少しポンコツなロボ娘・アトリとの一夏の恋と友情の物語。前半は文句なしに楽しかった。後半は……
作品への好感度 B(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 S(S・A〜E)
前置き
ほぼ一本道な作品のため、良いと思った点とどちらとも言えない点、悪いと思った点について記載、その後総評という流れで書いております。
■良いと思った点
・アトリちゃん
とにかく可愛い。声優さんの演技も良く、作中で2回ほど性格の転換点はあるもののずっと眺めていられる可愛さでした。この物語の評価はアトリが好きになれるかどうかではっきり分かれるという意見に納得するくらいシナリオの比重も大きいです。
個人的には虫ロボと真顔で張り合うアトリが好きです。
・絵
美麗の一言。背景も立ち絵も一枚絵も良かったです。背景の美麗さに萌え絵っぽい絵がマッチするのだろうかと思っていましたが、特に違和感がなかったのが凄いと思いました。また、エロゲならHシーンに割かれてなくなるような所にもきちんと一枚絵があったのが感動。
・音楽
曲名表示があったのがまず良かったです。BGMの題名まで覚えていないことが多いのですが、本作は「海中都市」筆頭に綺麗めな曲が多く聞いていて耳心地が良かったです。
△どちらとも言えない点
・シナリオ
シナリオが短いことが悪、というわけではないですが基本長編が好きなのでやはり満足感は今ひとつ。
前半は青春ものは好きなので値段以上に楽しめました。発電機を作るくだりはかなりのめり込んでプレイしており、特に凜々花や竜司が気に入っていました。
しかし後半アトリのログを覗き見してしまう・ヤスダが出てくる前後で話の流れが急に速くなったように感じ、そのままエンディングに到達してしまいました。全編通して主人公は常に葛藤していますが、後半は特に葛藤することに対する重みのようなものを感じにくかったです。
そんなわけで、普段フルプラの長編作品に慣れている身からすると「もしもATRIがフルプラ作品だったら」を夢想してしまいます。
・この作品は「ノベルゲームだから、おもしろい」か?
ANIPLEX.EXEの上記のキャッチコピーはよく目にします。ですが、果たしてこの作品は“ノベルゲームだから”面白かったのかが疑問に残ります。
私がプレイした時点では漫画化されアニメ化まで決定しています。本来ならメディアミックス大いに歓迎、と行きたいところなのですが…そういった公式側の動きも含め「自分はこの作品からノベルゲームだからこその面白さは感じられたのか?」と疑問符が浮かんでしまいました。
個人的にはノベルゲーム形式の旨味はシナリオの選択肢等による分岐(もしくは周回による変化)と演出にあると考えています。本作は前者は皆無で、後者はこちら都合なのかうまく動かず十全に楽しむことはできませんでした(後述)。
もちろん分岐や特異な演出が無い好きな作品も沢山ありますが、それらに対しても“ノベルゲームとしての”面白さは感じていません。これもその中の一作になってしまったことは少しショックでした。
□悪いと思った点
・動作不安定
Switch側の不具合なのか、場面転換時によく止まりました。たまに暗転したまま操作を受け付けなくなるのでビビる。再起動を繰り返し少しはマシになりましたが、やはり動作が不安定なような…特に誰もこのような状況に陥ってなさそうなのでこちら都合なのでしょうか。減点はしておりませんが微妙な気持ちに。
総評
主人公がヒューマノイドの少女アトリを救い救われる話、そして主人公が世界を救う話の前日譚と後日談。前半は特に楽しく面白い話だったものの、もっと長い間(作中時間軸的な長さでは無く、プレイ時間で)彼ら彼女らを眺めていたかったと思わせられるようなお話でした。
ノベルゲーム初心者向けの理解しやすい、かつ短い作品ではあったので最初の一歩には特におすすめできる一作。