ErogameScape -エロゲー批評空間-

no-attさんのコイバナ恋愛の長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
コイバナ恋愛
ブランド
ASa Project
得点
99
参照数
932

一言コメント

男女CP好き向け題材×エロゲ文脈の作品。良くも悪くも今のところ唯一無二な雰囲気の作品。アサプロ作品に初めて触れたが、ここまで自分にヒットするとは思っていなかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

作品への好感度   S(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 A(S・A〜E)

各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:めぐり→常夜→千依→こころ
評価:共通>[越えられない壁]>こころ>>>千依>常夜>>>めぐり


共通
そうそう、こういうのでいいしこういうのがいいんだよ!というシナリオ運びでした。
どのキャラも皆愛着を持つことができて、どんな掛け合いでも楽しめました。お気に入りは鴇矢、トコちゃん。鴇矢はイケメンなのに一人遊び大好き系男子小学生でしかないというギャップが凄まじく、彼の一挙手一投足に思わず笑いが出るほど。トコちゃんは一人だけヒロインという枠組の若干外にいる感じなのが好きでした。また、この手のキャラにありがちな「無口おっとり」ではなく「やかましい厚かましい」だったのもよかったかなと。声優さんの演技が光っていました。

主人公も体験版の流れから最初はどんなクソ野郎なのか?という方面でワクワクしてたものの、体育祭終盤には普通にカッコいいと感じる面が多かったのもサプライズ的でよかったです。ヒロインであるめぐりと同じような体験ができるのは貴重だと思います。

後半の修学旅行編は特に楽しくプレイできました。鴇矢と恋河原、大河と小枝の話は特に好きで、やってる最中脳内がしっちゃかめっちゃかになっていました。恋河原が鴇矢にガチ恋し始めた時なんかは思わず震えが来たほど。普通のエロゲではこんなにシナリオも終盤になってから(肉体関係無しに)恋愛感情を自覚するような話の作り方は難しいと思います。それをやり切ったのは素直に凄い。
この作品構造だからこその見せ方がきちんと考慮されていたのが良かったです。


めぐり√
共通ルート前半は基本的に彼女がメインヒロイン枠というかなり異色な作り。しかし“ヒロインとして”は彼女が一番魅力的に感じなかったのもあり、多少恋愛にのめり込むにはキツかった部分があったことは否めません。

個人的にHなことに積極的な彼女がとってもすけべなのは良かったと思います。


常夜√
え、怖…となるくらい謎に前のめりで良かったです。テンションも変わらず共通の箇所に前述した通りのままで、謎の乾いた笑いに包まれていました。

設定に関しても、実は隠れ幼馴染?で主人公やその妹に付き纏ってる理由もちゃんとあって良かったです。しかし家のエプロンとバイト服が寸分違わず同じなのだけは受け入れがたいです。


千依√
めんどくさい系幼馴染。まさかここまで他の女に敵意剥き出しだとは思わず、その点でも好きになりました。一人だけかなりトゲトゲしいキャラなので好き嫌いが分かれそうだと思いました。

話はHばかりであまり特筆すべきところがないです。幼馴染だから全部もうイベント事は済ませたという展開は悪くなかったのですが。

しかし個人的には一枚絵がだいたいどれも好みでした。窓枠に足をかけてるチーの絵は幻想的で好きです。


こころ√
彼女と心を通わせてどんどん仲良くなっていく道程が主人公周りの話のキモだと思っているので、彼女のことを好きになれた=この作品が好きということだと思っています。

分岐の最後の位置にいるので、多分彼女がメインヒロインだと思います。そう思うと誰を最後に攻略しようと迷うこともなく彼女が最後って感じのシナリオでした。千依√のシナリオ運びが少し雑だっただけに余計にそう思います。

ルートに関しても付き合う→H→話終了の他のシナリオよりは明らかに満足できる出来であり、全ルートにわたってこれができていればなあと思ったり。



その他
・コンセプト
本作のようなコンセプトのエロゲを今まで見たことがないのもあり、この時点で評価が高かったです。他に似ている作品があったら聞きたいくらい。
主人公以外にもきちんと恋愛するキャラがいる作品か、複数主人公作品がもっと増えてくれればなと思います。



総評
とにかく明るく楽しく、唯一無二な作品でした。学生時代の恋バナにこれっぽっちもいい思い出がない自分が楽しめるかどうかずっと心配ではあったのですが、そんなことは関係なく楽しめました。
また、エロゲ文脈(下ネタがあったり、ヒロインを攻略するシナリオ運び)で男女CP好き向けの作品をやってくれたという功績はかなり大きいと思っています。

しかしメインである主人公の恋愛についてはめぐりと常夜は特に内容が薄く、千依は付き合うまでの心理描写は濃厚でも付き合ってからの描写がH以外碌に特筆すべきことがないのは本当に残念でした。肝心のこころもH性欲性欲Hみたいな展開ばかりでデート的なシーンがすごく少ない。そういった意味では、Hシーンがある作品(エロゲ)としてこの世に出た弊害をものすごく感じてしまった作品でもありました。

サブ CPがお気に入りなので、FDを早く発表してほしい…