邯鄲の夢を用いた現代社会風刺の色が強い作品。それを説教と捉えるか共感するかで評価が割れそう。
現実はトラストで夢はトゥルース、そしてトラストは夢で現実は大正時代という。難しいね。
歴代正田作品に比べて不評な作品だが、自分としてはさらに正田作品が好きになった。つくづく正田との相性がいい自分がいる。
個別についてだらだらと。
晶ルート
今作は双方の合意によって発動する○○顕彰が重要なんだね。重篤患者の聖十郎と全てを癒したい晶の合意で空気が旨い。この晶って子はdiesの香純とマリィを×1/2した印象、母性キャラだろうか。
歩美ルート
自分が客観的に見えるとかなんとか、そんな歩美がカナブンを窓に投げるぞーと言った場面では手厚いファンサービスに笑った。ただし元ネタが分かる人はごく一部だと思う。
絶対に裏の取れない壇狩摩との将棋ラストバトルは面白かった。
結末に文句を言う人ほど狩摩の術中に嵌まていて、双方の合意により狩摩が勝つというマジックコンボ。
真面目な人ほど嵌まるとはよく言ったものだ。
鈴子ルート
殺人不感症の鈴ちゃんが自分みたいな特異体質を持った人が、生涯特異体質に気づかないで済む社会を作りたいとかなんとか。鈴ちゃんが自身の体質に気づいたのは戦闘のせい。つまり戦闘さえなければ特異体質に気づかずに平和な人生を送れた。日常パートに殺人不感症のフラグがないことがフラグとは面白い。
そんなわけで人間によって統率された社会に野蛮な獣が入ってこないように間に立って戦うのが鈴ちゃんの顕彰。
そこに人間出身でありながら非道な人体実験によって獣になってしまい、しかし愛する父のために獣を自負するキーラちゃんが鈴ちゃんと小競り合いする微笑ましいルート。鈴ちゃんとキーラちゃん好きな俺得ルートでした。なお鈴ちゃん好きは希少だと思う。
水希ルートもといグランドエンド
強い女に弱い男が告白して女は強い人が好きと言って男は絶望、それを知った女は自分が弱くならなければならないとかなんとか。紆余曲折あって強い弱いではなく姉弟だから告白を断れば良かったと知り、双方の合意によって時間が巻き戻って仲直り。めんどくさい女だね。
甘粕さんの考えは正しい、だがやり方がスパルタすぎて反感を買ってしまうという。ドンマイ。
甘粕「魂の劣化など断じてさせん、ゆえに地獄を与えよう」
四四八「俺が見本になる、だからこんな夢に頼るな」
甘粕「その意気込み、しかと受け取った。バンザーイ×3」
かわいい。
ただまあ、もう少し掘り下げて欲しかった場面がちらほら。続編で補完されるとうれしいね。
シナリオ、テキスト、イラスト、BGMともに素晴らしい。
盧生のあれやこれは続編に期待。