一般的な恋愛ADVではない
この作品はヘタレ主人公がヒロインたちの告白を受けていく過程で、恋愛について他者の意見を受けながらも主人公なりに考え、伏線を置いていき、メインヒロインの夏帆先輩で回収するという一般的な恋愛ADVとはかけ離れているギミック重視の作品という印象を受けた。作品コンセプトにフーダニット、ハウダニット、ホワイダニットとあるからどうしてもその印象が強い。
もちろんコンセプトはそれぞれ網羅されているし、学園恋愛モノとしてクラスでの青春模様もよく表現されており、夏帆先輩ルートでは読後の清涼感もあった。
主人公がヘタレなのは作品の都合上仕方ないのだが、個人的に不満だったのが留年先輩、林檎、二人の脇役である。
留年先輩は悪役として活躍するが、留年先輩の思考がよく分からない。まあ悪役の思考なんか理解できない方がいいと言われたらそれまでではあるが、終業式の日に夏帆先輩にラブレターだして主人公をアシストしてみたりすることもあれば、基本的には悪役としてヘイト集める言動している。一貫性がなくてよく分からないし、単なる学園恋愛モノ（と思っていた）でそんなヘイト集められても解消方法が乏しくてボイスOFFにしたくなるほどうざったいだけだった。一応終盤に主人公がやり込めるシーンはある。
また、林檎は主人公の親友枠、ラストでは恋愛感情があると分かる。そんなキャラが夕紀ルート後の共通であれだけ主人公を言葉で拒否できるのは何なのだろう。文化祭でも最後に登場してヘタレ主人公を惑わしているし。
ここまで林檎を使うのであれば、子供の時から回りを拒絶したりする背景などのモノローグを複数入れて欲しかった。
キャラとしてはヒロインはみんな好き。
とくに観月先輩。主人公に発破をかけるシーンは、それまでからの観月先輩の成長を見ているととてもかっこよかった。
絵についてはあまり…とくに一枚絵ののっぺらぼう主人公は怖い。
某ママⅡクラスじゃなければだいたい慣れるから大丈夫だけども。夏帆先輩はそのなかでもそこそこ可愛かったかな。
最後にバグ。
誤字は少々、夜なのに背景明るいとか、街中背景なのに下校時間が過ぎてて先生に怒られるとか、私服ヒロインなのに制服を脱ぐ～などのシーンがある。また一ヶ所、本来入るボイスが飛ばされてて同じボイスが連続で再生される箇所がある。
さらに夏帆先輩の初エッチシーンではまったく同じセリフ＆ボイスが数クリック後に出てくる。同じセリフを二回出すところでもなかったので誤りだろう。
システムのバグとしては、留年先輩がうざいのでボイスOFFにしたら全員ボイスOFFになった。これはデバッグはきちんとなされているのか疑わしい。
総評としては私にはこの作品はあまり合わなかった。合わなかった最大の理由は、私はコンセプトを見て私の中での一般的な学園恋愛モノをこの作品に期待していたが、この作品はそういうものではなかったということ。パスタをだと思ったメニューを頼んだらペンネが出てきたようなものである。
このライター自体はウグイスカグラ3作を通して私に合っているなと感じているので、今後はもう少し固定観念を排して楽しめたらよいと思っている。