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oldreavesさんの午前五時にピアノを弾くの長文感想

ユーザー
oldreaves
ゲーム
午前五時にピアノを弾く
ブランド
Kazuhide Oka
得点
61
参照数
27

一言コメント

癒されるピアノ曲が流れるなか、幻想的な散歩をする短編ノベルゲーム

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

総プレイ時間:1時間

森の中の一軒家に住む少女が、霧が立ち込めている早朝の森?のなかを夢遊病者のように散歩して、さまざまな光景や物に出会っていく。

4つのパラメータのいずれか1つが上限まで貯まるとゲームオーバーになるので、そうならないように2択の選択肢を選んでいく……という、ささやかなゲーム要素がある。これが正直わたしには要らないと感じられてしまった。「雰囲気がいい」癒されるような落ち着いたノベルゲームを志向していることは明らかなのに、このゲーム要素や、特定の物に出会うまで何度もループが必要な構造が煩雑で、そうしたチルアウト的なゲーム体験を損ねているように思えた。(『限界OL海へ行く』がいっさい選択肢を排した一本道シナリオだったのは、やはりリラックス効果のためにも最適だった)

また、散歩パートも、不思議な光景や物に出会っていく幻想小説的なかんじなのだが、1クリックごとにランダムに現れる次のイベントに切り替わってしまうため、2択を選んだ手応えも得られなければ、散歩という連続的で散文的な営みに没入することも難しかった。目の前の出来事が一瞬で移り変わっていく取り留めのなさが幻想性を生んでいる、といえば聞こえはいいが、肝心の物語世界や雰囲気を味わううえでマイナスになっていると感じた。

物語は、ざっくり「記憶」や「忘却」を主題としたガールミーツおじさんモノで、ささやかとしか言いようのないシナリオだった。

BGMやUI、イラストなどでひとつの洗練されたゲーム世界を作り上げている点はかなり良かった。強いて言えばバックログがやや読みにくかったが、「絵本」を重要なモチーフとしているからこそのデザインだと考えれば仕方ない。

エンディングは計3種類。
セーブ/ロード機能はなく、勝手にセーブして周回前提で「つづける」からプレイしていく仕様。
最後のエンド条件が不安だったのでsteamレビューを見た。