ダウナーかつ気の抜けた雰囲気で淡々とお台場を歩くだけの短編ノベルゲーム。LINEトーク画面のようなテキストデザインや、差分がない無表情の立ち絵など、全体的に自分好みだった。
総プレイ時間:1時間45分
【感想まとめ】
シンプルな短編ながら、とても好みの一本道ノベルゲームだった。
つくみずやpanpanyaなどを彷彿とさせる絵柄とダウナーな雰囲気のシナリオ。
「限界OL海へ行く」という題名通りの、ほぼあってないようなストーリー。いちおう、限界OLが海へ行き、数人の同類に出会って案内してもらって、ちょっと癒される/この先を生きていく糧をもらう話ではあるが、押しつけがましいメッセージ性や説教臭さはなく、過度なシリアスさや痛切さも演出されずに、ひたすら淡々と流れていくような雰囲気がとても好ましかった。ユーモアもあるのがいい。
東京湾のお台場周辺を、新交通ゆりかもめの高架沿いにひたすら歩いていく、観光というか「街歩き」がメインの作品といっていいだろう。自分のなかで、同人ノベルゲームのひとつの憧れ・理想として、こうした実写背景の街歩きゲームがあるので、その点でも非常に刺さった。散策といっても道が分岐するような選択肢はなく一本道シナリオなのもいい。
思うに、「限界」な人間を描くというコンセプト上、煩わしい選択肢・分岐などを一切排して、ただひたすらにクリックしていればいい形式にしているのだろう。(オートモードなら何も操作する必要がなくなるし) キャラだけでなくプレイヤーも「限界」の状態の人を受け入れる余地がある、懐の深い、芯の通ったノベルゲームだと感じる。そうなんだよ、何も考えずにクリックしているだけでいいのがノベルゲームの魅力なんだよ、と改めて気付かされた。
もっとも優れていたのは、LINEのトーク画面のようなチャット形式のテキストデザインだろう。画面の左側に主人公の立ち絵を、右側に会話相手の立ち絵を置いて、まさにトークが進むようにテキストが上へと滑らかにスライドしていく形式は、クリックしていて心地よく、読み進め易かった。一度に4つのフキダシ(=4行)までが表示されるからか、ひとつの文ややり取りがだいたい4行で収まるように書かれている点も、読み易さの理由だと思う。
こうしたテキストUIの他にも、各章・各節の副題のフォントや、チルいBGMなど、全体的にデザインのセンスが高いと感じた。
そして、登場するキャラ4人全員、立ち絵に差分がなく、ひとつの表情しかしていないのも特徴だろう。これは単にコスト削減というよりも、(2章のマタタキ以外は)「限界」なのでつねに無表情である演出として機能しており、私は無表情フェチなのでそれも良かった。キャラは4章に出てくるモコさんが特に好き。3章の限界アル中のヤケノハラさんは……主人公よりもさらに限界な奴が出てきてくれることに価値があるのだと思う、たぶん。
一本道だし、1~2時間でサクっとプレイできるので、気分転換したいときにオススメです。
オートモードで読むのにもかなり適していたと思う。
【プレイ中のメモ】
LINEのトーク画面のような、チャット形式のテキストデザインが面白い! なんか全体的にフォントとかBGMとかもオシャレ
あと、独特な間の抜けた雰囲気がいい
『親愛なる孤独と苦悩へ』のような、主人公の立ち絵を画面の左側に表示して、別キャラを右側に置いて向かい合わせるやつだ
章と節が細かく分かれていてタイトルが付けられている
限界OLを救う都合の良い非実在系女子高生!?
自称進学校の落ちこぼれ こっちもサボって海へ来ている よくある中原岬パターンね 同族の安心感とメサコンを一緒に満たしてくれる存在
新交通
実写背景でガッツリ舞台を特定して、街歩きノベルゲームだなぁ 憧れる
テキストがクリックによって上にスライドしていくのが読み進めるうえで心地よく、読み易い
パラドックス道路
「続きを聞く。」「先へ進む。」のような、たまに挟まれる一択の選択肢みたいな地の文テキストは何なんだ なくても成立しそうだが
いや、節をまたぐとログの連続性が保たれていない(上下の順序がチグハグになっている)から、たぶんそのあたりの処理のために細かく節に区切っているのかな。
テキストは4行(4台詞)ぶん一度に映るようになっているけど、その限度に合わせてうまく4行に収めて一文や一つの応答を作っているのかな。だとしたら地味にノベルゲームとしてかなり高度なことをやっている。
語尾に「~」が必ずつく、よしのんみたいな写真好きの女学生
その「師匠」は「にゃ~」が語尾のアル中お姉さん なんなんだこのゲームの登場人物は……
現実逃避として海に来る奴がいれば、酒に逃げる奴もいるってことか。。
埋め立て中の果ての島
「自分の場所」を作ることを最初に唱えたから「師匠」なのね じゃあ1章の女子高生の師匠でもあるんかい
埋め立て地や埠頭、海や橋などを象徴的な舞台にする同人ノベルゲームとして、『少女琥珀』などのシンセティックガール作品を少し連想した。あっちはもっと真面目だけど。。 でもセンスの良さとかは通ずるところがある。
そういえば、立ち絵の差分が一切ないのでは。主人公は限界なので常に無表情だし…… 無表情フェチなのでかなり刺さる
1章の海浜公園の子はヤイバっていうのか。すごい名前
「眠り姫」もヤイバと同じ学校の生徒
ヤイバのLINE草 「限界OLがそっち向かってるから、あとよろしく!」てww
2章のカメラの人はマタタキ みんなの名前教えてくれるのか
3章のアル中はヤケノハラ 本名じゃなくてハンドルネームみたいなものか
ビッグサイトのシルエット分かりやすい
現実には海辺で限界になって放浪したり酒飲んだり寝たりしているのはおっさんが多いだろうから、女性ばかり出てくるのは一種のファンタジーだ。女子高生が公園で昼間から寝てるの危なすぎるし。限界の人はたくさんいるだろうからこそ、こういうフィクションが作られるのは良いことだ。
マタタキさんはコミケ(orコミティア)で写真の同人誌を出してるのか
4章のこの学生も訳ありっぽいが、キャラを掘り下げることもしない。淡々と流れていく
限界すぎて悲痛な感じにもなっておらず、気の抜けた雰囲気でダウナーに淡々と進むのがいい
モコっていうのね。誰も自分では名乗らず、他人の口から教えてもらうところにこだわりを感じる
モコが外で寝るのを注意するヤイバ
3人が集まるときも、画面には最大2人までなのね、立ち絵。ヤイバとモコが発話のタイミングで右側を入れ替わる
ヤイバも無表情だな~ マタタキさんだけ「限界」では無さそうだけど、差分なかったよな。
新交通沿いを5.7kmの彷徨
落ちこぼれのヤイバに対して、モコは成績トップ…… 「できちゃうだけ」 好き……
完璧な優等生を演じるのにひと月で飽きてサボるように。しかし先生も親も特に何も言ってこない。そんなことあるのか
「案内係」かぁ この街の。自分の心の場所を見つけるための。
モノレールの一番前に乗りたいモコかわいい
エンドロールまでミニマルかつオシャレだな~~
おわり!!
最初のは新橋駅か
新橋→海浜公園 で降りて、青海をぐるんと廻ってビッグサイト、有明、市場、豊洲まで歩いたのかな。