今回は気になる鬱展開は少なく強制鬱バッドは無いが、その分のインパクトは欠けるかも。物語は個別ルート含め伏線が複雑に絡み合う内容で、話の理解が必要な若干玄人向けの魔法物。他とはちょっと違う作品をやってみたい人にお勧め。細かな評価は長文で。
評価は５段階でＡ～Ｅ
■システム：Ａ
過去システムからの進化は、使い勝手の向上がメインの様子。
設定項目数は標準よりは少し多めで、快適に動かせる。
イフェクトは無しを設定しても完全には切れない。
音声の全体調整が無いのはマイナス。
通常のロードセーブを呼び出すのに２手間掛かるのはマイナス。
通常スキップの速度はそれ程速く無いが、シーンスキップがあるので問題なし。
他所様でも、今後この作りの話はシーンスキップを常設して欲しい物だ。
■絵：Ｂ
１枚絵は色指定間違いや詳細が怪しい箇所があるが、基本的には質、量とも問題無し。
絵と文章が合わない箇所、世界観と背景が合わない箇所あり。
この３段重ねの校舎や廊下、他で見たそのままのような・・。
■声：Ｂ
主人公含む男性除きフルボイス。やはり話が長い程男性のボイス無しは目立つ。
女性側は抑揚が怪しい箇所や、文章や漢字の読み違いが数箇所ある。
文章の読み間違いはシナリオ側の説明不足もありそうだが。
戦闘描写で叫ぶのが大変だっただろうとは思う。
■歌、効果音、音楽：Ｃ
歌とその派生曲を除き、殆どZWEIWORTER(以下ZW)みたいな・・と言うか同じ物では。
それ程雰囲気に合わない訳ではないが、流石に良い評価は出来ない。
■シナリオ：Ｂ
物語の構成は共通シナリオでの選択結果での個別ルートへのフラグ判定分岐。
オンリー＆アップ系選択はほぼ必須だが、共通部の選択肢が難解なZWより良い。
話は複雑な伏線を張った大きな物語をベースとなる世界観とし、その部分部分を各ヒロインの個別ルートとして見せるような作りで、完成度は高い。
長さは共通シナリオ、個別シナリオとも適度。
共通シナリオは魔法物＋学園物での各ヒロインのエピソード＋共通イベント数点だが、インパクトは薄い。
個別ルートは所々に鬱系展開が埋め込まれていたり、短い鬱バッドはあるが、鬱展開ルートは若干を除き無い。
どのルートも最後は(多少強引でも)ハッピー方向に話が戻されるので、鬱展開を気にする人も多分大丈夫・・まあ、その強引な所で若干の伏線が放り出されたりもするが。
基本的には上記世界観反映による伏線が複雑に絡み合う様がどのルートでも楽しめるのだが、上記した鬱系展開が弱い点を他の要素で補えておらず、どうもインパクト不足を感じる。
戦闘描写は、絵＆効果音含め、こちらもインパクト不足。
テキストに段組ミス、誤字、脱字、お決まりの"v"等、色々品質上のミスが目立つ。
また声とテキスト両方に単語表現の揺れが目立ち、特に「魔法」の揺れが萎える。
声優にルビか漢字、どちらを読ませるか指示しなかった？
立ち絵、背景の指定ミスも若干あるので、一度位は修正されるかも。
色々書いているが、話としては十分面白いし、フルプライスの価値もある。
一部おバカなルートがあり、属性持ちの人はツボに嵌るかも知れない。
■トータル：Ｂ
製品全体として致命的な問題は無いが、各所に細かなミスが目立つ。
話はZWと比べるとインパクト不足な面はあるが、それでも他には無い複雑な伏線の絡み合う話が楽しめ、十分にお勧め。