海外のフリーゲーム。エンタメとは対極に位置する、トランス女性のトラウマを語るためのゲーム。エロゲではないがほんらい18禁ゲームのポテンシャルはこういう作品にあるのだと思う
本サイト上のレビューの他、昨年末に公開された以下の記事でも紹介されており、それらをきっかけにしてプレイした。
2023，個人的クィアゲーム大賞。「クィア」の意味を知っていても知らなくても，年末年始にプレイしてほしい9本
https://www.4gamer.net/games/761/G076106/20231218039/index_2.html
とても……とても感想を語りにくいゲームである。
そもそもが「語ることの難しい個人のトラウマをいかに語るか」を模索した結果として、ゲームボーイ風のドット絵でビジュアルノベルパートとRPG的マップ移動パートが混在し、ストーリーテリングもゲーム体験として非常に複雑かつ抽象的・曖昧なものになっている。
また、海外のトランス女性のセックスワーク体験について語ったゲームということで、そのあたりの文脈も自分には申し訳ないが縁遠く、無知のため十分に理解しきることはできなかった。
それでも、扱っている内容も、その表現の仕方も、きわめて切実で印象深いものであった。「仕事」を終えたあとの帰路で数マップ分をただ歩くシーンが特に目に焼き付いている。
R18表現が存分に含まれながらも、製作者が、このゲーム自体が、「ポルノ」として、エロティックなものとして鑑賞/消費されることを拒んでおり、その意味で本作を「エロゲ」と呼ぶことは決してあってはならないが、しかし本当は、エロゲ・18禁ゲームの持つ豊かな可能性というのはこういう作品のことを指すのではないか、もっとこういった、簡単には咀嚼できないゲームをどんどん受け入れていくべきではないか、とか思ってしまった。
【翻訳】Taylor McCue さん インタビュー
https://note.com/fuglekongerige/n/n50dca45612fd
↑この作者インタビューとても良かった。