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oldreavesさんの素晴らしき日々 ~不連続存在~の長文感想

ユーザー
oldreaves
ゲーム
素晴らしき日々 ~不連続存在~
ブランド
ケロQ
得点
95
参照数
716

一言コメント

自分にとってのエロゲの原点

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

約2年前の夏に、はじめて自分が触れたエロゲであり、「エロゲっておもしろい!!!」と思わせてくれた(思わせられてしまった)全ての元凶である。

逆に言えば、この作品のせいで、複数の「攻略対象」ヒロインがいて、まず共通パートがあり、個別ルートに分岐して各ヒロインとのイチャイチャ恋愛物語が展開される────という、いわゆる「普通の」エロゲに違和感や苦手意識を抱くようになってしまった、とも言える。(いや、わたし本来の性質かもしれない。すば日々に全ての責任をなすり付けるのはよくない)そのため、同作者の『サクラノ詩』はぜんぜん楽しめなかった。

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手元にある10周年版でプレイし直してから、ちゃんと評価をしたい。

ただひとつ。
本作を「幸福に生きよ!」という1フレーズだけに押し込めて受容するプレイヤーには、少なくともわたしは、なりたくない。
あえて極端な言い方をすれば、現在のわたしは本作に哲学要素はいっさい要らないと思っている。
「電波ゲー」あるいは「青春ゲー」ではあっても、「哲学ゲー」として受容したくはない。
哲学が苦手とか嫌いとかいうよりも、本作の魅力を最大限に受け取るやり方は、その哲学要素を掘り下げることではないように思えるからだ。少なくとも今のわたしは、そうでないやり方で『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』という作品を傑作だと認めたい。(2周目プレイしたら考えは変わるかもしれんけど)

本作をプレイして『論考』を読みたくなりはしなかった。『シラノ・ド・ベルジュラック』はすぐに買って読んだけれど。(めちゃくちゃおもしろかった)
これも、以上の主張にわたしを至らしめる事実の1つである。

余談だが、本作に登場する文学作品群──『シラノ』を筆頭に、ブッツァーティ『神を見た犬』やロダーリ『猫とともに去りぬ』──これらはすべて「光文社古典新訳文庫」から邦訳が出ている。
したがって、「当時のすかぢさんは光文社古典新訳文庫にハマってたんだな〜〜」とニヤニヤしながらプレイしていた。新潮文庫でも岩波文庫でも河出文庫でもなく、光文社古典新訳文庫というチョイスが良い。わたしもお気に入りの文庫シリーズなので親近感も沸いた。


お気に入りのキャラクターは、好きな順に、高島ざくろ、水上由岐、間宮卓司。

好きな主題歌は「終末の微笑」と「空気力学少年と少女の詩」。

好きなBGMは「夜の向日葵」、「夏の大三角」、「言葉と旋律」、「小さな旋律」。