原作・脚本担当の黒歴史ノートをベースにしたというなんとも香ばしい薫りを携えた本作。その真価は――
※このゲームは設定がいっぱい盛られているが物語上でろくすっぽ回収出来てないので世界観など自己解釈で書いています。ご了承ください
【世界観】
恐らく地球人がテラフォーミングしたどこかの惑星が舞台と思われる。その惑星では微細なナノマシンが空気中を漂っていてそれを利用した技術(V・Fなど)が発達している。現代にSFっぽさを足した感じ。古代文明の残した遺跡(勿論幻獣という敵がいる危険な場所)を探索するランサーという職業があり、ヒロインたちはランサーを養成するアカデミーに所属。文章は些か厨二っぽい
【シナリオ】
選択肢はあれど一本道。シナリオクリアでヒロインとのアフター√解放。選んだ選択肢によって解放される√が変わるので共通やり直して解放しましょう。2周目からは選択肢が追加されてサブキャラ√が解放。アフター√は付き合う→Hで終わるのでかなり短い。共通で語られなかった設定が解説されることはありません。第一章・完!ってところで終わり、共通パートはエロないのでメディアミックス狙いがビンビン。売れたら続編出すっていう感じだった。
VFの設定やら各キャラクターの背景など細かく作り込まれているが作中で語られることは殆どありません。下記にザッと放置された設定や疑問など
・主人公の正体の謎
遺跡探索をしていたアカデミーの学長スピアーノに行き倒れていたところを保護された主人公。自称・悪名高い幻獣神。俺様で世間知らず(冷蔵庫に入った写真をSNSにアップするレベル)で馬鹿なゆとりクソニート。
VF起動に必要なキーデバイスを使用せずにVFを起動できる。デバイスなしでVFを起動できるのはノンスフィアと呼ばれる特殊な能力をもった人(現在女性のみ確認)もしくは幻獣のみ。そのため人間とも幻獣ともどっちとも説明出来るが最後まで語られず。戦闘は力任せに戦うだけで特に活躍しない。嘘が匂いで分かるらしいのだがその根拠もない。(悪名高い幻獣神・ハルトとしての特性?)
・聖鍵の錆び
皇女から預けられた当初、聖鍵は錆びていて遺跡の特殊な門を開くにはその錆びがない状態でなければならないと判明。メインとなるヒロインのストーリーの後に錆びが取れるので恐らく聖鍵遣いの心理的な成長が必要と思われるが「いつの間にか変わってた」で通される。しかも主人公の聖鍵はいつの間にかラスボス戦の時にしれっと輝いていた。扉開けることもなかったし必要だった?
新しい階層ごとの遺跡の話も「索敵して幻獣避けつつトラップ食らって扉の間へ」で冗長。また、遺跡のトラップなどを記した詩篇を持つ皇女様は何故か探索しながら解読を行っているというアホムーヴをかます。確かに解読しきっちゃうとつまんないけど相当アレよ?
・聖鍵に記される名前
聖鍵は所有者として認められた人間の名前を浮かび上がらせる。しかしヒロインの1人、アリスは本名をアリーシャなんちゃらローランドという古代の王族の血を受け継ぐ人間で名を隠してアカデミーに在籍してる。それを聖鍵がどっちの名で表したのか気になる。手にした時にアリスが反応しなかったような気がするので偽名の方を表したと思うが特殊なアイテムとしてそれはどうなのよ。仮に本名記していたとしても学園が特定したとかも語られてないから結局謎なんだけど。後ハルトも名字まで出てたのか?
・ディオゲネスの正体
アキナの両親がお目付け役としてつけたのがディオゲネス。透明化して密室を出入りしたりと人間を辞めた動きをする。ラスト近くの発言から過去の聖女の魂とか神様とかそういう存在だと思われる。アフターで「この身体になってから」と言ってるので受肉していて霊体とのオンオフが出来る模様。
何故かCV非公開なんだけど……どっかで聞いたことあるんだよなぁ……誰だろ
・スピアーノの車椅子
こちらも諸事情あって……という言葉だけで言及は何一つなし。ラストでスピアーノがその身にオロチという悪名高い幻獣神を封印していること、「左目くらいくれてやる」という発言からオロチの力を引き出した代償と思われるが、果たして。
とまあ設定盛り盛りにしながら回収しないし使わないし、なんだったらtipsで重要そうな聖女計画事件とかウィル族虐殺事件とかを「こういう事件でした」で済ませてるのが余計理解の難しさに拍車をかけてる。ユーザーは何も知らないんだから過剰になりすぎない程度に説明を入れないと何がなんだかサッパリ分からないんだよ。というか設定だけならそんじょそこらのゲームとはボリュームが桁違いなんだからそこ書けてれば評価は変わったし、続編にも期待できるシナリオ構成になったと思う。この出来では「エタったなろう小説」という謗りは免れない。
サキのお付きっぽいのしてたアッシュくんは居る意味あったんすかねぇ……サキがラノベ書いてるの主人公にバラしたこと以外なんもしとらんやん
【エロ】
イラストはかわいいのでこれだけは期待していたんですが、一つだけ懸念がありました。―そう、主人公です。主人公は世界は俺様中心!とでも言うくらい傲慢で、エロトラップに引っ掛かったヒロイン見ても「ふん…助けて欲しくば暗黒騎士団(主人公の忠実なる部下)に入るがいい!」とか事故で木の上から落ちてきたヒロインとキスとかおっぱい揉んでも「邪魔だ」しか言わない、頬を赤らめることもない性欲が一切感じられない男なのでとても不安だった。
案の定アフターは8割方ヒロイン視点と第三者視点でエロシーンを流して終わる。愛のあるHを求めてたワケじゃないけど、最後まで主人公の気持ちが見えないのでモヤモヤが残った。ついでに言うとヒロインみんな処女なんだけど破瓜の血の付きかたがなんか「いやそんなとこまで垂れないだろ」みたいな違和を感じるのがあった。
【戦闘シーン】
◯◯は引き金を引き―
ドーンピカー
―――撃つ。
「やぁぁぁぁ!」
ヒュンヒュンピカー
◯◯がその隙を狙って剣を振るう。
(中略)
大体こんな感じで戦闘が進み、2~3クリック毎に各キャラの攻撃CGが切り替わってピカピカとエフェクトを撒き散らすのが非常に鬱陶しい。別に必殺技なんかもなく剣を振って銃を撃ち、VFに搭載されたジャマーを展開したりするだけ。最初から最後まで主人公たちの戦闘技術が向上することはなかった。
【システム】
こちらは割と高性能。バッグログジャンプにサウンド周りテキスト周り各種充実。tipsも完備。テキストウィンドウにかなりアイコンがあって人によってはごちゃごちゃして見えるかも。
まとめ
設定ぶん投げ続編前提ゲー。もしくはエタって力尽きたラノベ。キャラデザと武器デザイン、OPは好きです。サブキャラもHありで√あるのは評価する。
仮に続編出て色々疑問が解決した!っていう情報が出たらやるかも。十中八九ないと思うケド
ちなみにユニコーンことprojectLAとして発売中の第2作・ドルフィンブレードと世界観を共有してるみたいです。(ヒロインのお友達がドルブレのとあるヒロイン)…………ドルブレ体験版だけはやったけどこんな世界観じゃなくなかった…?似非あおかなみたいな発展した科学だけなイメージだったんだけど