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no-attさんの十三機兵防衛圏の長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
十三機兵防衛圏
ブランド
ATLUS
得点
78
参照数
193

一言コメント

ゲーム性の強いアドベンチャーというアドベンチャー好きにはたまらない作品。のめり込むようにしてプレイした一方で、振り返ってみるとシナリオやキャラは前評判で聞いていたにしてはあまり心に響かなかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

作品への好感度   A(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 A(S・A〜E)


各パートの感想、総評の順になっています。
クリア順:緒方→由貴→奈津乃→網口→如月→鞍部→薬師寺→三浦→五百里→関ヶ原→東雲→郷登
評価:郷登>薬師寺>網口>鞍部>由貴>如月>>奈津乃>>関ヶ原>五百里>東雲>三浦>>緒方


崩壊編
ゲームパート。タワーディフェンス系のシュミレーションタイプで、難易度はnormalでプレイしましたがSランク取れるかはともかくクリアできないほど格段に難しいということはなかったと思います。その下の難易度もあるのでアドベンチャーパート(追想編)の邪魔にはならない程度のバランスです。

ゲームとしては、たくさんの敵を同時に巻き込んで倒す行為が気持ちよかったです。雑魚が沸きすぎて最終戦あたりは処理落ちしてましたが…

シナリオについての感想としては、いきなり最終戦の描写が始まるためのめり込みづらいと言うのが本音です。同時進行の追想編では一部の関係が不仲(敵対的)に見えてしまう構造なので崩壊編で割と仲良くしている彼らをみてずっと疑問符がついたままでした。ゲームパートの設置の仕方とシナリオが綺麗に噛み合っていたか、と聞かれるとなんとも言えないラインです。


追想編
プレイ順によって得られる体験が違う感じのシナリオ構造のADVパート。アドベンチャーとしての難易度は低いものの、鷹宮由貴編のみ若干詰んでしまいました。

気になったキャラごとに進行停止になるまで進める方針で今回プレイしました。鞍部シナリオから開始して、薬師寺、網口、三浦、奈津乃をまず重点的にプレイして、次いで緒方、兎美、由貴、比治山をプレイ、次に準主人公枠そうな冬坂、関ヶ原、最後に鍵を握っていそうな東雲、郷登をプレイ。

全体的な感想としては、なんとも微妙にハマることができないシナリオ運びだなあという感じでした。前半〜終盤まで崩壊編同様シナリオ内容が理解できないまま進行してしまったのと、キャラの掘り下げ方が自分の趣味と合致しなかったのが問題でした。

後者について。個人的には作中キャラを好きになるためにはそのキャラに言及したテキストが不可欠だと思います。しかし、本作は個別シナリオはあっても掘り下げがあまりないまま進む(特にカップルが乱立しているのに恋心に関する言及がほぼない)ので、シナリオよりキャラや関係性優先の自分は好きなキャラができ辛かったのが痛かったなと。みんなポコポコ恋愛するだけなのがカプ厨としては響きませんでした。まあ悠長にキャラを掘り下げている時間がある作品ではないので、仕方のないことなのですが。

それでも網口(井田)や比治山、十郎(426関連)周りは楽しめたかな?と思います。
比治山隆俊はこの作品で一番気に入っており、焼きそばパン食べながら他人の比治沖(比治山×沖野のCP)ツイートを漁りたくなるほどでした。恋愛関係と言われていれば男×男でもイケてしまった自分にびっくりです。


究明編
イベント回想とtips集。特にtipsの方は物語に深みを与えるもの、書き下ろしイラストがあるものが多く、読んでいて楽しかったです。それがなくても情報整理に一役買っていたため、なくてはならないものだと思います。
イベント回想は無いと一部シナリオの時系列がわからなかったので、個人的には必須でした。



その他
・絵
圧巻の一言。ここまで眺めているだけで楽しい作品もありません。個人的には夕方の時間帯が一番好きです。



総評
作品の外面に関しては噛みごたえのある作りのADVで満足、内面に関しては難解かつ個人的にはキャラを好きになり辛いシナリオ構成でそれなりに不満があるという感想に落ち着きました。

ただやっていて不快になるシーンなどなく、とにかく道中を歩くのが楽しかったという感想になる作品です。ヴァニラさんがまたいつか、ノベルゲーム寄りのものを作ってくださるのなら絶対購入します。