもの。あたしはあたし自身のもの』」

Act. 2

航(と悪友の同級生)は昨夏のバイト代で東京のソープに入り浸ってた?? バイト中に知り合った観光客のお姉さんたちと関係を持ってた?

2年前、奈緒子が島に引っ越してきたころに航と何かあった。誓約。「引け目を感じる」?
無理やりしたキスを罪にもイベントにもしてもらえず流される。これはこれでかなり良いねえ

【当て馬】
航の初めての相手が奈緒子だったなんて…… 奈緒子は2コ上の先輩に振られたまま卒業されちゃって哀しくて航で処女喪失しようとしたってこと?
ゲーム開始時点で主人公が非童貞のエロゲもときどきあるけど、メインヒロインでもないひとりのサブヒロインが相手ってのはなかなか……。ユースティアのカイムはメルトが初だったらしいなそういえば。
いずれにせよ、これで奈緒子ルートでのシリアス展開はもう分かりやすく予告された。過去の罪の精算。「これで最後」という宣誓(約束)の乗り越え
相手に対して自分がものすごく酷いことをしてしまった罪悪感を持ち続ける者と、そのことなんて当時から気にしていないのに相手がいつまでも罪の意識に囚われているのでどうすることもできない者……ものすごく丸戸的な関係のふたりだ。


Act. 3

お〜 辻崎博志先輩。南栄生島から八橋大へ進学した天体観測マニア。『フォセット』の明日香ちゃん編に出てきた人だ。こっちで初登場だったのね。
性格は航と真逆だけど、つぐみ寮の屋根に毎晩登ってるところなど、共通点も持たせている。
マッチョなハーレム志向の航とはまた違う意味で、ひじょーに「エロゲ主人公らしい」造形ともいえる。

『第3条 自分が過失と判断した場合においても、相手がそれを認めない限り、謝罪をしてはならない』 ま、丸戸史明〜〜〜〜
全責任を負いたがるヒロインと、そんなヒロインに2年間ものあいだずっと(ますます)想いを募らせていく男……ホワルバ2〜〜〜〜

これまでの個別ルートでは、ヒロインと付き合い始めた(1回目のシーンを済ませた)あとで外部の障害による関係の危機シリアスパートが来る構成になっていたけど、この奈緒子ルートは様相がかなり異なる。まず「1回目」を2年前に済ませていた点もそうだし、「主人公の念願の恋を成就させる」こと自体がメインの課題としてシリアスパートになっている。だから、今のところこのルートのシナリオは普通に楽しめている。自分好み。まずそもそも、「別のひとが好きなヒロイン」が好きなんだよな……というか、片想い・失恋が好き。


沙衣里ルートでは奈緒子がライバルというか対比としてよく言及されたけど、奈緒子ルートでは今度は海己がよく登場する。2年前からの恋と、10年前からの恋。
追いかける恋と、何もしなくても手元にある恋。
いや・・・海己との関係も思ったよりこじれてるっぽいな。航は海己に一度振られたと思ってるけど、海己はそう認識してない。これも丸戸シナリオあるある
「また、諦めちゃうの? せっかく、二度も好きになれたのに」
「今は、つまんない話が、いいよ。面白い話すると、終わった後が、寂しいでしょ?」

海己の前では泣けない航の代わりに海己が航のためを思って泣く。ユキカゼとハルカかな?

【今度こそ、本当に、さよなら】
うわ〜〜〜 このチャプターすごくいいな…… 
初体験が奈緒子だったこととか、「長年の恋」「2度目の告白」として物語が進んでいるところとか、普通にいいと思うんだけど、やっぱり心の片隅では「海己は……?」というモヤモヤした気持ちが生まれてしまう。そこで、こうして渡と海己との2人きりの対話を用意して、そこで奈緒子との関係/歴史をすべて打ち明けた上で、ちょっと前の奈緒子との膝枕を反復するように、島の夜の柔らかな風に包まれて、航が久しぶりに安らかな眠りに落ちていく……。いい!!!めっちゃいい!
引用したような、海己のポエットな台詞も雰囲気の盛り上げにとても貢献している。
海己、やっぱりめっちゃ魅力的なヒロインだな〜〜〜と思わせつつ、それでいて、このあとの会長との恋愛関係に後腐れがないようにもするという、かなりの離れ業を地味にやってのけている章だと思った。


【本当に、ヤな女】
おお〜〜 そうくるのか。意外に早く決着というか成就する、と。いやでもこれ、都合が良いとか肩透かしとかはいっさい感じず、素直に受け入れられるなぁ。なんでだろ。
会長と辻崎さんの会話のあいだに挟まる「……」。このスチルの視点人物。これぞノベルゲーム!って感じで素晴らしい。
航がヒロインのために頑張って問題解決するのではなく、主人公はあくまで「こっそり眺めているだけ」。ここに来てプレイヤーと航がほんのひとときだけ合一する。
物語としても、ノベルゲームの形式性からの観点としても、すごく良い展開・シーンだと思う。

「告白予行練習」みはある。なるほど〜 二者間のコミュニケーションにおいてどこまでも嘘や演技が通用してしまうのなら、第三者を巻き込むしかない。結果的に会長本人の意図とは違った形で航に伝わることになったけど。でも、このシーンで、奈緒子のあの芝居がかった喋り方も物語上の必然性を得た気がして、そこもすごく良かった。あくまで本人は航に聞かれていることを知らず、演技のつもりではないのが良い。


にしても、見事に奈緒子ルートではさえちゃん空気なのわらう……少しかわいそう……w
てか、さえちゃんだけじゃなくて、つぐみ寮のみんながほとんど話に絡んでこない(海己以外)
むしろ、サザンフィッシュの師匠とか、辻崎さんのような寮の部外者──の年上男性がすごくいい存在感を発揮している。

「わざとに決まってるでしょ… 本気で言ってるんだから」

自転車で後ろに乗る会長、いい笑顔だ〜〜
エンドロール
1年半後。『つぐみ荘』はワロタ。それ可換にしてええの?


奈緒子ルートおわり!!!
いい話だった!!! 暫定4ヒロイン4ルート中でいちばん良かった。やっぱり、主人公に最初から惚れていて付き合って、取ってつけたような障害でシリアスパートをやるよりも、ふたりの恋愛関係そのものがヤマになるシナリオは良い。何より、明確に別のひとのことが好きだったという描写があり、ゲーム開始時点の2年前にすでに、互いに初体験となる行為を済ませていたこと、そしてそのことが奈緒子にとって航への罪悪感となり、以後は「誓約」によってふたりの距離/関係を抑制して、自らは「会長」となって振る舞っていた……という設定がすばらしい。ド好みですねえ〜〜〜
年上ヒロインというのもあって、(どこかの6コも上の教師とは違って)「渡に可愛がられるだけの存在にはなりたくない」と明確に発言して、実際に主導権を握って年下の彼氏を引っ張っていくさま、ほとんど自分の人生をかなり棒に振ってまで溺愛するさまは、愚かなんだけど素直に応援したくなる。

正直なところ、終わった今でも、奈緒子というヒロインは単体の2次元キャラとしてはあんまり自分の好みではない。CV・喋り方もなんか変で、上では芝居じみたと評したけど、もっと直球にいえばおばs……ゲフンゲフン
とまあ、そういうのもあって、「かわいい」とはそんなに思えない。
これは、ヒロインとしては好きだけど個別ルートのシナリオが受け入れられなかった静・宮穂・沙衣里とはちょうど反対だ。
でも、主人公の航に感情移入するより、客観的に主人公とヒロインの関係を鑑賞して物語として楽しみたい派の自分としては、まったく問題はない。このルートなんか特に、「航と奈緒子」のふたりを応援して好きになれたし、あの辻崎さんとの山頂でのシーンからも、そうした「干渉せずにただ眺める」態度を推奨しているようにも思えた。(これは流石に都合の良すぎる解釈)

「主人公を一度振ったことのあるヒロイン」つながりで、本ルートでは海己もかなり関わってきていた。海己とのベランダシーンも最高だった。
流れ的に次は海己ルートをやったほうがいいのだろうな。どうしよう。典型的な純粋幼馴染ヒロインということで、好みすぎて逆にこわいのもあるけど、今回でさらに海己が好きになったし信頼も出来そうだと感じたので……

あと、前回、沙衣里ルートに入る前の分岐で茜の選択肢があったけど、あそこから茜ルートにいけるのか? 回想シーンの最後のひと枠はやはりそういうことなのだろうか。
いずれにせよ、残すところは、同い年同級生ヒロイン3名。ここからが本番だ……


<暫定の各ルート所感>
共通ルート:80点強
静ルート:70点強
宮穂ルート:70点強
沙衣里ルート:65点強
奈緒子ルート:80点強

暫定平均75点くらい? (まぁ、総合評価は各ルートの平均とかではなく、最終的なざっくりとした「印象」で決めるのでこれは参考程度だけど……)



6/24
メインっぽいヒロインふたりのルートの前に、とりあえずどういうポジションなのかいまだに謎な茜ルート?からいってみる。
やっぱ茜かわいいな〜セリフいちいちおもろいし。実はいちばん魅力的なキャラ説はすでに逆張りでもなんでもなく暗黙の了解にすらなってる感がある(どこで?)
9ヶ月後!? 5月……ってことは、本編で個別ルート分岐する8月から9ヶ月後であって、すでにつぐみ寮の皆は島を離れてるってこと!? だから思う存分に茜ルートに入れると……なんて強引な手段なんだ……
END!?!?!? お、おわったぁー〜〜〜〜www 「そうか……ひとり取り残されて傷心の主人公を慰めて癒やすヒロイン役として個別ルートに入るのね……」と早合点していたら、終わった。マジでほんの少しの短編じゃん。要するに「誰とも結ばれないひとりぼっちルート」で、それでも隣にいてくれる1人のヒロイン役ってことか。某美術エロゲを思い出すな。
えー……茜にシーン無いんだ……いやまてよ、本編後のおまけや、ファンディスク『フォセット』にまだ希望は残っている!!! まだ負けてない!!!


じゃあ、海己ルートいきましょうかね・・・

・海己ルートを目指して最初から選択肢を選ぶ(すでに読んだものも読み返す)

【奴隷(オベイ)?】
へぇ〜。クラスでの班、航と海己と雅文と紀子の4人班だったところに茜が転校して入ってきて5人班になったと。ちょうどいま茜との後日談を読んで、そこで雅文-紀子のカップル成立が匂わされていたけど、こうしてみると「航の日常」(の象徴たる教室での昼飯時)に、海己に成り代わる形で茜がやってきた、茜はそういうポジションなのだと考えられるなぁ。
海己の航への「良妻」ぶりを茜が告発するシナリオだけど、それをコメディ調で描くのがやっぱり危ういんだよな…… まぁ、海己と航の関係はとりあえずは一元的なテンプレの権力関係ではないようなので、これからに期待。

【羽山さんちの家庭事情】
航の母親は12年前に白血病で亡くなってる、と……(白血病!?) 父のほうはどうなってるんだっけ
海己の家族は10年前に南栄生島に転居、と。
「夫」を立てる航の祖母を、海己に露骨に重ねる作劇。名家の「本家」筋という家父長制の象徴たる祖父、一誠と、ハーレム主人公である航も当然重ねられている。ただし、祖母は喋らずとも夫をうまく扱って場の実権を握る、的な描写はやはり危うく、「真に権力を握っているのは女性」というアンチテーゼの擁立に都合が良くなってしまう。
てかやっぱここの三叉路の背景CGいいな〜〜 田舎感があふれている

【肝の座った小心者】
ここで多分初の海己スチル。ジャージ姿での農作業の様子。「所帯じみた」と形容される。肝が座ったのは幼少期の航のせい?
虫にまで優しい反種差別主義者だ。

【Pure Letter】
航の凛奈への手紙を海己が監修して本人にわたす。ここで初めて明確にこの三角関係が始まったといってもいい。やっぱりこのエピソード好きだなぁ。秀逸。
ここですでに凛奈は航にだいぶ落ちてるし、海己は手紙を読んで凛奈に単純に嫉妬するんじゃなくて「消さないで」というのが良い。そこが海己の本質だと端的に表現している。たとえ自分の利益に反しても、他人に感情移入をして「勿体ない」「捨てられないよ、こんなの」と心から思って言えてしまう善性と卑屈さ。
WA2で春希が冬馬かずさの記事を本気で書いて、それを他のヒロインに読まれる展開を思い出す。編集部のマリさんだっけ。当然出版後に雪菜も読んでたっけ。

【激闘の予感】
航と凛奈のマラソン対決。航が負けたら寮を出るという条件を聞いて大泣きする海己。
「それって沢城さんと航が入れ替わるだけじゃない。彼女が出て行くことと、何も変わらないよ」というセリフが地味にすごい海己らしい。だって、普通に考えて、単純に交友歴からしても、海己にとって凛奈よりも航のほうが大事に決まっている。「入れ替わるだけ」「何も変わらない」どころではなく、明らかなマイナスのはずだ。それでも「入れ替わるだけ」「何も変わらないよ」と(心から!)言えてしまうのが海己という人間なのだ。建前上言ってるのではなく、彼女自身ほんとうに、この時点ですでに凛奈のことが本当に大事で、誰が欠けてもつぐみ寮はだめだ、自分は受け入れられない、と頑なに信じることができる。

【今日だけの自惚れ】
「航がマラソン大会で無茶して骨折したのは自分のせい」だと言ってくれれば満面の笑みで「ごめんね」といえる海己…… 人とのもっとも強固な繋がりが責任感/罪悪感であることを理解している笑みだこれは。。最高


オープニング
Act.2

【二人の、そういうとこ】
航は海己の「花壇の手入れを『手伝わない』」

【伝わらない復讐】
航と凛奈が楽しそうにバスケをやっていて、海己は「割り込むタイミングが見つからなかった」。
三角関係嫉妬パートその2(その3?もっと多いかも)
海己は「みんな」でいることも大事にするけど、それでいて航には特別な情を抱いている。そんな自己矛盾のなかでいっつも苦しんでいる……嗚呼、小木曽雪菜……。


【三度目のおやすみなさい】
"誠意のあるようで、実はただの免罪符な『ごめんなさい』。けれど、俺はその上っ面だけを叱ることしかできない。それは、どうしても、何があっても、だ。"
これ前にも書き写した気がするけど、ほんと丸戸シナリオの自慢の味ってかんじでたまらなくおいしい。
めんどくさいヒロインが好き〜〜〜


【夏祭り】
隆史さんと浴衣姿の凛奈がふたりで歩くさまに心が揺れ動く航。「晩年俺の回顧録でも編纂するつもりか」という茜へのツッコみも、あの茜END?を見た後だとあながち間違っていない可能性が出てくるのが・・・

あわせ石の伝承を紹介したあと、待ち構えたように凛奈と海己の分岐がある。

【近くて遠い幼なじみ】
「本当に、側にいて欲しい時から、ちょっと遅れたけど、それでも、十分許容範囲内だから、いいよ」
こんなに面白い台詞ある?
「いつもわたしを安心させてくれてありがとう… いつも、みんなと一緒に、わたしの側にいてくれてありがとう」
ここテストに出るな(確信)。わたしにマフラーを巻いてくれてありがとう。

"自分が俺に、どんな影響を与えているのか考えることを、いつしか放棄した目で。"
もう勝ちたいとも思っていない目で(ちはやふる)

航のことが特別だけど、「ふたり」になることにトラウマがある、と。


【田舎美少女のジレンマ】
別に本人が気を遣ってないならタオル頭に巻いて外にいてもいいじゃん…… 「女たるもの」の規範の押し付けと、その裏返しとしての「男たるもの」の肉体労働を彼女から奪い取る。それ、助けてやってるつもりかもしれんけど、単に海己の行動を制限して支配しているだけだからな……?



えっ!?!? 茜ENDの選択肢しか選べない! 行き止まりだ!!
もしかして、先に凛奈ルートをやらなきゃだめパターン? 海己が真メインヒロイン説きたか!?
それとも、海己の選択肢ばかり選んでると逆にルートに行けないパターンか? パルフェでもあったようななかったような。


6/25
茜の選択肢を選んでも、いきなり9ヶ月後には行かず、未読パートにうつった!!! 攻略サイトをチラ見するかぎり、これで海己√らしい。

【航の父と海己の母】
あ〜〜親同士の家系的な因縁があるタイプのヘテロ幼馴染か……ちょっと好みから外れる気もしてきたぞ。たのむ、なんとか持ち堪えてくれ〜〜〜


【嵐の夜】
みんな>ふたり>ひとり という海己のなかの基準
「自分が弱いことを自覚して、その弱い自分のまま『みんな』を求めた」ヒロイン……小木曽雪菜の系譜(こっちが先)ですねえ!!!
うーん・・・かなりベッタベタな問題設定ではある。「ふたり」の恋愛関係と「みんな」の疑似家族関係の衝突による葛藤。これまでの各√では何やかんや流されてきた(「みんな」は航と付き合った子をなんやかんやで祝福し応援してきた)問いが、ここにきてようやく俎上に載せられた。肉体関係を持ってしまったら、親世代のトラウマ(「ひとり」に耐えられなくなった直接の原因)を自分たちで再演/再生産してしまう、という形式的な設定によって誇張される形で。
これ凛奈√を先にやったほうがよかった気ぃしてきたな〜〜〜ちくしょおおお……ミスったか……


【超カミングアウト】
お盆休みがおわり、みんなが寮に帰ってきた日常の団欒中に爆弾をぶっこむ。これまではヒロインと関係を持った(シーンを1, 2回済ませた)あとでみんなにバレる/話す展開だったけど、海己√ではこれが転倒して先に「みんな」へと「ふたり」になろうと思う旨を(本人未承諾で)伝えてしまう。なるほど?

他のヒロインをひとりひとり処理していくシンエヴァ展開だ!! ご丁寧に階段下って低いところから高く奥の方へだんだん登っていく地理設計にしてあるし、まじで格ゲーというか古典的なカンフー映画みたいだ。
やっぱ宮穂めっちゃ魅力的なキャラだなぁ〜〜
二人目は凛奈か。フリースロー対決(対決ではない)ワロタ。差別化しないといけんからね。 というか凛奈の父親も不倫してるんじゃなかったっけ? 全然そこ言及されないな。
さえちゃん。ロミジュリはむしろ宮穂√じゃないの?
静だけ裸立ち絵なの、こうして各ヒロインの連続する流れのなかで見るとひときわ異様で面白い。やっぱ静めっちゃ魅力的なキャラだなぁ〜〜
奈緒子が初体験だったことを、さすがにこの√で明確にバラしはしないけどあからさまに仄めかしはする塩梅。奈緒子√の海己がめっちゃ良かったが、海己√の奈緒子さんも……演技してますねぇ、といった感じ。
まぁ正直いってしまえば、「ふたり」と「みんな」が両立しない問題には何も答えていない。「なんとかつぐみ寮のメンバーからでも両立させられるよう頑張る」でしかなく、実際にやっぱりみんなは優しいので何やかんやで祝福して応援してくれる。これじゃあ他の√と一緒やんけ!!!
それに、航の海己への性欲の肯定も同時に打ち出されているのが乗れないんだよなぁ。いやまぁ、これエロゲだし、ふたりの親もたぶんそれによって駆け落ちしたことになってるし、そういう外堀の設定面ではまぁそういうものかぁと了承はできるんだけど、肝心の航と海己の関係においてあんまり積極的に乗れないんだよなぁ。「俺の女になれ」を丸戸レトリックで肯定する感じが。海己は「航が求めるならしょうがない」スタンスを絶対に崩さず、彼女自身に性愛感情があるのかようわからんし。恋愛と性愛がナイーブに同一視されていること自体は昔のエロゲだしそこまでとやかく言うのも不毛だとわかってはいるが……。てか、単純にやっぱ航がそんなに好きになれねえんだわ、ということに尽きるかもしれない。マッチョイズム、ハーレム性。航というかこの作品がそれらを肯定的に描いているものだから、そりゃあ合わんよなぁ……と。
初めての挿入歌だ〜〜。


6/28
・1回目
避妊するのえらい

Act. 3
・2回目
いつも通りこのあとでシリアスパートやって、丸く収まったところで最後の3回目をやる流れね

【想定の範囲外】
なるほど〜〜〜
航と海己のふたりが互いの親世代の責任のとばっちりを食らっているのではなく、そもそも親たちが再会して接近してしまったのは航と海己という仲睦まじい「幼馴染」関係にあった、つまり自分たちのせいで親は罪を犯してしまったとも考えられる、という逆転の(倒錯した)観念・・・。 詭弁ではあるけど、フィクションとしては筋が通っている気もする。
それに、根本的には、そもそも航の父が海己の母と最初に結ばれることを、島の名士であり家長である祖父が許さなかったという、家父長制そのものの存在が横たわっている。やっぱり父権制-マッチョイズムがメインテーマの話だよなぁ。その意味で、航がめちゃくちゃマッチョな人物造形なことは必然的。それはそれとしてうげぇってなっちゃうけど……。
そして、父権制のもっとも大きな象徴としての「島」(=期限付きの「みんな」)・・・。

「考え直せ、航。この島では、お前たちは、幸せになれない。」
「ここでなくちゃ駄目なんだよ… みんなに認められなくちゃ駄目なんだってば…」


「航」って名前、最後には島を出て、父権制から脱出して海己と幸せになる伏線ってこと?
これまでの他ヒロイン√ではどれも航は島から出ずに島で結ばれるんだっけ。奈緒子√のラストは大学入学で上京だったけど、あの2人はずっと本土で暮らすのだろうか。


おばあちゃん相変わらず優しすぎるやないかい。めっちゃいい人。
海己のお父さんなぁ……たしかにそこがいちばんのボトルネック?だよなぁ。こういう配置うまいなぁ〜〜

あ、予想外にもここで3回目始まった。そんなことしてる場合ちゃうやろって場違い感がとてもいい



6/29


学園長と教頭、同級生だったんかいw 伸×博キタな・・・
海己のスピーチに普通に泣けた。
やっぱり「島に戻ってきて幸せになる」ことをこの作品は貫くんだな。
自分のごく私的な恋と、つぐみ寮の存続といういちばん近い『みんな』(そして島の学園卒業生の『みんな』)のためのことを、強引に結びつけて一挙に解決しようとする。
寮を取り壊そうとする「敵」の学園長たちも、"過去"をたどれば航たちと同じ高見塚学園生であったという、「保守的」な事実から同情票を勝ち取る。学園長らと同級生だった航の祖父にしても同じで、父権制の行き着く先としての「学園」(青春時代)というモチーフには、なるほど「ハーレム学園(寮生活)もの」としてこれ以上なく綺麗な落とし所といえるか。(学生時代を顧みる大人キャラが全員男性であり、例えば航の祖母とかが過去を懐かしむ描写がないのも象徴的だ。むしろ女性は「懐かしく思い出される」側の存在であり、「懐古」主体としては疎外されている。……これもある種の父権制的真実を徹底して描いていると評価できる。)

こうなってくると、当然気になるのは、肝心の駆け落ち組(航父, 海己母)は学園卒業生かどうかという点だ。えーと、どうなんだっけ。航父は本家の息子だからOBだろうけど、海己母は内地の人間なんだっけか。海己父も島の人間ではないよな。駆け落ちする2人は島で航と海己の幼馴染関係をきっかけに「再会」したらしいけど、はじめに出会ったのは島の外でなんだっけか。羽山家が島に来たのは海己父が出水川重工の社員だからだったよな。およそ15年前の話。
(そういや駆け落ちした航父と海己母ってまだ本土かどこかで生きてるのだよな?)

花嫁衣装を文化祭のキャンプファイヤーで着せるというのも、公的な異性関係の(権力)制度としての「結婚」にこそ航と海己はこだわる必要性があるので納得できる。そもそも生徒会長/副会長というヘゲモニーヘテロカップルではあるのだけど、その現-学園内でのみ通用する権力を「島」社会全般へと広げる場としての「文化祭」という使い方もうまい。文化祭とは、学園という「青春」の名のもとに閉じられた空間が外界といっときだけ交わる非日常の祝祭的空間である。そこでは「学生時代に戻る」という、現実社会を生きる大人たちには普段許されないファンタジックな行いすらも解禁され、彼らは不可逆な時の流れから自由になる。

エンディング!!
変わってるの静だけで草
お〜 本当の花嫁姿は見せずに、つぐみ寮のCGで締めか。他の√だとヒロインとのスチル締めなのに違う。

海己ルートおわり!!!
7時間半かかった。さすがに丁寧にメモ取りすぎた感がある。
えーと、「因縁の幼馴染」関係を扱ったシナリオということで、幼馴染原理主義者としての好みからは外れるんだよな…… 幼馴染の本質は「物心ついたときから一緒にいた」という日常性(非-ドラマ性)にこそあり、「因縁」があっては「純度」が下がると考えるので。
羽山海己の「所有されたい」性格も、個人的にはやっぱり苦手ではある。『ユースティア』のエリスくらい突き抜けてくれたら絶賛するんだけど……。
というわけで、個人的嗜好としては微妙だが、ただし、出来はかなり良いと認めざるを得ない。航の家系的な問題(ハーレム性=マッチョイズム)と、つぐみ寮の『みんな』と『ふたり』の恋人関係の調停/両立という課題……これらを「学園」「島」という地理的/社会的な舞台設定の次元からストーリーに落とし込むのがとてもうまかった。(まぁ結局『みんな』が都合よく優しすぎるというのもあるが、学園祭スピーチで身内ノリとノスタルジーに訴えかけるのは良かった。)
諸々を勘案のうえで、80点弱くらいかな。



・凛奈√に向けて最初から復習
マラソン大会で給水所の静の前で凛奈が泣いて謝るシーン何度読んでも泣ける。

おっ大会後の夜のシーンで初めて凛奈がベランダに上がってきた。
また一夜をともにするんかーいww

【体育会系の女】
なるほど、あのマラソン大会で凛奈は初めて「陸上"競技"」の楽しさ、他人と走る楽しさを知ったのか。

【逢わせ石】
航とも仲が良い、合わせ石をつくった職人さん=凛奈の父?……は、でも、研究者とか言ってたような。

海己が島に来たのが10年前。
凛奈が島を出たのが10年以上前。"幼馴染" よりもさらに昔からの付き合いの幼馴染がいました、展開は好きじゃない…… 早く会っていればいいという問題でもなく、やはり積み重ねてきた歴史性、日常性にこそ幼馴染性は宿る……『忘れていた幼い頃の記憶』なんてドラマチックなものは幼馴染概念とは正反対だ。


うーむ……ここまで露骨にコテコテの幼馴染再会モノを匂わせられると、すべてミスリード/ブラフの可能性も出てきたな……丸戸さんだし……

あ〜。初対面のあの泥酔した夜に、航の持ってる合わせ石を凛奈に見せて「合った」けど航はそれを忘れてるってことか。やっとわかった。
いや、石自体を見せたかはわからないけど、12年前?の女の子との思い出を語って、凛奈はそれが自分だと確信したってところかな。

ここまでは想定通り。こうなると、『忘れていた幼馴染との再会ファンタジー』をちゃんと「ファンタジー」として相対化してコケにして乗り越える話ってことになるから、やっぱり評価は検討の余地があるぞ……

あ〜だから夏祭りで凛奈と隆史さんに航が嫉妬する描写を入れてきていたのか。これも事前に察せたな〜悔しい。
航の「夢」は結局願望ゆえの作り話なのだろうか。もう一回反転するのだろうか。
幼い頃に再会を誓った運命の人とかでは全然ないけど「それでも俺、お前のこと、好きだ!」。めっちゃええやん。やっぱり「因縁の幼馴染」の海己と対照的なヒロイン/シナリオにしているんだろうなぁ。期待できる。
凛奈が大会前に体調崩すのもすげぇ意味わかんなくて自分勝手なやつではあるけど、そこも航とお似合いだし、面倒くさくて皆に迷惑かけながら突き進むいかにも丸戸シナリオって感じで好きだ。


7/1
【思い出の男の子?】
いいなぁ〜……ものすごくいい。シンプルに良い。「こういうのがいいんだよこういうのが」。
凛奈も航も、互いが幼馴染でも「運命の相手」でもないとわかって開き直ってからは、まっすぐに「好き」を表明している。凛奈ほんとかわいいな。
そうなんだよな……エロゲでありがちな、過去の因縁とか思い出とか歴史とかって、ようはそういう「外部」のものに頼らなければ2人のいま-ここの感情と関係を肯定できないがゆえの、ある種ルサンチマン的なものなんだよな。そんなものが無くても大恋愛はしていいし、むしろそんなものが無いほうが素直になれることを2人は体現してくれている。まさに上で書いたように、《運命の相手》というファンタジーを強烈に皮肉って一蹴したうえで、もうひとつの、さらに甘酸っぱい恋愛というファンタジーへと突き抜ける。幼馴染でないほうがドラマ性が欠如しているという、自分の幼馴染観からすれば倒錯的な事態。(でもこっちのほうが一般的には当たり前かも。)

合わせ石や夢のミスリードだけでなく、これまでの他の5人のヒロインのルートが全てこの凛奈ルートのためのブラフであったとも言える。だからこそ、つぐみ寮へのいちばんの新参者にして、島/学園への「新入生」としてのポジション。(とすると茜も重要か)
海己は言わずもがな、奈緒子だって驚くべき因縁があったし、静だって航との出会いからちゃんとやっていた。寮生のなかでは比較的新入りの宮穂には、その積み重ねの薄さを補う(=ごまかす)ように、祖父母の代の物語を重ね合わせる構成になっていた。さえちゃんは……そうでもないか。まぁさえちゃんはいいや(爆)
この作品の始まりにして、"泥酔" によってベールに覆われていた「あの夜」の真実も、結局は2人の勘違いの暴走ってだけで、このあとまた新たな真相が明かされたりはしないよね……?(不安)

「ここが俺達のスタート地点だ」という浜辺はマラソン大会のもの。つまり、ふたりの「はじまり」は、プレイヤーがその翌朝の惨状しか見ることの叶わなかった「出会いの夜」ではなく、共通ルートの必須イベントとして、プレイヤーが確実に(何度も!)目にしてきた出来事になる。プレイヤーが知らない「過去」や「真実」を物語後半で明かしていって「驚愕」させたり「感動」させたりするシナリオが一般的(このゲームでもそう)ななかで、「そういう都合の良い《歴史》は存在しないんですよ」と言ってくれるのはものすごくうれしいというか、溜飲が下がる。ほんまそれなんすよぉ〜〜〜
「いやエロゲなんて、それがあり得ない都合の良いファンタジーだとわかったうえで、それを求めてプレイしてるんだからそこを否定したり皮肉るのはタブーじゃない?」という向きも当然あるだろうけど、自分がこの凛奈シナリオを好きなのは、都合の良いファンタジーをダシに使って、その上で別の、より都合の良いファンタジー(特に因縁のない、今年に出会っためっちゃかわいい子との甘酸っぱい恋愛)をなんのてらいもなくやってくれるところにある。《思い出》や《運命》といったドラマチックな概念を否定しているように見せかけて、実際のところは「それらの概念に囚われて目の前の大事なことを見失っていたが脱却するふたり」という、一段メタに登っただけのコッテコテなドラマチック・ラブ・ストーリーをやっている。つまり、踏み台にするためとはいえ、やはりドラマ性を希求する心、《思い出》幻想は厳然と存在している。ただ、それを「幻想」であると看過してくれたこと、重要なのは「思い出」それ自体ではなく「思い出」を求めてしまう愚かな人間たちのほうにあるのだと宣言してくれたことがとても痛快で、このシナリオ、ひいてはこの作品全体の優れた点だと思う。「夏の離島のハーレム同居生活」というベタぁ〜なシチュエーションすらも、すべては「幻想」の幻想性を担保するためにあったのだと思ってしまうほどに。

・・・っていうか、そういう小難しいこと以前に、ただただ単純に凛奈が可愛すぎるし、ふたりのイチャイチャが甘酸っぱいんだよ!!!!! いまオレはエロゲをやっているのだと久しぶりに思い知らされた。

そういえば、島に引っ越してきた先で知り合った異性と恋に落ちる構図は、奇しくも凛奈の父親のそれを娘もなぞってしまっているんだな。そもそも、つぐみ寮に凛奈が入ることになった根本原因もそれだし、それによってショックを受けてやけ酒したことで出会って意気投合した男と自分が同じ轍を踏むというのは何の因果だろうか。海己と航の親世代の不倫の再演ともちょっと似てる。でも、航と凛奈が結ばれたところで、航の家系にも島の皆にもなんの後ろめたいこともないのは、ひとえに凛奈が「異邦人」であるからだろう。やっぱり「島」のなかで閉じこもっているよりも、外と交流して出ていくべきなんやな……「航」ってそういうことね…… 《幻想》からの脱出。


1st roundおわり!
Act. 3 開始!
・・・怖いのは、ここから先なにやるかなんだよなぁ。またシリアス展開があるんでしょ? ↑の父親のことなのか、つぐみ寮のことか、それともまた合わせ石や例の夢や例の初夜についてもう一回ひっくり返してくるのか? 最後のだったらサイアク。

2nd round
最初からブルマを脱がせてしまった -1000000000000000点
下半身裸の立ち絵草。その状態で校内うろつけるのスゲェな

7/6
フックせんちょ!? 茜は明日香ちゃんだった……?

凛奈パパの愛人、三好八重子さんが思ったよりもずっと『普通』の優しい人だった。
世界はあなたが思っているよりもちょっとだけ優しいパルフェみたいだ。

文化祭のクラス演劇でピーターパン。この島(ひいてはこのゲーム自体)をネバーランドになぞらえ、そこから抜け出して「大人になる」ことを凛奈(ひいてはプレイヤー?)に促す海己と航。他でもない海己がいちばんつぐみ寮での皆との生活を大事にして長く続けようと悩んできたのに、これは彼女のルートではないから、あくまで全てを飲み込んで、いちばんの新参者の凛奈のわがままに向き合って説得する姿が……泣けた。
キャンプファイヤー。海己ぃ〜〜〜〜〜 いかないで〜〜〜〜〜 そんな簡単に航のこと諦められるのかよぉ〜〜〜〜〜〜

つぐみ寮の宮穂の部屋こんな豪華だったの!? これ初登場だっけ。宮穂ルートで出てきたっけ。

つぐみ寮合唱団のくだりあったのにエンディングにボーカル無かったんだけど、バグ? それともこれ、BADルートか何か??
最後のスチルめっちゃ唐突だし一切テキスト無く終わるんかい
25:04 おわり!!!
最後の方は全然ノレなかった。ピーターパン要素いらんし、ツール・ド・南栄生で丁寧に全部振り返るくだりも、悪い意味で教科書的だった。
逢わせ石の運命をブラフにしてド直球にカップル成立♡してイチャイチャし始めたあたりはめっちゃ好きだったし、その後のシリアス展開も、凛奈のしょーもないワガママに留めたのは良かった。(あと、凛奈パパの愛人ともあっさり和解したのも良かった。)
ただ、劇中人物と対応させて話を舞台上で動かすのも、終盤でこれまでの足跡を辿って思い出ボムを狙うのも、何から何まで古典的で使い古された手法すぎて……。



【約束の日】
25:49
おわり!!!!!!
ここで合唱エンディングくるのか〜と思ってたらすすり泣きやうめき声聞こえだしてワロタ。とらえようによっては押し付けがましさ・薄ら寒さの極致みたいな演出だ。・・・まぁちょっと泣いたけど!!!
ただ、このエピローグ?でいちばん"きた"のはさえちゃんが会長に「あんたはあたしの憧れだった」と言うくだり。ここの2人の関係ええな〜〜。会長が初めてさえちゃんにしてやられた感じの表情をしているのがもう、ね・・・。

このエピローグは航が誰とも付き合ってない世界線? 誰と付き合っているルートとしても、まぁギリ読める塩梅ではあった。むしろ島に2人で残るからさえちゃんルートがいちばんキツいか。
……『約束の日』を読んで思ったのは、やっぱり航はつぐみ寮の誰とも付き合わないほうが個人的には良かったということ。つぐみ寮での一年間の共同生活という「みんな」の物語をやりたいのに、その中の1人と恋愛関係になって、彼女と添い遂げることがいちばんのハッピーエンドである……というのを6回分見せられておいて、ようやく最後につぐみ寮の物語として幕が閉じられるわけだが、やっぱり齟齬をきたしてるって……。個別ルートが必須のエロゲと、本作がやろうとしているメインストーリーとが根本的に対立している。「皆の居場所」としてのつぐみ寮存続のために真に立ち向かうべきは、利権がらみの学園長たちではなく、《エロゲ》の常識そのものだったのかもしれない……というオチ。
80点弱くらい?


ってあれっ!?!?!?!? まだ幾つか未開放のCG・シーンあるじゃん!?!?
コンフィグのシステムボイスを見る限り、これちゃんとした茜ルートあるっぽいな!?!?!? やったぜ。


・茜Trueルート
「内容はないくせに、なんだか妙に楽しそうな音声のシャワー」で、つらいことを「ちょっとだけ、忘れさせてくれる」。……三田村茜はエロゲの換喩だった……?

「女の子を好きになるって…ものすごいパワーが必要なんだって」これもメタにものすごく示唆的な台詞。
これを本当のTrueルートとみなすと、『サクラノ詩』っぽい構成ではある。わりとありふれてるのかな。誰とも付き合わず燃えカスになった主人公の最終章。それでもまだひとり、側に寄り添ってくれるヒロインがいる……さすがエロゲ主人公!!!

あーなるほど。つぐみ寮の皆との別れがつらすぎて思い出したくない今の航にとって、元学園長・現町長の南栄生島リゾート開発計画はいっそ島から思い出を一掃してくれるという点で歓迎したい気持ちもあるのか。すげぇ自暴自棄的な願望だけど。ここにきて彼らと共犯関係を結んでしまう構成うまいなぁ。

つぐみ寮ヒロイン6人のなかでさえちゃんだけ航と島に残るから変なポジションではある。むしろこのために、沙衣里個別ルートがあんな呆れるような内容だったのか……?
「わたし一人が頑張ってくので精一杯。あいつを支えられないし、今のあいつには甘えられない」
なるほど。だからさえちゃんが「しっかりした大人」だと駄目なのね。了解。

茜、最高のヒロインだな……
つぐみ寮とは独立したキャラであることの反映として、「本家」星野家の家長たちにもまったく遠慮しない。全ての保守主義・しがらみから自由な台風娘。
そうか〜〜共通ルートの夏祭りイベントで茜とふたり行動していたのも、これの伏線だったのか〜。

「だ、駄目だよ… そっちには "なにもない" んだから…」
うわ〜〜〜。これはくるなぁ・・・。背景CGで語る、ノベルゲームならではの技。
『ユースティア』を思い出すけど、あれは理不尽かつ唐突なカタストロフなのに対して、こちらはゲーム序盤から《約束》されていた予定調和の運命。それでも、それゆえに、いざ目の当たりにするとこんなにも心に突き刺さるというのが完璧に計算されている。
あ、いや、5人が今年で寮と島を離れるのは決定済みだったけど、まさか寮が壊されるとは思ってなかったか。むしろ来年以降も寮を守り切るってのが航と皆のあいだの約束だったんだっけか。(よく覚えてない)
うお〜〜ここでマラソン大会での崖が再登場。ほんとプロットうまいなぁ。

こうなっても茜はずっと面白いな〜幻滅させられることが一切ない。
それに、茜視点で考えると、それこそ航とは「運命の出会い」であって、今までずっと自分を「脇役」(親友)としてしか見ていなかった意中の人と結ばれる、とんだドラマチックラブストーリーだよなぁ。プレイヤー=航視点では、凛奈というメインヒロインとの「運命の出会い」の最初のギャグ調ミスリードのために引っ張り出されてきたとしか思えなかった女子なのになぁ。その互いへの印象のすれ違い感もまたすごく良い。

野川町長が私欲のためにリゾート化計画を推進してるなら、それを止めようとする航も「つぐみ寮」の皆に顔を合わせられるようにするため、というものすごく私的な動機で動いている。いいですねぇ

えっ!?!?
あの凛奈逢わせ石ミスリードの幼い頃の「夢」、お前だったんかーいww なるほど、最初の転校生紹介シーンと同じことをやってるのか。
じゃあすぐ↑で書いた「運命の出会い」から外れてるのが良い云々はすべて考え直しではある。結局、凛奈ルートで一度乗り越えたはずの《運命の再会》という呪縛に自ら囚われに戻ってしまうんかーいwという落胆もある。茜がこの寮ひいては「島」の新参者である(からこそ、この「裏」ルートでの働きができる)という重要な性質もぜんぶひっくり返ってしまう。あーあ……。でも、やっぱり茜はすごく好きだし、このルートもこの作品全体をフリに使っている感じはめっちゃ評価したいんだよなぁ。いやマジで最後だけいらんかった!!!
85点あげていいと思ってたけど最後でやや下がった。

ーー完全クリアーー


これまでの各ルートの評価をまとめると
<全クリア時の各ルート所感>
共通ルート:80点強
静ルート:70点強
宮穂ルート:70点強
沙衣里ルート:65点強
奈緒子ルート:80点強
海己ルート:80点弱
凛奈ルート:80点弱
茜ルート:80点強

平均すると77点くらいか〜〜 まぁおおよその今の実感にも合致してるな。