雰囲気ゲーではある。だがそれが良い
ソフマップに投売りされていた。購入動機はそんなところだったと思う。
評判も悪くないらしいし、絵もキライじゃないし。
そうしてぼちぼち始めてみたら、止まらなくなった。
なんというのかな、他のゲームには無いものがこのゲームにはある、という表現がしっくりくるのかな。ふわふわとした日常がゆるりと進み、その中では兄弟げんかが勃発したり、ヒロインが自分に都合の良い嘘をついてしまったりして、私達のごく身近な感覚が反映されたシナリオが語られる。
私は、このような身近な感覚がとても気に入っている。
音楽が自己主張せずに物語に同化している点も素晴らしい。他のゲームにはない程の同化率(?)だと感じる。すなわち、サウンドトラックを聞いているだけで素晴らしいと思えるわけではないし、しょぼい曲だというわけでもないが、ゲーム内で聞いているとまるで秋の夜長に響き渡る鈴虫の鳴き声のように感じられるということである。あまりにも自然であり、一つの雰囲気を作り出す大切な『役者』たりえる。
えっちぃシーンが殆ど百合だというのは別に気にしない。そりゃぁまぁ、女同士でやっても生産性が無いし、それに、それは本当の愛ではない……とか言うと宗教関係の話とかも関わってきてしまうので省略。
一つだけ言いたいのは、すみません、レズシーンはCtrlで飛ばしました、ということだけ。このゲームに私はえっちぃものを求めていませんでした。
あと、物語の核となる演劇部分。私は某演劇ゲームで見事にだまされた経験がありますので、演劇の部分がしっかりと作りこまれているかどうかをかなり気にしました。
結果は上々。演劇が最初から最後まで演じられていれば最高だったのですが、全体の話がおかしくならない程度に作りこまれていた&上演されたので、良かったです。
会社が倒産したということで、コンシューマ化される可能性が低いのが残念。もろに一般ユーザ向けの内容だから勿体ないことこの上ない。
最後に。
私の感想では、このゲームは完全な雰囲気ゲーです。とてつもないどんでん返しとか、世界を救う熱い展開とか、誰かが誰かの仇だとかいうものはありません。いや、無いわけじゃないんですけど、そういう部分を楽しむゲームではないと考えている、ということです。
なので、コタツに入りながらみかんを食べながら、明日の天気について一喜一憂しつつ、将来のことなど忘れて『観る』のが、カタハネのベストの楽しみ方かと思います。