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nogaanさんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
nogaan
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
80
参照数
196

一言コメント

前半は苦行、後半は展開を追い続けてしまう。ファンがサクラノ刻を待ち続けた理由が分かる。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 ヒロイン√は正直茶番(無くてもよいのでは?)、回収される伏線は良かったが内容が薄い上、読みずらいただ長い文章でやめたくなった。勿論 櫻達の足跡 に関する部分は良かった上、エロゲとしてヒロインがHなのは良かったが、恋愛というよりは主人公による博愛?にしか感じられず、無理やり各ルートを分けたように感じた。(というか個別など作らず一本道で作っていけばよかったのではと感じた。)
 しかし、雫の過去話からⅣⅤⅥと続く部分は止まることが無く、とても物語に引き込まれ面白くあり、続編が気になる人がいる理由やこのゲームを神作品だと言う人の気持ちも理解できた。

 結論として80点。今現在は決して神作とまではいかず、万人に勧める訳ではないが、時間のある人間や、最後まで続けてくれる人には勧めたいゲーム。若干鼻につく文章や気になる点もあったが、最終的にプレイして良かった。サクラノ刻によって評価が変わるのかも。
 美味しい部分に中々辿りつかずお腹いっぱいになってしまう、しかし、美味しい部分は本当に美味しい。そんな感じ。さぁ、サクラノ刻に行こう!

 先人よありがとう、自分1人だったら途中投げて凡作以下扱いだった。あと、トーマスいる?多分いら

以下個別

 さて、個別√に関して、真琴は可愛かったりいいキャラをしていたが、唯それだけ。共通の読みにくさが気になり、大きく点を下げてしまう。冗長さが目立ち話自体の価値を下げてしまっていた。

 稟√は他の√を進めていけば行くほど価値がなくなっていった。可愛くHなのは良かったが凡作以下。本当に読みにくいのは罪。また、本筋が魅力的な分、こちらの√は話の根幹をもぎ取られた後の空っぽな物語に感じられて残念だった。物語を一本にしたらこうはならなかったのではと思ってしまう。

 だが、里奈と優美√は個別√として完成はされていたと思う。毒キノコとオオカミの例えなどは良く、続く雫√への説得力が増したのは良かった。ここで某AIRの様な作りだと感じた人も多かったのでは? と思いたい。また、2015年に同性愛を普通のエロゲに入れた点なども良いと思う。キャラとして優美は好きになれて本当に良かった。この辺りまで主人公が唯の舞台装置の様に感じられ、余り好きではなかった。

 雫√は、過去から現在へ続く部分として100点で、特に過去編から文章の冗長さが気にならなくなり、一気に物語に没頭できたのでこのゲームをやって良かった理由が出来た。前から続く伝承部分はオカルトの説得力になり、この部分がエロゲだなという事を思い出させてくれる所だった。ここから主人公がきちんと主人公しているように感じられ、それと同時に、このゲームを好きになった。

 藍√は短かったが、恋愛というより家族パートだった。肉体関係のある血のつながっていないシナリオ。そんな感じ。どちらかというと456という本筋のifであってオマケパートだと感じた。だが、これでいい。

そして、本筋の456パート。下地が多い分面白く纏まった物語で大変良かった。が、それにしても楽しむための下準備が多すぎて、全体として見たら点数を下げてしまう。もう少しストレスなく、纏めてある物語を楽しみたかった。
 ただ、才能の使い方や目的、才能にあてられてた者の話は本当に面白かった。そしてⅥ章をやれば誰でもサクラノ刻が気になるというもの。