究極の作品ではない。圧倒的な傑作というわけではない。しかし、多くの人に愛されるだろう作品だ。
Qruppoは恐ろしいことを成し遂げてしまった。
2022年はまだ始まったばかりだというのに、今年度の萌えゲーアワード大賞が決まりつつある。
まだ2021年の投票期間だというのだから驚きだ。時期尚早だと思うだろうか。私はそうは思わない。
今後発売されるゲームは間違いなくこの作品と比べられることになる。
今年度の大賞はこの作品が指標となり、この作品と比べて優れているか否かによって判断されるはずだ。
しかし問題はこれだけの作品が世に出回っても、他のメーカーが慌てふためくことがないのが我々ユーザーにとって本当の問題かもしれない…。
目を引くアイキャッチやカットインが印象的だった。世界観によくなじんだ音楽や、キャラクターのクールな見た目が印象的だった。
新エンジンによって彼らはよく動き、雪の表現はなんとも美しかった。テキストが宙に浮いているのも気に入ったし、EDの演出は史上初だろう。
テキストは完璧だし、シナリオは完成度が高く、ボリュームは十分で、着地点も良かった。
間違いない。これが現時点における日本のエンターテイメントの最高峰だろう。
二日間このゲームと寝食を共にし、心行くまで味わい尽くした。ただただ幸せだった。
このジェットコースターは九千円と少々値が張るが何も心配いらない。きっとあなたを笑顔にしてくれるはずだ。
Qruppoは宣伝も得意なはずだ。これからこの作品もブランドももっと人気が増していくだろう。
きっとADVゲームというジャンルの認知を高め、プレイ人口を増やしてくれる旗頭になってくれるはずだ。
18禁ゲームが性的倒錯者や犯罪者たちの持ち物ではなく、純粋に楽しいものだと気づいてくれれば、(賢明な人々はすでに気づいていた)多くの偉い人たちが出資してくれるだろうし、そうすればたくさんの楽しいゲームが発売されるはずだ。
ぜひそうなってほしい。彼らのおかげで愛すべき18禁ゲームの未来に明るい兆しが見えてきた。
Qruppoには惜しみない賛辞をおくりたい。彼らが作り出してくれた未来に100点という記念の品を贈りたいと思う。