作品全体の雰囲気はよく、とくに共通部まではほとんど違和感なく物語に没入できた。しかし、主人公&ヒロインの相手への気持ちが変化していく描写が足りなかったり、細かいところの展開が少々粗かったり、ルートごとの設定の相違だったり、メインと思われるルートではやりたいことを詰め込み過ぎて取り散らかった印象を受けた。
杏鈴かーわーいーいー
杏鈴が実妹でもっとじゃれ合いが多かったらそれだけで80点上げてました。
またつばめは天使かと思いました。本当に超優良物件ですわ。
共通部は1つを除いてとても印象がよい。
過去エピソードの心情描写はそれぞれグッと胸に響いて目に汗が出てくる。
共通部唯一の躓きは泉の描写。
加賀美姉妹が来てからの昼のパンイベント。主人公と泉の毎度の夫婦喧嘩として生温かく捉えられてるんだろうけど、
今来たばかりのヘキルにパンを購入するために並んでいる人たちを無視して、店員の泉がパンを渡すのはおかしい。
これでは、泉が普段から仕事中でも身内びいきをする人ということになってしまうし、
そんな人が上で書いたような毎度の夫婦喧嘩として反応をされるとは思えない。
無駄に印象を下げないでほしい。
またコンセプトとして、10年前からのそれぞれの想いを各ルートで表現しているのだと思うけど、
そのヒロイン選択肢すべてが過去エピソードというのはどうかなと。
過去の時点でヒロインが決まっているので、現在の共通部の表現と反する、とまでは言わないが、
それぞれのルートに入ってからの主人公のヒロインへの想いだったりが唐突に出てきて困惑する。
選択は共通部の後半にすべきだったのではと思う。
また主人公、ヒロインそれぞれの相手への気持ちが変化していく過程の描写が足りない。
主人公がヒロインを気にする→ヒロインへの好意を実感する→ヒロインへアタック!
のような流れをおおまかに組んで欲しいのだが、最初か、真ん中が抜けている感じ。
もう少し丁寧に描写してほしい。
各ルートについてプレイ順に。
泉ルートは、ごめん。ここまで泉がツンでウザいと入りたくないです。のでスルー。
加賀美姉妹ルート。
主人公が美術部に入るところだが、、、杏璃も言っていたが勉強のために演劇辞めたということになっている。
年月は多少経過しているし、気持ちは変化するものだけど、つばめらに申し訳ないとか思わないのだろうか。
もう少し悩んで相談するところと思った。つばめもガッカリしてたし、ね。
このルートは紫苑がとくに杏鈴ルートと真逆のことを言うのが一番引っかかる。
父親がハーレムOK!の意見に対し、紫苑がご主人様の釈明は後ほど伺いましょう、と圧力をかけまくっているのだが、
主人公には心に決めた方々に誠意を持って~の一言で終わることも疑問。
杏鈴ルートでは妊娠疑惑に対し、(経験からくる)ものすっごい正論をぶつけたに対し、こっちは何なのだろう。
ここはこのルートのクライマックスとして、紫苑vs主人公の激論が発生するところでしょう。
10年間がどうのこうのいうなら幼馴染二人も同じだし、
それに2人OKなら杏璃あたりは私もワンチャンあるのでは?という流れになると思った。
杏璃ルート。
共通とライターが変わっていないはずだが、HR中に主人公、泉、つばめが結構会話してたりする。
泉は教卓前で、主人公とつばめの席とは真逆と言っていいほど離れているのだが。
このルートはエロゲ学生会の展開なんですよね。。。
エロゲ学生会って理由もなしにものすごい権力あったり、妙に忙しかったりするのが好きじゃない。
もっとシナリオ本筋と一体化して繁忙理由などがあれば問題ないのだけども、この話はとくにない。
そして杏璃が、泉並みにウザくなっている。あまり読みたい内容じゃなかったのでスキップ使いつつ終了。
つばめルート。
本当は最後に回そうかなと思ったけど、なんだか杏鈴ルートがメインルートのようなのでこちらから。
このルートは演劇周辺の設定が甘いこと。泉の失恋ネタを最後に持ってきたせいでつばめの印象がかすんだことの二つが問題。
つばめはかわいい。とても。
まず、つばめがヒロイン役を断るのだがその理由が明確でない。ここから主人公とくっつくための流れに乗るのだから理由を明確にしないと。大役うんたらと本人が言っていたので、共通部からあまり演技に自信がない感じにしてずっと端役しかやってこなかった、にするとか。
また、虎吉は脚本兼演出兼舞台監督となっている。
脚本、舞台監督(というより監督というふわっとして感じになっているが)の役割は出ているが、一番重要な演出の役どころをさっぱりこなしていない。
演出なんだから、それぞれの役者の演技の方向性を作品全体で統一させるために稽古後に指導すべきなのだが、
稽古後にそのままおーしそこまで!今日はこのへんであがろうか。で終わったり、見て欲しいとつばめに言われてもまあまあや。で終わり。
演出いないのかよ。どんな演劇だ。
このルートでは次にプレイした杏鈴ルートへの期待感を大幅に上げた一幕がある。
つばめとのエッチを妹たちに覗かれてしまうのだが、
杏鈴「……せ、せっくすってそんなに気持ちいいんですか?」上目遣い
早く杏鈴ルート行きてぇえええええええええええええええ!!!!!!!となりましたね。
杏鈴ルート
初っ端から共通でもあったようなえへへ兄さ~ん。こういう妹との触れ合い、じゃれ合いは素晴らしいですね。
また主人公からは至言も飛び出します。
「こうして妹が甘えてくれる。それだけでお兄ちゃんは大満足なんだ。」
しかし、主人公が杏鈴に妹以上の関係を求めたい気持ちがあったなどと唐突に思ったり、
共通や他ルートではまったくだった杏鈴がいきなり兄loveになっているなど展開が粗いです。
エッチなことはいけません!てな感じだったのに。展開が早い!早すぎる!
このライターは共通部と同じ人のはずなんですが。
しかし、杏鈴、杏璃が本音で言い合う場面はよかった。これがないとこの後ずっと相手への負い目だったりを引き摺っていってしまうので。
この作品のクライマックスだったと思います。ただ、ちょっと杏鈴の口調が大人っぽいかなと。
もうエンディングでええやろ、と思っていたら紫苑がちょいちょい体調不良に。
そういえば主人公の孤児設定が活かされてなかったなとは思ったが、杏鈴ルートなのでもっと杏鈴をメインで使ってほしかった。
これだったら杏鈴ママネタをもうちょっと引っ張って構成してほしかったと思う。
最後に。
虎吉、デイリーンスポーツ、猛虎魂…妹の名前がつばめでよかったのだろうか。