自分とは、優しさとは、生きるとは。 ……こうした大真面目に語っては薄っぺらく陳腐になるのを免れないテーマを、短編でここまで丁寧かつ鮮やかに描けるのはシンセティックガールくらいだろう。どのキャラも良かったが、やはりこはくの言動の魅力はすごい。初の分岐ENDは一長一短か
・プレイ時間
3時間
・プレイ中のメモ
豪徳寺高安 取り立て屋 大学生2年
同級生のお人好しの友達 雪谷透
雪谷こはく 透の妹 引きこもり 幽霊?生身の人間に見えない
神原ねる 大学2年 地雷系ファッション ソシャゲ中毒者
実写背景にキャラを描き込んだスチルがいい
継城よしの こはくの隣の部屋の同級生女子
>会いに行く
>ついていく
「愛の才能」
ヒロイン3人の絡み・関係がいい
神原は大学で東京に来た
東京のはしっこ 東京湾の近く 団地・物流倉庫・自然公園
主人公の立ち絵いきなりきて草 ほんとに顔つき悪い
同じ写真加工背景を、スチルと立ち絵背景の両方に使うの面白いな
主人公の大人びている感じが良い よしのの悩みを大げさに明かすのでもなく、それをふんわり受け止める
「有難う」きた!! キー概念!!
よしの√(?)おわった!
主人公おまえそこのポジションだったんかい
ED-1 夏の桜
とても良かった!! よしのさん、最初モブかと思ったけどいいキャラだったな。よしのを励ます高安もかっこよかった。
よしのに絆されるこはくは、当初の崇高で孤独で歪んだ魅力はやや損なわれていたけれど、まぁよし!!
>ついていかない
ねる√おわり!!
ED-3 取り立て屋
ねるさんは可愛いけどシナリオは薄味というか、よしの√に比べてかなり雑だったな……
なんか結局よくいるメンヘラみたいな感じになっちゃったし。
金を貸していた大学の知り合いたちがみんな偶然にも返してくれて……という展開も苦笑してしまう。
>会いに行かない
日連優希 ひづれゆうき 家庭教師先の教え子の中学生
羊の空洞 もふもふの下
難しいなぁ…… このまま、派手な展開がなく「退屈」なまま終わったらすごいぞ
ED-2 少女琥珀
終盤の展開が残念すぎる。なんだあの親父は。シンセティックガール作品って悪人が登場しないというか、みんな優しい世界のなかで、日常的な地に足の付いた繊細かつ切実な哲学的ストーリーをやる印象があるのだけど、あんなに露骨な毒親を出してくるとは悪い意味で意外だった。そんな嫌な親からの逃避行で〆とか、台無しだよ……「退屈に」と乾杯し合ってそのまましずしずと終わってくれればよかったのに……。
しかも、冒頭から描写していた「川」「橋」のモチーフも、さすがにラストでは説明しすぎていて冷めてしまった。
終盤を除けばかなりすごい内容だったと思う。受け止めてちゃんと解釈して考察するのがめっちゃ難しいたぐいの、かなり高度なことをやっていると思う。こはく、すごい好き。高安と同じように、自分も彼女には憧れてしまう。「〜わね」みたいな変な口調もいいし、それに主人公がいちいち引っ掛かるのも良い。
・まとめ
これまでの2作ではどちらもファンタジー要素のあるヒロインが登場したので、今回もこはくは最初絶対に幽霊か何かだろと思ったが、生身の人間だった。ファンタジーではなくリアリズムに徹する、という点において、本作では過去作からの変化に伴う覚悟が感じられた。より地に足がついた世界設定のなかで表現したいことを表現しきるんだという覚悟が。
今作が初といえば分岐・複数エンド形式も勿論そうなのだが、全3エンドのうち、最後までかなり面白く読めたのはよしの√だけだったのが悔やまれる。一本道のほうがどうしてもノベルとしての完成度は高くなりがちなので、うまい塩梅を模索してほしい。
ある√では出会って仲良くなる2人も、別の√では出会ってすらいない、という運命の分岐はノベルゲームの真骨頂であるが、シンセティックガールが一貫して目指す思想としてもかなり重要であろう。ドラマチックになりきらない「日常」の尊さを描くことは、生きることや優しさについて正面から向き合うこのサークルの作品にとってクリティカルだと思うから。
主によしの√で描かれる、主人公を入れた四人組の日常の空間はとても魅力的だった。ヒロインがみんなかわいく魅力的で、そのヒロイン同士の関係に焦点を当てたシナリオの跳ね方はすごかった。
メインヒロインの雪谷こはくは特にいいキャラだった。ここまでひねくれている高校生もそうそうないだろうが、そのひねくれさせ方と、フィクションになりすぎない等身大感のバランスが見事。彼女の思想・身の振り方はふつうに憧れる。真似しようと思ってできるものではないが。語尾が「◯◯わね」のように変になる特徴的な口調も面白い。主人公がそれにモノローグでいちいち引っ掛かるのもノベルゲームのテキストのリズムを形作っていた。それがひいては人と人との大切な関わり合いでもあるのだろう。
イラスト面では、今作で写真加工背景に溶け合う形でキャラクターを描いたスチルが導入されて、めちゃくちゃ好きだった。公園のブランコによしのが座っている画とか、こはくの部屋でソファの上のこはくが黄昏れていたり、他のキャラがたむろしていたりする画とか。。 やっぱりキャラがこちらを向いていない一枚絵こそノベルゲームにおいて至高なんですよ!(性癖開示)
こはくの部屋でたむろするスチルは最終的に主人公の高安まで画角の端に映り込むのが完璧だと思う。あと、その同じ背景で普段の立ち絵パートも進行しているところがあって、この使い方(併用)についても掘り下げて考えてみたい。
舞台は団地と物流倉庫が立ち並ぶ東京湾沿いの埋立地のどこかの埠頭("島")に設定されており、写真背景の活用も含めて、その具体的な舞台設計は好感が持てた。しかし、冒頭から示される「川」「橋」「川向こうの灯り」といったモチーフは流石にメタファーとしては説明過剰で無粋だった。この筆力があればもっと慎ましく描きこむことも出来たろうに。あえて全面に押し出したワケがあるのかもしれないが……。
4作目の最新作も楽しみ!!