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offさんのひぐらしのなく頃に粋の長文感想

ユーザー
off
ゲーム
ひぐらしのなく頃に粋
ブランド
加賀クリエイト
得点
30
参照数
200

一言コメント

重厚なサスペンスホラーかと思いきや、行き当たりばったりなシナリオで整合性がなく、膨大な後付を駆使しながらファンタジーに逃げた作品。 設定の多さと謎を残したシナリオで考察が盛り上がるものの、肩透かしな展開で消化不良を起こす。 作者の思想をキャラクターに代弁させているので個性がなく、キャラクターの行動理念が死んでしまっている。 稚拙なテキストも読んでいてキツイ。子供には読ませたくないタイプの文章。 絵は原作に合わせたのかそれほど綺麗なものではなく、個人的に音楽も耳に残らなかった。 褒められるのは声優の演技と目明し編における園崎詩音くらいだろうか。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

主人公は誰なのか。
前半は前原圭一、後半は古出梨花。主人公が途中で変わっている。前原圭一には受験勉強に熱心だったことと、モデルガンで傷害事件を起こした程度のバックボーンしかないので主軸にするには弱い。作者的には都合のいいキャラクターだったかもしれないが、古出梨花に変えたのはやはり行き当たりばったりの左証だろう。

目明し編と園崎詩音
園崎詩音のバックボーンと行動理念が一致しているため感情移入しやすい。シナリオは綿流し編を有効活用した意表を突く内容でプレイヤーの疑問と期待に見事応えたといえるだろう。

SE
これは粋だけの話かもしれないがSEに違和感を覚える。まず安っぽい。シリアスなシーンにチープなSEが飛び交うのは頂けない。次にSEが合っていない。金属製の物質から木製の打撃音が聞こえたりした。

寒い会話、無駄なギャグ
相手のことをさも理解していると言わんばかりの応酬に寒気を覚える。一番ひどいと感じたのは前原圭一と竜宮レナの屋上での決闘シーンか。これは必要だろうかと思うのは随所に差し込まれているギャグシーン。数が多い上に真剣な場面でも突拍子もなく始まり、なにより内容がありきりで似たり寄ったりでしかも寒い。

気が付いたこと
竜騎士07の……はタメの演出。……ひとつで一秒と仮定すると「……………………そうだね」というテキストは四秒間沈黙したのち「そうだね」と表現していると思った。これに気付いたのは声優のセリフとテキストの表示速度のズレから発見。原作には音声がないので……の数で発声の間を表現していたのかもしれない。

まとめ
竜騎士07の作品を購入することは二度とないだろう。