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okjさんの百機夜行の長文感想

ユーザー
okj
ゲーム
百機夜行
ブランド
G.J?
得点
75
参照数
3785

一言コメント

……な、なんだってー!!まさかG.J?がリアルタイムシミュレーション!?エイプリルフールはまだ早いよね、と思っていたのがプレイ前。そしてプレイ後の感想は、『・・・・・・』

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一般的にRTSも含めSLGやRPGなどはゲームシステムの製作に力を注ぐ為、ストーリーが弱くなる傾向があります。特に本作のような1ステージクリア型のSLGは説明不足になることが多い。というのは1ステージ(本作品では1話)をストーリー全体から見ると、ある瞬間の出来事を切り取った『点』のようなものと考えられるからです。つまり第1話、第2話、第3話とステージが進んでも点が続く(・・・)だけでストーリーは上手く繋がっていないのです。

本作品では出撃コマンドを選択すると戦闘パートに移行し、今回の作戦に至るまでの状況が簡潔に説明され、バトルフィールド上でキャラクターのセリフにより戦況などが説明されるのですが、とにかく説明が短い。そして任務完了後の状況説明は戦闘前よりさらに少ないため各ステージ間の流れが非常に掴みにくいのです。インターミッション画面(幕間)では会話コマンドと資料閲覧コマンドがあるのですが、会話コマンドは主人公と各キャラとのイベントがメイン、資料閲覧は国や地名、人物などの固有名詞が多くストーリーを若干補足するぐらい。ただでさえ主人公たちが所属する徒歩11教導大隊は航空船天波によって各地(北海道、中国、関東、九州など)を転々とする為、メインストーリーが分かりずらいのです。つまりプレイ後の感想『・・・・・・』は、沈黙や静寂を表す三点リーダーではなく、点と点を繋ぐ線の役割をするテキストが欲しかったのでした。

ところで点と点を繋ぐのはテキストだけではありません。エロ要素と戦闘パート(ゲーム要素)を大きな点として見れば、ゲームシステムが両者を繋ぐ線となります。本作品のパッケージには戦術RTS×ADVとありますが個人的には戦術RTS+ADVのように感じました。何故なら戦闘パートは独立したゲームになっており、インターミッション画面で歩兵補充・強化、量産機強化や機体強化することによって戦闘パート(RTS)の戦略が変わりますが、ADVパートでの行動によって戦闘パートでの戦略に影響がないからです。逆もまた同様で戦闘パートでの行動がADVパートでのイベント進行に影響がありません。したがって戦術RTS×ADVというよりは戦術RTS+ADVの方がしっくりくるのです。しかしこれではエロ付RTSになりちょっと寂しい。

個人的にはエロゲらしく?キャラクターのパラメーターには興奮度や好感度(友好度)などが欲しかったですね。エロゲのお約束で隊員が女性ばかりのように、歩行戦車を操縦すると何故か性的興奮が高まってしまう(ニヤリ)、という設定にして興奮度が一定以上高まるとHイベント発生!(やったー)興奮度は時間経過と共に少しづつ増加しますが敵にダメージを与えると上昇量が少し増える、さらに敵撃破時には上昇量増大。好感度は主人公との関係を表すもので、戦闘パートで主人公の近くにいるユニットほど上昇量が増える。Hイベントとは別にイチャラブイベントや個別エンドを目指すには好感度上昇も必要になる。このようなゲームシステムにすれば戦闘パートでの行動がADVパートでのイベント発生に影響が出てきます。

ADVパートでの不満は特に制限もなく会話コマンドが選択できてヒロイン個別のイベントが進行することと、ADVパートで選択肢がほとんどないことです。会話コマンドの回数に制限がある、またはイベント発生に条件(例えば興奮度・好感度が関係する)が欲しかったな~。そして会話コマンドまたはイベント発生の結果、次の1ステージに限りキャラクター(歩行戦車)のパラメーターが増減するとより面白くなったかも?ADVパートに選択肢を入れたかったのは次の作戦の戦術を増やしたかったのです。主人公は一般兵ではなく隊長なので、ある程度の指揮権があるはず。既存の1ステージクリア型のSLGも含めて不満なのが敵を攻略する戦術に幅が少ないことです。普通初期配置は決められた場所(1まとめが多い)ですが戦術内容によって初期配置場所が大きく変わり部隊を複数に分けることが可能になったり、夜襲をかけることが出来るようになればより戦略性が増えて楽しめるはずです。(しかし夜間戦闘は第11話の偵察しかなくてもったいなかったなー。夜間の防衛戦で見えない敵から拠点を防衛するのが燃えるのに残念!)こんな感じのゲームシステムにすればADVパートの行動が戦闘パートにも反映されて良かったんじゃないかな。

エロ要素と戦闘パート、二つの点を結ぶゲームシステム。お互いの魅力が増すことによってはじめて戦術RTS×ADVになると思うのです。エロゲにはCSにはない魅力があると思っています。それはただ単にエロ要素があることだけでなく、エロ要素が追加されることによってもたらされる二次的な効果もあります。SLG系の場合、ただ単に敵を撃破するということではなく、いかに攻略するヒロインを活躍させるかという必要があり(エッチシーン見たいよね!)、さらにそのヒロインが超弱っちい場合なんて……特に萌えますよね?

度重なるテストプレイを経て作り上げたG.J?初の戦術RTS。その甲斐あって戦闘パートはそこそこ楽しめましたがゲームシステムを構築するのに力を注ぎこみ過ぎたのか、売りであるCG(1枚絵)が少し残念なことに・・・。立ち絵は綺麗で独特の魅力があります。ストーリーがイマイチなのはいつものG.J?かもしれませんがどのヒロイン達も魅力的だったと思います。ゲームシステム等を改良した次回作を期待したいですね~