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okjさんのBRAVA!!の長文感想

ユーザー
okj
ゲーム
BRAVA!!
ブランド
Sweet light
得点
80
参照数
1048

一言コメント

BRAVOやBRAVIではなくBRAVAという言葉をタイトルにしたのは、ヒロインにスポットライトを当てた作品だからでしょうか?どのヒロインも魅力的で可愛いので、ラブコメ展開は終始楽しかったです。ただ演劇をモチーフとした作品としての評価はいまひとつで残念でした。演劇「月薔薇姫」には、中の人がいる!!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

主人公宙斗と幼なじみであるみなもとしずく以外のヒロイン3人――あおい、ナナミ、日向は主人公との出会いから劇団BRAVAに入り、演劇活動を通じてヒロインはより魅力的に成長します。その成長過程と共に主人公との距離も徐々に近づいて、やがて恋人関係になります。劇団BRAVAではあおい、ナナミ、日向はメインキャストなので、このルートでは作中劇が主体です。ナナミだけちょっと短いのが残念ですが……。

みなもとしずく、作中の日向の言葉を借りれば幼なじみのメリットは『最初から圧倒的なリードをしている』ため、劇場の危機というきっかけにより主人公と再会すれば、あとは時間の問題。想いが溢れたとき、初恋は実ります。こちらのルートの特徴は子供の頃の回想シーンがあることです。でも子供の頃のみなもとしずくはシルエット(泣)作中劇中心というよりはイチャラブ中心のイメージが。演劇に興味がある方は最初にこちらのルートを攻略することをお勧めします。(ただしショートケーキのイチゴは最後に食べる人用)

さてゲームシステムに関して特徴的なのが、立ち絵シルエットと会話吹き出しです。立ち絵シルエットについてはフルプライスの作品ではちょっと……という感じ。やはりプラスよりはマイナス要素の方が大きく感じられました。会話吹き出しに関しては、大きさが変化したり、吹き出し枠がトゲトゲになったりして、いつも以上にゆっくり会話を楽しんだのでプラス要素の方が大きいのですが、立ち絵シルエットも会話吹き出しも作中劇を考えると視点の問題もあり違和感を覚えることもありました。

そう、問題は作中劇なのです!作中劇を舞台(演劇)として見せようとすると視点は三人称観客視点になります。ユーザーに作中劇を観客として見せたいのならよくエロゲーで使われる主人公視点(一人称)はありえないと思います。もちろんエロゲーとして主人公視点は当然ありなので、演劇中もずっと主人公視点で固定されているなら問題はないのですが舞台として見せる魅力はなくなります。

さらに気になるのが主人公の役柄によって視点が主人公視点だったり、三人称観客視点(もしくは神視点)だったり変化することです。主人公が一般兵士や側近の兵士の時は立ち絵シルエットありの三人称観客視点。主人公が騎士や王様役の時は立ち絵シルエットなしの主人公視点になるのです。(ひょっとしたら王様役のときに三人称視点もあったかも?記憶があいまいだー)

ほかに主人公視点で気になるのは、画面上にヒロインたちの姿が正面から見え、観客席から正面に見える舞台背景です。この配置だと主人公は観客に背を向けていることになりますよ~。主人公視点にこだわるなら背景の構図を変えるとか、三人称視点にして主人公が演じる役もすべて立ち絵シルエットありにした方が良かった気がします。

個人的には演劇中は基本三人称視点が良かったですね。演劇のもつ定点観測とゲームのもつ繰り返し性、さらに同じ演技は二度とできないので、声優さんの魅力的な生ボイスを使った演出が面白いと思うけど、どうでしょうか?

一番気になったのは演劇中のメッセージウインドウで主人公表記が宙斗であることです。演技にはふたつの意味があると思います。ひとつは演者が自らの心に嘘をつき演じること。もうひとつは演者が本当のことを表現すること。前者は演者が面白くないのに役として笑うことで、後者は演者=役となり本当に笑うことです。ほとんどの演者は後者を目指すはずです。つまりネタではなく、中の人などいない!ことなります。

特にあおいルート最後、作中劇のクライマックス。中の人(宙斗)の思考がダダ漏れで、せっかくのいいシーンがすごく微妙でした。演劇が予想以上に作り込まれていたので、細かい点が気になってしまいました。

教訓:主人公よりも劇団BRAVAに愛情を注いではいけませんよ~。

さて作中にならってアンケートを書くぞ~!!主人公があおいの歯をみがくシーンが一番エロくてお気に入りです。