中途半端
まず最初に襲いかかってくるのは台詞に合ってない目パチ口パク。これは設定でオフに出来るので回避は可能。
そしてそこからノンストップで繰り出されるのはカスみたいなテキストとぶった切りエピソード。それらを彩るは変態性を植え付けられた形だけのヒロインだ。
そもそもエピソードの切り方がおかしくて、以下は「台風接近で一人が心細い幼馴染みヒロイン2人が主人公の家にやってくる」というエピソードのラスト数行から次のエピソードの最初数行(原文ママ)です。
(展開を補足しますとヒロインAにラッキースケベしてしまったところをヒロインBに激写されてしまったところです)
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そう言いながら俺の目の前でさっきの写真を消去する涼華。
「これでいいかしら?」
「ああ」
「せっかく、しばらくユウくんを脅せるネタになると思っていたのに」
「……………」
「冗談よ、冗談」
ついさっき脅迫を受けた身としては、あまり冗談として受け取れない。
「ふぅ~、食った食った」
「やっぱり大盛りカツカレーは食い応えがあるな」
「ああ、たまにはガッツリ食わないとな。男たる者、肉食系が基本だろ」
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はい。全部のエピソードがこうなんです。どれもこれもが“結”が弱いというか、締めくくれていないんです。このシーンなんか「こうして嵐のような一日が過ぎていった」みたいな一文を添えれば綺麗に話を畳めるんですよ。シナリオ間の繋がりがない。こんなのばっかりなんで、どう考えてもギャルゲーでよくあるエピソードを寄せ集めただけとしか思えないし、ヒロインもよく居るツンデレキャラ・毒舌キャラ程度にしか思えないんですよ。
というかここで終わるのがオカシイ。
ヒロインBが来ました→停電しました→物音が聞こえました→お隣に住むヒロインAがベランダ伝いにやってきた音でした→ラッキースケベを激写されました
これで終わるのエピソードが薄すぎない???????折角幼馴染み3人が集まったいい機会なんだからリビングに集まってるCGでも出して「昔も台風が来たときにわざわざウチに集まって~~」みたいな過去話でもすりゃヒロインの解像度があがるのに。
その上、ヒロイン達はストーカー気質だの匂いフェチだの癖の強いキャラでそれを強調する為のエピソードも突拍子もないものばかりで魅力が感じられないというかヒロインの変態シーンをギャグ調にしてるせいでエロさというよりも荒唐無稽さが勝つ。主人公に関しても同様で、典型的な難聴系鈍感主人公の中でもタチの悪い、私が一番嫌いなタイプ。ヒロインの照れ隠しの暴言を真に受けて落ち込むし、いい年した女が好意全開で寄ってきてるのに妹みたいな可愛い奴でまだまだお子様だな~ってなるかよボケが。ヒロインと校舎の隅でSEXした後、あんなところで恥ずかしい思いさせて…本当に反省してる?というヒロインの言葉に対し、素直に謝ろうと誓ったあとに出てくる言葉が「してるしてる」ってなんだよ。気持ちが伝わらんのよ。その後も「本当に反省してるって!この通り!」と拝むようなポーズ。クソがよ。ヒロインも主人公も魅力0のつまらんゲーム。
そもそもヒロインの性癖が殆ど活かされてない。殆どがインパクトのためだけのキャラ付けだった。盗聴ヒロインは主人公の声を盗聴しながらオナニーしないし、露出狂ヒロインは野外シーンが一度あるだけで普段は普通に過ごしているし、匂いフェチヒロインは飼ってた犬に匂いが似てるとか言う始末。
BGMに関しても酷いの一言。わいわいドタバタしたシーン中だとしてもヒロインが「ぶっ○すわよ」的な発言をするとぶつ切りノータイムで急にシリアスBGMが流れ始めて2・3回クリックするとまたノータイムで元のBGMに戻る。もうね、どういう気持ちになればいいのかわからない。
どの√もつまらなかったのだけれど、特に酷かったのは涼華√。
露出狂ヒロインの筈なのに不慮のパンチラシーンでは「今日はたまたま可愛くない下着だっただけでいつもはセクシーなやつ穿いてるから」と顔真っ赤にして退散するし、何故か終盤で不治の病で残り少ない命だとカミングアウトするクソ展開。発作が出るときはもう死ぬ寸前で普段は激しい運動をしなければ何ともない……まぁこの際「そんな病気があるか!」みたいなツッコミは置いておくとして。これの何がクソかってのは今までアホな展開ばかりだったのに急にシリアスぶるところなんですわ。最初からシリアスな雰囲気のゲームだったり『生と死』がテーマだったらこんな展開もいいんです。むしろ必然。でもこのゲームは序盤から「ギャグ満載、変態ヒロインとのドタバタ学園ラブコメ」なんだよ。そんな作品で「不治の病のヒロインに最後まで寄り添うんだ!!」みたいなことされても感動しない。病気が治らなかったら出来の悪いお涙頂戴、愛の力で治ったぜ!ならシリアスぶち壊しの二択にしかならない。
その他の√も大なり小なりトラウマとか抱えてたり、目標を邪魔する敵キャラが出現するのだけれど、そもそもヒロインや主人公に魅力を一切感じないので正直どうでもいいし、何よりどこかで見たことあるような展開が繰り広げられるだけ。キャラゲーにも抜きゲーにもバカゲーにもなれない中途半端な作品。
天丼も多いしギャグもテンポが悪く突拍子もない展開ばかり。ヒロイン達の変態性癖を押し出してはいるけれど活かしきれていないか、只のヤベー奴にしかなっていない。ツンデレヒロインにしようとして只の暴力女になっている等、シナリオ・キャラ・BGM全てにおいて褒められる部分はない。youtubeとかでOPムービー見るだけで十分のゲームです。むしろこの電波ソングが唯一のいいところ。