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no-attさんの真昼の暗黒の長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
真昼の暗黒
ブランド
Summertime
得点
85
参照数
109

一言コメント

こんな凄い作品がタダで読めるのか、と思ってしまった作品。フリーゲームかつノベル形式ではかなりボリューミーな作品だと思う。同サークルの有料作品にも手を出してみたいと思った。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

文章や絵、演出等でこちらを引き込む力が強く、読み応えがありました。
特に小学生女児(正確にはその時を回顧している成人女性…の手記を基にした誰かの書いたゲーム用文章)の描写が良く、小学生時代の可愛げのないひねた自分を思い出してしまいました。
個人的にはミサ視点のエンド2つの終わり方が気に入っています。多分ミサが主人公の物語としてはイベントの繋ぎが綺麗だったのでそう思ったのだと思います。それとは別に、9話のミサの言葉責めもとても気に入っています。愛のある酷い言葉って心に沁みるんですよね。ミサは非処女・スケベ(?)・そこそこ下半身がむちむちしている・罵り有りという久しぶりの自分好みのキャラでした。

しかし最後までやってみると(あるいは終盤付近から)、この作品は「すべてみなさまのご想像にお任せします」的なノリの作品であることがわかります。
この作品はミサの手記等を改変してゲームにしたという構造の作品のため、資料の一部以外は全て真実とは言い切れないのです。作中の数々の描写もミサの思い違いであるかもしれないし、記者の間違いかもしれないし、シナリオライター等の製作陣(≠作者様)の勘違いかもしれません。事実穣介周りを筆頭に描写の食い違いが発生しています。
そこら辺の事情も含めて完全な外側(製作側)の描写がほぼ無い故に、考える材料もあまりないというか。良くも悪くも最後には気持ちが宙ぶらりんになる作品でした。


蛇足
ティラノビルダーだからか動作が軽いとは言い難く、バックログは途中からいっさい確認できず、セーブ画面も途中から右に記載される文章が何故か全く同じ(4章冒頭)になってしまった点は残念。
アンインストールしてやり直せば元に戻ったかもしれないのですが、セーブデータ的にもやり直す踏ん切りがつかないあたりで色々不具合が出てきてしまいました。