門守の感想を一言で表現すると浅くて狭い。本作品に一番欲しかったのは女性目線で、キーワードは『食べ放題』
ここでいう女性目線というのはヒロイン視点のことではなく、女性の好む少量多種類的な目線のことです。一般的に男性は一点豪華主義で女性は少量多種類主義の傾向があると言われています。別の言葉で言い換えると一点豪華主義は深くて狭い、少量多種類主義は浅くて広いことになります。
深さゆえの面白さ、広さゆえの面白さ、向かうベクトルは異なるけれど優劣はなく好みの問題だと思います。もちろん深くて広い方が良いというのは間違いありませんが、現実的にはかなり厳しい。エロゲ的には抜きゲーやエロ薄のシナリオゲーなどは深く狭い部類に入ります。個人的にキャラの作品は浅くて広い部類だと考えています。えっ?ゲーム性に特化しているから深くて狭い部類じゃないかって?う~ん、1プレイが長くゲームシステムを突き詰めて改良している場合なら深くて狭い部類に入るのですが、キャラの場合、1プレイが短くほぼ毎回違うゲームシステムにチャレンジしているので、浅くて広い部類の方がしっくりくるのです。
門守で非常に残念だったのが、広さがなく狭かったことです。つまりやれること(種類)が少なかった。門を守るために必要なことは、戦闘による防衛か賄賂による戦闘回避の二つです。特に強力なのが賄賂による戦闘回避です。このコマンドの成功率は高く、300万Bの賄賂を払えば数ターンは敵が攻めてきません。初回プレイでも交流会コマンドでお金を稼ぎ戦闘回避賄賂を使えば、1回も戦闘せずに60ターンが経過し数千万Bの貯金が出来ます。情報収集して妨害工作するよりも、戦闘回避賄賂を使用した方がターン数もかからず効率的です。ただし戦闘回避賄賂を多用した場合は面白くなくむなしさを感じます。つまり戦闘回避賄賂はどうしても戦闘で勝てない場合の救済であり、戦闘で勝利出来るなら使わない方が良いということになります。
そうなると門を守るには戦闘による防衛しかありません。団員補充、研究、兵種変更、罠や防御施設の建設、戦闘で勝利するためにはこれらのコマンド実行が必須になります。その為には多くのお金が必要になりますが、序盤(基礎モード)から中盤(メイベルモード)までは戦闘による収入は少なく、ひたすら交流会でお金を入手する必要があります。団員補充や兵種変更、罠や防御施設建設はたまにしか使用せず、研究も2週目には全てやりつくしてしまいます。となると敵が攻めてくるまでにやることは、交流会コマンドでお金を稼ぐか休暇コマンドでヒロインとのHを楽しむことのどちらかしかありません。
交流会コマンドは交流カードを使うことによって支持率を上げ高収入を得るのが目的です。交流カードを使用する手順がシンプルで繰り返し実行することを考えればよいアイデアかもしれませんが、基本的にお金を得ることだけを目的としたことが残念でなりません。(一部でのみイベント進行に関係があります)序盤(1~3週目ぐらい)では特にお金を稼ぐ必要があるため交流会コマンドばかりを選択することになり、かなりのターンを消費してしまうからです。町の人たちの支持率によって定期的に支援(収入)が受けられるシステムにすれば貴重な1ターンを使用することはないですし、交流カードを使用してある特定のイベントが発生した場合のみ臨時で収入(もしくは支出)が発生する方法が良かったと思います。さらに交流会コマンドで仲間の誰かに依頼する(もしくは一緒に行動する)方法にしてイベントが発生するようにすれば、ヒロインの存在意義も増したと思います。ヒロインの人数分イベント数が増えるので幅が広がり周回プレイも楽しくなると思うのです。交流会はお金を得るだけでなくイベント発生の場として欲しかったですね。
休暇コマンドでの不満は、過程がなく結果(Hシーン)ばかりなことです。今作では特に初期段階からハーレム状態なので、楽しみなヒロインを攻略するプロセスがほとんどありません。過去の回想シーンが若干ありますが内容が少なくて寂しい。これでは主人公やヒロインに感情移入するのは難しいでしょう。その為にはヒロインとのイベントシーン(Hなし)も増やして欲しいです。もともとキャラのゲームはエロ薄でCGの流用(差分)が多いのですが、昨今のエロゲ事情を考えるとエロ増加傾向にあるので、CG数を増やすまたは1シーンをもう少し長くして欲しいというのが個人的な強い要望です!!(望み薄ですが)
さて戦闘関係についてですが、問題点としては使えるユニットがかなり限定されていること、戦略性が低いゲームシステム、一種類しかないバトルフィールドなどが考えられます。序盤ではどのユニットを選んでも何とか戦えると思いますが、中盤以降は使えるユニットがかなり限定されてしまいます。これでは複数のユニットがいる意味がなく幅が狭いと言わざるを得ません。またヒロインがユニットとして使用できないことや日常イベントのなさなどを考慮するとヒロインの存在意義が乏しく、まさに薄エロ要員(泣)
敵勢力の部隊編成も1周経過ごとに増減し、出撃順や場所が完全にランダムな為、味方ユニットの長所(特定の部隊には攻撃力増加)を生かすことは難しい。また戦闘マップが狭く1ターン1ユニットしか移動(部隊の入替え)出来ないため、敵のユニット編成と出現場所を確認してから味方が有利な状態には出来にくい。せめてもう少しマップが広く、ある条件により段階的に味方の移動回数が増えても良かったのではないでしょうか?
敵部隊にしてもミルカッセ、ハイエリー、グリンマイスだけでなくもっとサブキャラを増やして、バトル時に敵兵数をゼロにした場合、イベント(もちろんエロありで)が発生して欲しかったです。対イベント用にサブキャラの攻撃力は現状のまま兵数をかなり多くすれば味方ユニットをより強くする必要があり、ユーザーに周回プレイさせる動機になったと思います。
周辺地図や国地図はユーザーの妄想用です。決して未完成ではナイデスヨ……(棒)巣ドラみたいにバトルフィールドがカスタマイズ出来なかった理由は、ストーリー展開によって他のマップが存在した?なんて深読みしてもいけませんよ!
シナリオに関して、門守は一応SLGなのでAVG級のシナリオを望む人は少ないと思いますが、メインストーリーが起伏の少ない展開の為、物足りないのは事実です。個別のイベントも薄いので盛り上がりに欠けます。ライカナ王国とグラッフォード王国の戦乱に巻き込まれて、転々と守るべき門が変わっていくと面白……いや何でもありません(涙)
さてまとめですが、ん?何か忘れているような……、おおっ、『食べ放題』というキーワードがありましたね。これは周回に関係するキーワードになります。そもそもなぜ周回するのでしょうか?その理由の一つは満足感だと思います。深くて狭い一点豪華主義のゲームは、その一点においてかなりの満足感があります。食べ物で表現すればメガ盛りカツカレーや最高級の肉を使用したステーキなどになります。ただこの場合の欠点はユーザー自体の胃袋が小さかった場合、メガ盛りカツカレー場合は完食することが出来ず、真にメガ盛りカツカレーの魅力は分かりません。対して浅くて広い少量多種類主義のゲームは、1週するプレイ時間も短いため満足感を得る為には何週もしなければなりません。ただし同じことの繰り返しだけでは、なかなか周回する気にならないはずです。だからこそ色んな種類(要素)も盛り込むことによって、周回毎に違う楽しみ方が出来れば最終的に満足感が得られるのではないでしょうか?ユーザー自身の胃袋が小さい場合でも、一品の量自体を自分で調整すれば、好きなドリンクを飲み数種類のオードブルやメインディッシュを食べ、締めにデザートを食べて満足出来るのではないでしょうか?目指すべきは『食べ放題』なのです!
どうでもいい話ですが、タイトルロゴのソードシンボル*がアナルの意味で、肛門を守るお仕事だと思っていたのは内緒です(笑)