エロゲー製作に関して(フィクションもあるんだろうけど)予算や納期とか商業で出すうえでかなり現実的な話が多く興味深かった。
未来ルートが一番良かった。新人ライターがロープラ一本書き上げるまでの話で、新人らしい悩みや書き上げた嬉しさなんかが、そんなに高尚じゃなく実際ありそうな尺度で書かれていてすごく応援したくなった。最後、自分のシナリオを誉められたシーンで少しうるっときてしまった。
新人らしく絵素材を無視して書いちゃうところとか、ゲームは1人じゃなくてみんなで作ってるって意識がだんだんついてきて、プライドを捨て周りに頼れるようになってく過程とか、さやかさんの厳しくもしっかり成長させようしてくれてる姿勢とか、そういうことがあってこそ一本書くことができたんだと思う。
ものすごい能力がある人なら、ほとんど一人で完結して何かを為せるかもしれないけど、実際多くの人はそんなことない。未来はは後者のタイプで、人間的にも実力的にも凡人なんだけどみんなの協力があって書くことができて、そこがフィクションじゃなく割と現実にありそうな話でとても良かった。
気になった点は、未来以外のルートでの話の山場に全部SNSの炎上が絡んでいたこと。notファンタジーでリアル寄りの世界観で起こりうる問題がSNS炎上ってのはよくわかるんだけど、どうにもその描写が俗すぎる気がして、ほとんどすべてのルートで起こるとそれしかないのか?って気分になってしまった。
SNSユーザーって全体でみればただの有象無象なんだが、この作品のシナリオ上ではSNSの書き込みによって主にメンタルがかなり左右されている描写が多かったので、今のクリエイターにとってSNSの評判とかって本当に密接なんだろうなぁ…と感じた。作品の感想とはちょっと違うが、もっと本質的な喜びとが悩みが持てる世間になってほしい。