純愛を前フリにしたNTRではなく、NTRを前フリにした純愛の短編ノベル。内なる凌辱原理主義者・アンチ純愛和姦主義者がこのようなものは決して認めない!と言い張っているが、どちらの描写の質もかなり高い良作であることは間違いない。あとヒロインのCV演技がすばらしい
プレイ時間:2時間15分
・プレイ中のメモ
ノースリーブニット!
向こう(内田さん)は同様もそこそこに仕事を淡々とこなそうとするところ、主人公に特別な感情は抱いていないんだなとわかって良い。
でも、彼氏はいなかったとわかるし、デリヘルで偶然に会ってしまったことがきっかけで一種特別な関係になれる、という幻想はやはりキツいものがあるな……説教はしないだろうけど……
うわっ、また歳上のさらに悪徳な男性キャラを出してきて主人公がそいつからヒロインを救おうとする構図だ!
すごい、内田さんの台詞がボイスで流れているのにテキストボックス上では表示されず主人公のモノローグだけが出ることで、「内田の声が、すり抜けていく」さまを演出している。いっしゅんミスかと思った。
『夏の照明。』もそうだったけど、ヒロインが自分以外の男にも抱かれている、という寝取られ要素はいいんだけど、それが結局のところ、その男たちのなかでも自分(主人公)がヒロインにとって唯一特別な男として選ばれる、という出来レース展開をやりたいがための前振りだとしたら、寝取られの本懐が台無しじゃないかと思ってしまう。自分は彼女にとって決して特別な存在にはなり得ない、という事実を深く受け止めることこそが寝取られの醍醐味じゃないのか。ヒロインの特別になれてしまうのなら、それは寝取られの主人公たる資格はない。
ヒロインを、好きな女子を、金で買う。他の顧客(大学の教授)とデリヘルサイトの予約システムの俎上で争って勝ち取る。その滑稽さ・身も蓋もなさがいいですね。
内田さんの仕事姿めっちゃエロくて魅力的なんだけど、大学の友人にもこうしてプロの仕事を完遂できるのは、主人公のことをまったく特別なものとは思っていないから、ということでいいのか?
口同士でのキスは誰ともしていない! これは最終的にしちゃうってことか?
また産毛とかふとももの毛穴とか言ってる……ほんと好きなんだな
ヒロインの身体につけられた無数のキス痕や歯型……鬼舞辻無惨の皮膚の奥に眠っていた継国縁壱のつけた傷痕と似たようなもんやな。身体の歴史性、地層。しかし『鬼滅の刃』では自分以外の者がつけた痕を発見し、縁壱たち他の鬼狩り/人間たちを「自分たち」という一人称複数のナショナリズム的共同体のもとに同一化して無惨と対置して奮起していたが、今作(NTR)においては「自分」と「他の男」が別の主体であることが肝心であり、その非-同一化こそがマゾヒスティックな痛み=快楽へと繋がる構造になっている。
そうか、デリヘルって本番ないんだ。
主人公の一人称の地の文が、モノローグかと思いきや普通にヒロインに聞こえてる発話である場合があってややこしい。台詞なら括弧でくくってくれ、と思ってしまうけど、そこをモノローグと区別しないことに意味があるのだろう。
ふとももに擦り付けながら射精する、いいじゃないか。アンチ-性器結合中心主義! 松浦理英子!!
「まあ、演技も入ってるけどね」←最高
風俗嬢ヒロインって、エロゲにおける自由恋愛および純愛中心主義へのカウンターにもなりうるよなぁそういえば。さらにデリヘルだと反性器結合中心主義も加わってなおよい。
内田さんがお金稼ぎのために風俗で働いているという、その詳しい事情にいっさい踏み込まないのもいいな。
内田さんに優しく丁寧にされればされるほど、それは自分(主人公)のことを何とも思っていないことが強調されていく構造が……気持ちいっ!!
「ほくろ」もふじきの作品のフェチのひとつ。 「意外と知らないよね、自分の身体って」 客体化されたヒロインだから自身の身体をまなざす主体にはなれないって……コト? あるいは歴史性を帯びた身体はその歴史を反省できない、みたいな。でも、内田さんもお返しに主人公の身体にほくろを探しに来るのがめっちゃすき。ほくろとは他者からしか見えない自分の身体の象徴である。
再び、内田さんのボイス(音声)と主人公のモノローグ(文字)が同時に流れていく演出。これいいな。
他の男(≒寝取り役)からメールで動画が送られてくる。NTRの王道
他の男キャラ(溝口教授)にまでガッツリ立ち絵があって、しかも裸差分まであるのおもろい。NTRとしてのこだわりを感じる。男まで剛毛かつ乳輪が大きいの草 一貫性がありますね
すごい体勢だ…… スカトロの気質が明らかにあるので、もっと思いっきりやってほしい
ちゃんとお店に通報できてえらい! NTRモノの主人公としては結構珍しいムーブな気もするが。
教授は店に史談金を払って出禁になり、主人公は店から迷惑料を支払われた(が断った)。ここで主人公がお金を受け取らなかった理由を400字以内で述べよ。
……ところで、ここで 主人公・ヒロイン・寝取り男 というお金で結ばれた三者関係にデリヘル店という第四者(法人)が介入してきているのは重要だろう。
そして内田からは謝られた。……あ〜、溝口の盗撮に気付いててスルーしていたのか。だから自分の責任も感じている、と。なるほど〜〜。これで主人公への貸し・引け目ができたことで仲が深まったら最悪だけど、逆に疎遠になってくれたので完璧です。
……ん? おい!!! これ復縁ハッピーエンドパターンじゃねえか! 初キスしちまう!! 今度はお金の関係じゃないから結合しちまう!!! あーあ台無しだよ!!!!! けっきょく家族事情にも踏み込んじゃうし!
しかも妹ふたりもいるし!! なーにが線香花火だよ。また夏のエモ路線で締めるつもりだろ!
え? 上の妹ちゃん、姉が風俗やってるの察してるのか……
くっそ〜〜悔しぃ〜〜〜〜 途中まで完璧だったのに……
風俗に手を染めて、顧客の男たちからあんな酷いことをされている憧れのひとも、お家では三人の妹弟たちの面倒を見ながら和やかに過ごしている……というギャップ自体はいいんだよ。でも、その内田家に主人公まで入り込んで「特別」になってしまうのはいけない。せめて通りかかって一瞬垣間見えるくらいだったら……
また終盤の、ヒロインが自身の他の男との痴態を主人公に語るパートだ。で、どうせこのあと、それでも主人公がヒロインにてをのばしてハッピーエンドなんだろ? じゃあそのための通過儀礼でしかないじゃんかよぅ。ヒロインが話すのも、凌辱動画のくだりも全部……。
「わたしになんか、本気にならないで…」 この台詞は、文脈と言い方によってはヒロインが主人公を冷たく突き放す良い台詞になりえるけど、残念ながらここではヒロインが主人公に落ちかけているのを示すための台詞になってしまっているので哀しいです。。 そうか……お前もけっきょくは純愛中心主義側の人間だったんだな……
一択www 『それでも僕は、内田のことが好きだった』 はい。 ところでこの演出って、これまで地の文で主人公の発話も処理してきたことが前振りになっているってことだよな。そのやり方自体はけっこう良いと思う。
ふたりは幸せなキスをして終了 でしょ? どうせ。
「なんかさ…青春っぽくない?」 (実際には?はついてないけどその言い方) あー、やっぱりこのサークルにとっての「青春」の捉え方はそっちなのね……派閥が違いますわ。
「きっと彼女は、この世界の誰のものにもならないのだと… 僕は、知った」 嘘つけ〜〜 「僕」のものになるんだろ? まだ逆転のチャンスありますか?
内田さんのCV演技ほんと素晴らしいなぁ…… 酔っ払ってる内田さんの気だるげな喋り方、好き……
あーがっつり最後にスチルで純愛和姦シーン入るのか。あーあ、金銭関係の上での性行為シーンは良かったなぁ……
他の男が彼女の身体にしたことを上書きしようとするのは、以前のデリヘルでの行為時と同じことをやっていはする。でも今度はあくまで自由恋愛上の純愛和姦行為であるという違いが大事なのか……くそぉ〜〜
うわ〜〜 わざわざ危険日に設定してふたりでゴム買いに行く展開を入れることで、初々しいカップルのイチャラブ描写としては非常に優れたものになっている……しかも当然めっちゃリードしてくれるし。最初からこういうコンセプトの作品だったら素直に好きになれたと思う。NTR要素をガッツリ入れた上で純愛の踏み台にしているのが決定的に受け入れられないだけで……。
「…今夜だけ恋人になって」 え? 今夜だけなの?? なんで?
おー、騎乗位でお互いの陰毛が接しているのすげぇこだわりポイントだ。性器結合主義ならぬ陰毛接触主義だったのか
この声優さんまじでエグい。
いったん休んでるデリヘル明日から復帰するけど今年の夏で貯金溜まって辞める予定だから、秋になったら旅行行こう、か……。まあけっきょく付き合う路線ではあるけど、完全な純愛作品としてならその旅行編はとても見たいな……。もしかしてサブタイの「ハルを売る」って春に対する秋と掛かってる? どちらかというと夏が強調されてたが。
終わり!!! スチルでの「だからそれまで待っててね」キスエンド。
いやはや……NTRと純愛がそれぞれにかなりクオリティ高くて、良いといえば良いんだけど、アンチ純愛和姦主義者としてNTRを純愛のダシにするのを絶対に認めたくない、という卑屈なプライドが邪魔をする……。名作ではあった! 最新作『夏の照明。』よりもこっちのほうが断然良かった! やっぱ大学生っていいよね、というのと、金銭で繋がる肉体関係っていいよね、という自身の性嗜好が再確認できた。こういう風俗とか売春で双方合意のもとにするのって、和姦と呼べるのだろうか。凌辱と和姦の中間みたいな位置付けで好きなのかもしれない。