御伽噺系作品。どちらかと言えば女性向け。シナリオ自体はかなり大人しめではあるが、読んでいてじんわりと染み入るようなものだった。また、彩度高めなイラストを眺めているだけでも楽しかった。
作品への好感度 A(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 S(S・A〜E)
各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:夢(各絵草子夢ED→現bad→夢ED)→現(各絵草子完結ED→夢bad→現ED)
評価:夢>現>>bad>>>各絵草子シナリオ
花さかじいさん・浦島太郎
序盤のためかあまり言うことがありません。
「浦島太郎」で延々続く宴会シーンに嫌気が差している黒筆等、時々クスッとはしました。しかしこの2話に関しては元ネタも知っているし、徒花荒らし達による改変も自分の想像を超えるものはありませんでしたし、大きく話が動くことも無いからか時々挟まる少女と少年の話くらいしかシナリオに関しては面白味は無かったなと感じました。
夢EDを終わらせた後の2週目で絵草子を完成させた時は現実編の新エピソードも追加された上、演出も綺麗だったので読み応えがありました。終わり方も「浦島太郎」の方は蓬莱山エンドがあることを知らなかったため、結構びっくりしました。
うりこ姫とあまのじゃく・──(桃太郎)
「うりこ姫」に関しては元ネタも全く知らず、「桃太郎」については内容は知っていながらも現実と強くリンクしていたためか両方とも飽きが来ないシナリオでした。前2作品より白姫と関わりの深い「妹」と「婚約者」がモデルであったためだとは思いますが…
お話と現実エピソードとの絡め方がうまく、ここから終わりまでは一気に読み進めてしまいました。
各種ED
badについては二人とも悲惨な目に遭う(片方は既に死に、もう片方は遠からず自分で死ぬだろうことが示唆される)というかなり悲惨なエンド。この時点で妹がどうしているかは知りませんが、あんまりにも可哀想です。
「徒花異譚・夢」EDについては最後の方重要なピースである「桃太郎」が忘れられていないか?というところが気になって仕方ありませんでしたが、白姫と黒筆が楽しそうに笑っていたので満足でした。現実の2人(書生と少女)よりもこちらを見ている時間の方が長かったので、夢の中で幸せに暮らしたという終わり方もしっくり来ました。
「徒花異譚・現」EDは恋がキーワードになっていることもあり恋愛に寄せた話で、どちらかといえばこちらが真エンドっぽい流れでした。これは恋愛ゲームではないのはわかっているのですが、厄介オタクなので現実の2人のイチャイチャも見せろ!と終いには憤慨していました。憤慨してはいましたが、ハッピーエンドだったからこその憤慨だったので仕方ありません。
その他
・絵
この作品で一番特筆すべき点。大石竜子先生の力強くも柔らかく、豪奢なイラストはとにかく目を惹きます。普通、これだけたくさんの奇抜な色を同時に使えば目に痛いか色使いの気持ち悪さみたいなものを感じるはずなのに、全くそれがありませんでした。特に絵草子完結シナリオの墨を吸った白姫の一枚絵シリーズが好きです。
・演出全般
一枚絵ではないものの、絵草子の話に合わせてちょこちょこと小さな絵が表示されるのが楽しかったです。
しかし絵草子のフォント全般、特に夢エンドの方の血文字はもう少し凝れなかったのかと思うくらい残念な感じでした。また、音楽もシーン変更毎にぶつ切りだったため没入感を削いでしまっていました。
総評
御伽噺を下敷きにした作品。シナリオの起伏自体は大人しめながらも胸に染みるような感覚で楽しめる作りで、絵や音楽の綺麗さも相まって最後には思わずホロリとしてしまうような美しく儚い物語でした。画集としてだけでも値段分の価値があるので、女性主人公が嫌でない方には是非ともお勧めしたい一作です。