気になる点はちょくちょくあるけど情熱を感じる作品でした。
人は生きているだけで何かを不幸にしている、穢れていることを受け入れて前に進まなければならないというメッセージを随所に感じ、とても共感できました。この視点で言うと、特に美衣奈が好きです。自分の周りの世界をが幸せならば他は不幸になるのも仕方ない・・・といった考えを持っています。エロゲーのヒロインは基本的に精神異常者なので異常なまでに博愛主義の人間が多いですが、そういったヒロインとはちょっと違う人間らしさというか、親しみを感じることができました。
ただ、このことを強く感じただけに過去ENDは疑問が残りました。未来を生きるエンドは輝久夜を選んでいるので、過去に戻るエンドは友人たちを選ぶという対比であるべきじゃありません・・・?過去エンドで輝久夜が復活しちゃ醒めませんか・・・?これについてはいろんな方の意見を聞いてみたいなぁと思っています。
シナリオとしては、序盤で5つの難題とかいって中二病みたいな名前つけ始めたので萎えましたが、一つずつ謎が明かされていく過程はワクワクはしました。個別はループものだけど、ネタバレで根底から覆されるので衝撃的でした。実際ループしてませんからね。終盤の怒涛の展開、ネタばらしはどんどん引き込まれます。こういう勢いはセカイ系の醍醐味だと思うし、すごく興奮して読み進められました。ただ、セレネの発生とか時戻りの能力とかその辺の説明はガバガバだし流石にもうちょっと説明が欲しい・・・と思った部分は多くありました。
(こういうゲームは理屈を求めずに感情で読み進められたほうが良いのだろう、と無理矢理自分を納得させましたが・・・。)
あと不満点としては、恋に落ちる描写がほとんどないことですかね。個別は入ったとたんいきなりヒロインが主人公君のこと好きなので・・・。恋愛の過程を求めるようなゲームではないとはいえもう少し、近づきあっていく過程を描いてほしかったなぁとは思います。
他に特筆すべきはやはりCGだと思います。とても綺麗です。一枚絵表示されるたび何度も息をのんでしまいました。これは本当に一級品だと思います。
総じて、粗も目立つけど随所に素晴らしさもある内容で、一線を画した作品にしようという思いは感じました。こういう情熱が感じられる作品はもっと増えてほしいと思います。次回作も楽しみにしてます。