伏線回収は見事。心情描写をもっと
伏線回収については序盤中盤までの退屈な時間が全部肯定されるくらいに大変素晴らしい。
途中まではキャラの可愛さを全面に出した退屈なキャラゲーという感じか。
ラスボス追い詰めも大きな破綻を感じず、上手く幕を引けていると思うと思った。…エンディングまでは。
しかし、私は以下の点について残念に思ったり、理解できなかった。
・とくに主人公の心情描写について
所長がいない未来なんてがらくた、と思っているのにわざわざ未来に帰ると心変わりする理由が弱すぎる。そのがらくたの描写もされないので余計に分からない。また、基本的に所長の嘘などをつい漏らしてしまうなど大変いい子な主人公で描写されているが、それが加藤というか万斎子孫の存在排除につながる理由も描写が不足しすぎていると感じた。
未来へ帰る理由が明らかに弱いと感じている私にとってはこの流れは意味が分からない。
他のキャラについても心情描写が弱すぎる。遠子の恨み度がどのくらいかよくわからんし、柳楽刑事の正義正義の理由も欲しいし、ただの悪人となっているラスボス加藤くらいはもっと描写して欲しい。
・主人公の知識量が多すぎること
蓮と同世代ということ、酒が飲めないと言っているので20才以下は間違いなさそうだが、たいした理由付けがないのに知識量が多すぎる。作中の名探偵ぶり、エンディングで飛び級したほどの頭脳を持っているなら、2020年タイムスリップ前の知識が豊富である理由の描写は入れるべき。単にWW3中でした、だけでは足りない。
また、普段明晰な頭脳で通っているのに首相暗殺の犯人になるはずだった人物を最初に捕まえようとする際には、抵抗されることをまったく想定しておらず逃がすという何も考えていないような描写がされたのはちょっとどうだろう。犯人が、主人公か刑事を隠していた拳銃で一時的に人質に取って逃げたくらいの描写にしとけばいいのに。
最終局面で地上の見張りを撤収させたくだりについては、命令もないのにあの程度の理由で撤収する軍人はさすがに無理やりすぎるのはないかと思う。あくまで私邸の警護であるのだろうから、そこは軍人ではなく金で雇ったゴロツキなどにしておくべきだった。
そもそも怪盗に対して雪葉がどうやって入った?と聞いているが、それは主人公達も同様では…?
そういえば初回の震災シーンでヘリ?が出てくるのは何も回収されてないな。加藤頑張ってますアピールだったのだろうか。
どうでもいいけどナリゴンの顔ってお面にしか見えなかった。いつ外すのかと。
最後にエンディングに登場人物のその後を記載するのはおお、と思ったけど万斎結婚しとるやんけ!!!!!!!!
感想の締めはもう少し肯定的に終わりたかったけど、エンディングでの万斎結婚はほんとひどすぎる。科学系の知識はないのでふーんそうなんだで読んでおり、加藤が消えたのは万斎が結婚する未来が完全になくなった1点で理解している私には本当にひどい裏切り。
82点ぐらいにしようと思ったけどマイナス10点。