様々な要素を入れすぎて、ノベルゲーという前提でプレイするといまいち物足りないものになってしまったように思うが、既存の枠組みを超えたいろいろな試みを盛り込んでくれたこと自体はとても素晴らしいなと感じた。
様々な要素を入れすぎて、ノベルゲーという前提でプレイするといまいち物足りないものになってしまったように思う。ノベルゲーの特長の一つとして登場人物の感情や関係性の移り変わりを文章で表現できるという点があり、そこを期待してプレイしている人も多いと思うが、そのためには作品内での関係性や感情を揺さぶるようなイベントが一定数要るし、その為にはある程度の文章量も要る。本作は、登場人物も多く、それぞれの人々の立場や性格をかたちづくる背景設定は深いものがあるんだようなと予想はできたが、それを表現するだけのイベントや文章量がやはり単純に少なく、感傷的な場面でも登場人物に寄り添うことが感覚的に難しかった。
もともとエロゲーつくってたHARUKAZEスタッフの新作ということで、僕としてはノベルゲーがベースにあるという前提を無意識に持っていたが、それよりも、アニメ、CG、文章といったいろんな要素が含まれているエンタメ的作品だと捉えたほうが多分楽しめるんだと思う。カートゥーンアニメーションはとてもかわいくてキャラクターに愛着が湧いたし、異常なCG枚数にも数々の場面で魅せられた(どれだけ時間かけたんだって寒気もしたけど)。既存の枠組みを超えたいろいろな試みを盛り込んでくれたこと自体はとても素晴らしいなと感じたので、次回作も似たような方向性でいくのなら、エロゲーマーとしては、この作品を一つのベースにして登場人物の一段深い描写をある程度のストーリーや文章量をもって表現できれば、より面白い作品になるんじゃないかなと思う。